ビジネスシーンにおいて物をいただく際に、「ご笑納ください」という言葉を聞いたことがあると思います。「ご笑納」は使い方を間違えてしまうと、相手に不快感を与えてしまいます。そこで今回は「ご笑納」の意味や使い方、言い換えについて解説していきます。類語や英語も紹介しますので参考にしてみてください。
「ご笑納」は「ごしょうのう」と読みます。 「笑」は音読みだと「ショウ」、訓読みだと「えみ」「わらう」と読みます。 「笑」は「わらう」「おかしい」を意味しています。 「納」は音読みだと「ノウ」、訓読みだと「おさめる」と読みます。 「納」は「しまい込む」「受け入れる」を意味しています。
「笑納」は贈り物をする際、「つまらない物ですが笑って納めてください」という気持ちを込め用いる語です。 「ご笑納ください」と言った場合は、「差し上げる品は大したものではないですが、笑って受け取ってください」といったニュアンスになります。 よく相手に贈り物をする際に「つまらないものですが、受け取ってください」なんて言いますよね。 「ご笑納ください」も「つまらないものですが、受け取ってください」と同じ意味合いになります。
「ご〜ください」という形はよく使われる定型句で、相手に「何かを要望・懇願などを言うこと」を促す意味合いを持ちます。 「ご笑納ください」の「ご」は謙譲語、「ください」は丁寧語なので、「ご笑納ください」は謙遜の意を伝えることができます。
「ご笑納」は謙譲語ですが、「つまらないものを笑って受け取ってください」といった意味であるため、比較的冗談を言い合える相手に対してではないと軽々しい印象を与えてしまいます。 したがって、目上の人に対しては、よほど親しい間柄ではない限り、使用しないのが無難です。 また「ご笑納」はビジネスメールやビジネスレターなど、かしこまった場面でも使わないようにしましょう。 さらに近しい関係の親戚であっても、目上である場合はなるべく使用を避けます。 「ご笑納」は気軽な関係の相手に、お礼として記念品や粗品を送る際に使用するのが適切になります。
相手に手紙を送る時に、「ご笑納」は使えません。 「上手に書けてはいませんが、笑って読んでください」という意味で手紙を送る場合は、「ご笑覧」を使います。 「ご笑覧」は「ごしょうらん」と読みます。 「ご笑納」と同じく、謙譲語になります。 「ご笑覧」は手紙だけではなく、展示物やパンフレット・カタログなど見てもらうときに使うことができます。 その場合は「下手ではありますがご覧になってください」「粗末で恥ずかしい限りですが、どうぞご覧ください」といった意味で使われます。
「ご笑納」は「大したものではありませんが、笑って納めてください」という意味合いで、何かを送るときに使用する言葉ですが、お詫びの品を渡す場合には使用しません。 お詫びの品を渡す際に「大したものではない」という意味が含まれる「ご笑納」を使うと、相手に対して失礼に当たってしまいます。 お詫びの品を渡すときは「お納めください」「お受け取りください」と言うのが適切になります。 「お納めください」などについては下記で紹介しているので参考にしてみてください。 お詫びの品を渡す場合は、迷惑をおかけしたことに対するお詫びや、今回の事に至った経緯を説明する必要があります。そして今回のような事態を招かないようにする旨を伝えた後に、「受け取ってください」と言います。
例文
「ご笑納」は、「つまらないものですが、笑ってお納めください」といった意味があります。 そのため、相手の写っている写真に対して「つまらないもの」と言うのは失礼にあたります。 自分も写っていたり撮影した写真であっても「ご笑納」と使わないように注意しましょう。 相手の写っている写真を送る場合は、「お納めください」「お受け取りください」と使うようにしましょう。
例文
「ご笑納ください」と贈り物を受け取った場合は、
と返事をします。贈り物をいただいたことに対しての感謝を述べるのが良いでしょう。 また、ありがたく思っている気持ちをより強く伝えたい場合は、「めったに口にすることができないものをいただき、ありがとうございます」といったような贈り物についての感想を一言入れます。 いただきものについてのお礼メールは、感謝の意を伝えるのと同時に贈り物が届いたことについての報告も兼ねています。ですのでお礼のメールについてはなるべく早く伝えることが基本になります。
<返事の例>
▶「ご笑納」・・・「つまらないものですが、笑って受け取ってください」という意味 ▶「ご受納」・・・「受け収めてください」という意味
「ご受納」も敬語ですが、「ご笑納」とは違い「つまらないものですが、どうか笑って」といった謙遜の意味は含まれていません。 受け収めること、受け入れることの敬語表現となります。
「ご受納」は「ごじゅのう」と読みます。 「受納」は「受け収めること」を意味しています。 「受」は音読みだと「ジュ」、訓読みだと「うける」「うかる」と読みます。 「受」は「受け取る、受け入れる」「合格する」を意味しています。 「納」は音読みだと「ノウ」、訓読みだと「おさめる」と読みます。 「納」は「しまい込む」「受け入れる」を意味しています。 「ご受納ください」は「お納めください」と同じ意味合いになります。 ただ「ご受納ください」はかしこまった表現であるため、日常的な会話や同等や目下の相手に使うと不自然になります。
例文
▶「ご笑納」・・・「つまらないものですが、笑って受け取ってください」という意味 ▶「ご査収」・・・「よく確認してから受け取ってください」という意味
「ご査収」と「ご笑納」は全く意味が異なります。間違って使用しないように気をつけましょう。
