「アンニュイ」という言葉をご存知でしょうか。「アンニュイ」は「神秘的で儚げな雰囲気」である場合に褒め言葉として使用される言葉ですが、本来は「退屈・気怠い」というマイナスの意味で使用される言葉であるということをご存知でしょうか?今回は、「アンニュイ」という言葉の意味と使い方を例文つきで紹介します。また、「アンニュイ」の対義語や類語、英語表現も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「アンニュイ」の1つ目の意味は、「けだるい・退屈」で、倦怠感を表現しています。 肉体的な疲労で元気がないというのではなく、「気分が晴れない」「やる気が起きない」というような気持ちの面で感じているマイナスの気持ちが「元気がない」と見てわかるように表面に現れているというイメージです。
「アンニュイ」の語源は、英語であると思われがちですが、フランス語の「Ennui」です。 フランス語の「Ennui」は「物憂いげな様」「けだるい様」で、退屈そうにしている様子や、めんどくさそうにしている様子を言い表しています。 つまり、フランスで「Ennui」という言葉を使用するとマイナスな意味となります。
文学の世界では「アンニュイ」は19世紀末のヨーロッパの風潮を表す「倦怠感」「倦怠期」などを指します。 これから紹介するファッションでの「アンニュイ」の使い方とは大きく異なるので、注意してください。
19世紀末ということで「世紀末」という一つの時代のピリオドが人々の生活への疲れ、産業革命による生の空虚などが影響しています。 この風潮が近代のフランス文学に大きな影響を与えています。
「アンニュイ」のもう一つの意味は「神秘的・ミステリアス」です。 日本でカタカナ語として「アンニュイ」を使用する場合は、「神秘的である」「落ち着いた雰囲気である」というようにポジティブな意味合いで使用されます。 現代の日本の若者が「アンニュイ」と言った場合は、ほとんどこの意味で使っていると考えて間違いないでしょう。
日本では「アンニュイ」は「アンニュイな雰囲気」というように主観的な観点で使用されます。 「アンニュイな雰囲気」とは具体的に
というような独特の落ち着いた雰囲気のことをいい、「アンニュイな雰囲気」は褒め言葉になります。
「アンニュイ」は、美容業界でも使用される言葉です。 「アンニュイな髪型」「アンニュイなメイク」は、どこが儚げで大人っぽい雰囲気の髪型やメイクのことをいいます。 例えば、髪型でいうと
というように、ミステリアスな透明感のある雰囲気のある髪型のことをいいます。 「アンニュイなメイク」は、
というように、濃くアイシャドウをぬったり、バサバサなつけまつげをつけるようなメイクではなく、ナチュラルでぼんやりとしたセクシーさがあらわれたメイクのことをいます。
「アンニュイ女子」「アンニュイ男子」は、「アンニュイな雰囲気がある人 」で、いきいきと活力にあふれる人とは正反対の人のことをいいます。 つまり、「儚い雰囲気を醸し出す男女」をそれぞれ表現した言い回しで、「アンニュイ」は男性に対しても、女性に対しても使用できる言葉ということになります。
「アンニュイ」という言葉は、日本ではポジティブな意味合いで使用されることが多いですが、ネガティブな意味合いで使用されることもあります。 例えば
というように、なんとなく暗い雰囲気や気怠そうといった表現としても使用されます。
「退屈」は「たいくつ」と読みます。 「退屈」の意味は「当面することがなく、時間を持て余すこと」または「あきて、嫌になること・興味が持てないこと」をいいます。 相変わらずの状況が続き、飽き飽きとしてしまうことで出てくる気怠いと思う感情や雰囲気に対して「退屈」という表現を使用します。
「倦怠」は、「けんたい」と読みます。 「倦怠」の意味は「飽きて嫌になること」「心身が疲れてだるいこと」です。 同じ物事が長く続いて飽きてしまう・嫌気がさしてしまうという意味や、だるさを感じるというような身体の調子の悪さを表現する言葉です。 また、「やる気がでない」「集中力」がもたないといった精神的に「だるい」と感じてしまう症状も「倦怠感」などと表現されます。
「無為無聊」は「むいぶりょう」と読みます。 「無為無聊」は「無為」という言葉と「無聊」という2つに言葉を組み合わせた言葉です。 「無為」は、「自然のままで作為的でないこと」「変化しないもの・自然」という意味であり、「無聊」は「退屈で気が晴れない・楽しめない」という意味があります。 つまり、「無為無聊」は「何かつまらないものによって退屈だと感じること」を意味する言葉であるということになります。
「憂鬱」は「ゆううつ」と読みます。 「憂鬱」とは「気が晴れ晴れしないこと」を指します。 「憂鬱」も「アンニュイ」の類語となります。
例文
「アンニュイな雰囲気」の類語は「物憂げ」「憂い含んだ」です。 ・「物憂いげ」 「物憂げ」は「ものうげ」と読みます。 「物憂げは、「物憂い」という言葉に接続詞の「げ」を付けた言葉で、「なんとなく気がふさいで憂鬱な・けだるい雰囲気」であることを表現している言葉です。
「憂い含んだ」は、「うれいをふくんだ」と読みます。 「憂いを含んだ」の意味は「心を痛めているような・心配をしているような様子」です。
例文
「熱中」の意味は「ある物事に夢中になること」です。 他のことを忘れて、1つの事に心を注いでいる様子を言い表した言葉です。
「没頭」は「何もかも忘れて、ある物事に熱中すること」を指します。 「没頭」は、「精神的に憂鬱で何も集中できない様子」を表した「アンニュイ」の対義語となります。
例文
「活発」の意味は「元気で勢いのよい様子・勢いよく盛んである様子」です。 「元気のない儚げな様子」を言い表した「アンニュイ」とは反対に、「行動活動などが生き生きとしている様子」を「活発」と表現します。
フランス語「ennui」が語源の「アンニュイ」は、英語でもそのまま「ennui」で使うことができます。 英語「ennui」も「倦怠」「倦怠期」というニュアンスになります。 「アンウィー」と発音します。イントネーションは「ア」にかかります。
Many Japanese husbands and wives in their forties are at the stage of ennui in married life.
多くの40代日本人夫婦は結婚生活で倦怠期の状態にある。
もっと簡単に「倦怠」を「get bored」と表すこともできます。
They got bored with each other.
彼らは倦怠期にさしかかった。
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「アンニュイ」という言葉について理解していただけましたか? ✓「アンニュイ」の意味は「けだるい・退屈」「ミステリアス・神秘的」 ✓「アンニュイな雰囲気」は褒め言葉として使われる ✓「アンニュイ」をネガティブな意味で使用する場合もある ✓「アンニュイ」の類語は「倦怠」「退屈」など