「ラインナップ」の意味と使い方を正しく理解していますか?「ラインナップ」に似た言葉に「ラインアップ」がありますが、違いはあるのでしょうか?「ラインナップ」は日本語では何というか、英語でも使うのかを詳しく見ていきましょう。
「ラインナップ」は日本語では何というのか解説していきます。
「ラインナップ」の基本義は「一列に並んだもの」です。 「ライン(line)」は、名詞で「線、列」という意味があり、動詞では「線を引く、並べる」という意味があります。動詞の「並べる」という意味が「ラインナップ」の語源になっています。 「ラインナップ」は様々な意味と使い方がありますが、基本の意味は「一列に並んだもの」であることを覚えておくとよいでしょう。
「ラインナップ」は人の集団を指して「顔ぶれ、人員構成、陣容、配役」などの意味があります。 人を横に一列に並べると顔がしっかりと見えて誰がその組織に属しているのか確認できることから、「ラインナップ」で「顔ぶれ」という意味合いになりました。 「今日の試合の日本代表のラインナップが公開された」「この映画の俳優のラインナップは大物揃いだ」などと使います。スポーツの世界でよく使われます。 野球で「ラインナップ」というと、「打順」という意味になります。
ちなみに、企業における「派閥、系列」のことは「ラインナップ」ではなく「ライン」を使います。「渡辺部長のラインが優勢だ」などと使います。 反対語は「スタッフ」になります。 また、部・課・係などのピラミッド型の組織に従って日々の業務を遂行している部門のことを「ライン部門」といいます。
その他のスポーツで使う「ライン」
テレビ・ラジオ・映画に対して使うと「予定番組、番組構成」という意味です。もう少し広義には「内容、内訳」という意味合いを持ちます。 新聞などにあるテレビ番組表をイメージすると分かりやすいと思いますが、これから放映が予定されている番組が一列に並んでいますよね。 そこから「ラインナップ」で「予定番組、公開予定映画」という意味になりました 「夏休みの映画ラインナップは観たいものばかりだ」「Aテレビの正月のラインナップはひどい」などと使います。
ビジネス(特に小売業)における「ラインナップ」とは、「同時期に発売されている全種類の商品」という意味になります。
などと言い換えることも可能です。 販売するためにお店の棚に一列に商品を並べることから、「ラインナップ」は「全種類の商品」という意味で使われるようになりました。 「各社の夏の新作ラインナップが揃う」「訪日外国人のためのラインナップを増やすべきだ」などと使います。 製造業では「流れ作業の生産・組み立ての工程」という意味で「ライン」という言葉を使いますが、意味が異なるので混同しないようにしましょう。
「ラインナップ」と「ラインアップ」の違いって何かかな?と疑問に思う人も多いかと思います。 「ラインナップ」と「ラインアップ」の違いは英語の発音の違いであり、意味は全く同じです。 「ラインナップ」は英語で「lineup」または「line-up」と書きます。 このときに「line」と「up」をつなげて読むと、nの発音(ン)とuの発音(ア)が組み合わさり、「ナ」という発音になります。 このように、英語では子音と母音が組み合わさって違う音になることがしばしば発生します。このことを「連音」といいます。
使い分けとしては、口語では「ラインナップ」というのが自然です。英語のネイティブ話者も「ラインナップ」と発音します。 一方で書き言葉では「ラインアップ」と表記するのが正式になります。国語辞典にも「ラインアップ」と表記されています。
「ラインナップ」のカタカナ語の類語を紹介します。
「リスト(list)」は「目録、名簿、一覧表」という意味で、「ラインナップ」の「一列に並んだもの」という原義に最も近い類語です。 「リスト」は抽象度が高く広い意味で使用されており、下記で紹介する類語も「リスト」は意味的に内包します。 「ブラックリスト」という言葉(Netflixのドラマシリーズが思い浮かんだ...)を知っている人も多いかと思います。 「要注意人物を記載した名簿」という意味で、これも名前が一列に並んでいるイメージがすぐに浮かびますよね。 「リストアップ」は「多くの中から条件を満たすものを選び出す、またそれを一覧表にまとめる」という意味です。 しかし「リストアップ」は和製英語であり、英語では「list up」という言葉はないので注意しましょう。