「ご査収」は「ごさしゅう」と読みます。 「査収」は「よく調べた上で受け取ること」を意味しています。 「査」は音読みだと「サ」、訓読みだと「しらべる」と読みます。 「査」は「しらべる」を意味しています。 「収」は音読みだと「シュウ」。訓読みだと「おさめる」と読みます。 「収」は「取り入れる」「取りまとめる」を意味しています。 「ご査収ください」は相手に何か渡す際に使いますが、ただ受け取るのではなく、中身や内容の確認をした上で受け取ってくださいということを伝えたい場合に使います。 ビジネスシーンにおいて「ご査収ください」は、見積書や納品書、請求書などに記載している内容に間違いがないか、確認してもらう際に用います。 一般的に「ご査収」は口語よりもメールなど書き言葉として使います。
例文
「納める」の意味は、「然るべきところにしまう」「受け取り側に渡す」「一定の枠に入れる」です。 「お納めください」は「どうぞ受け取ってしまってください」を意味してるので、贈り物を送る際に使います。 「お納めください」はかしこまった言い方になるため、ビジネスシーンだけでなく、フォーマルな場面でも多々使用できます。 「お納めください」は、お通夜やお葬儀などで香典を渡す際に「御霊前へお納めください」などと用いることもできます。
例文
「受け取る」は、「自分のところに来たものを手で取って持つこと」を意味しています。 「お受け取りください」は、「自分が送ったものをもらってください」という意味で、品物を送る際に使用します。 「お受け取りください」はビジネスシーンでも日常会話でも一般的に使われることが多い言い回しです。
例文
よく相手に贈り物を渡す際に「つまらないものですが〜」なんて言いますが、この場合は本当につまらないものを持参する訳ではなく、謙遜の意味として「つまらない」と言っているだけです。 「つまらないものですが」と言うことで「自分がつまらないものしか選べなかった」と謙遜でき、相手を立てることができます。
例文
「心ばかり」は、「つまらない」「取るに足りないこと」を意味しています。 「心ばかりの品ではありますが〜」は「つまらないものですが」と同様に、謙遜した表現になります。 「つまらないものですが」だと失礼に当たるのではないかと思う場合は、「心ばかりの品ではありますが」に言い換えるのが良いでしょう。
例文
「ご笑味」は食べ物を他人に贈るときなどに、「粗末な品ですが笑わずひとつ召し上がって下さい」という謙遜の気持ちを込めていう語です。 「ご笑味ください」はものを送るときに使いますが、食べ物を贈る際にしか使用できないので間違わないように気をつけましょう。 「ご笑味ください」は口頭ではなく、文語として使用する言い回しです。
例文
「賞味」は「食べ物の美味しさをよく味わって食べること」を意味しています。 「ご賞味あれ」といったようにテレビなどで聞いたことがあると思います。 「ご賞味ください」と言った場合は、「美味しいので、ぜひ食べてください」といった意味合いになります。 「ご賞味ください」はやや高飛車なイメージの言い回しになるので、基本的に目上の人に対しては使用しません。どうしても食べて欲しいことを伝えたい場合は「ご笑味」を使うのが良いでしょう。
例文
日本人が人に物を渡すときに言う「つまらないものですが」「ご笑納ください」などの表現は英語圏には存在しません。 なので、物を渡すときに使えるフレーズを紹介します。
Here's a little something brought from my hometown.
これは私の地元のちょっとしたお土産です。
It's just little thanks. Please take it.
これは感謝の証です。受け取ってください。
↓ ビジネスパーソンにおすすめの英会話教室・オンライン英会話に関してまとめましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
「ご笑納」について理解できたでしょうか? ✔︎「ご笑納」は「つまらない物だが笑って納めてください」という意味 ✔︎「ご笑納」は親しい間柄ではない限り、目上の人に対しては使用しない ✔︎「ご笑納」と「ご査収」は全く意味が異なる ✔︎「ご笑納ください」の言い換えとしては、「お納めください」「お受け取りください」などがある
敬語の使い方が面白いほど身につく本
元NHKアナウンサーの著者が教科書通りの敬語ではなく、様々なシーンで使うことができる生きた敬語表現を紹介しています。文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。こちらの本では ”気の利いた敬語” の使い方を、言葉のプロがコンパクトに解説しています。
伝え方が9割
同じ内容でも伝え方次第で結果が全く変わってしまう。そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?実は言葉の選び方や順序には公式があり、それに気付きさえすれば、ビジネスシーンだけではなく人生全般でのコミュニケーションを円滑にすることができます。こちらの本では、相手の返事を「ノー」から「イエス」に変える具体的な方法が体系化されています。
「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書
偏差値35だった筆者が、二年間の浪人と東大合格の末にたどり着いた読書術を余すところなく大公開しています。文章を読み込む力や論理的に整理する力などが劇的に向上する実践的な読み方が分かりやすく解説されています。仕事・勉強の生産性を上げたい人にも読書嫌いにも効果テキメンの一冊です。