「オーダー(order)」と聞くと「注文、発注」という意味が先に思い浮かぶ人が多いと思います。もちろん「オーダー」にはこの意味もあるのですが、もう一つ「序列」という意味があります。この「序列」という意味においては、「オーダー」も「ラインナップ」の類語にあたります。 例えば、野球における「ラインナップ」は「バッティング・オーダー」と言い換えることができます。 「ラインナップ」と「オーダー」にはニュアンスの違いがあります。「オーダー」の場合は、顔ぶれの順番に重きが置かれています。 なので、野球では誰が出るかよりも打順の順番がとても大切なので(誰が4番なのか?など)、「バッティング・オーダー」という言葉が使われています。
「メニュー(menu)」という言葉を聞くと「献立表」をまず先にイメージする人が多いかと思います。 ですが、「メニュー」の基本の意味は「用意されている項目・内容」です。ここから派生して「献立」という意味で使われるようになりました。 ジムで効率的に運動するために準備された「トレーニングメニュー」やパソコンの「メニュー画面」などもこの意味で使われています。 語源はフランス語「menu」です。
「ラインナップ」の類語には「プログラム(program)」という言葉もあります。 「プログラム」は「プログラミング」以外にも、「番組」「目録、計画表」という意味があります。 「テレビ番組」は英語で「TV program」といいます。 演劇などの催し物の実行計画という意味合いで使うこともあります。この場合は「演目」が和訳にあたります。
「内容・中身」を意味する「コンテンツ」も「ラインナップ(content)」の類語です。 英語「content」は、書籍の目次を指すこともあります。本の目次という意味では「index」という単語も使われます。 「コンテンツ」は、「テキスト、音楽、映像、などのインターネット上の情報の内容」の意味で使われることが多いです。
「配役(cast)」を意味する「キャスト」も、「ラインナップ」の類語です。 「キャスト」はドラマや映画な配役のみを指す言葉なので、「ラインナップ」より使い方は限定的です。 英語「cast」の元々の意味は「割り当てる」です。そこから転じて「配役」という意味が生まれました。 配役を決めることを「キャスティング」といいます。
スポーツの「組」という意味の「チーム(team)」は「ラインナップ」の類語です。 「チーム」の元々の意味は「共同で仕事する一団の人」です。なので、本来「チーム」という言葉はスポーツだけに限定して使う言葉ではありません。
「ラインアップ」はもともと動詞です「line up」という動詞です。 動詞「line up」は自動詞と他動詞の両方があり、「一列に並ぶ、〜を一列に並べる」の両方の意味があります。
All the students line up for a photograph at the beginning of each semester.
すべての学期のはじめに、学生たちはみな写真撮影のために整列する。(自動詞)
He lined every one up and shot them all.
彼は全員を一列に並べさえ、射殺した。(他動詞)
日本語のカタカナ語「ラインナップ」の語源は、英語の名詞「lineup / line-up」です。 よって、英語「lineup」の意味は上記で紹介した日本語の意味と同じです。 「顔ぶれ、構成」「全商品」「予定番組」「打順」などの意味があります。 その他にも「(次々に起こる)事件」「(警察に会うため)容疑者の列」などの意味で使うことがあります。 これらの意味で日本語で使うことはありません。 「get up」と「getup」のように、動詞か名詞かで意味が大きく変わる英単語もあるので、注意しましょう。
いかがでしたか?「ラインナップ」の正しい意味と使い方はご理解いただけたでしょうか? さいごに「ラインナップ」についてまとめます ✔「ラインナップ」の基本の意味は「一列に並べたもの」 ✔ そこから転じて「顔ぶれ、予定番組、全商品、打順」などの意味で色々な業界で使用される ✔ 「ラインナップ」の同義語は「リスト」 ✔「ラインナップ」の類義語には「オーダー」「プログラム」「キャスト」など ✔「ラインナップ」の英語は「lineup / line-up」