「嬉しく存じます」は「嬉しく思う」の敬語表現です。目上の人など敬意を示すべき相手に褒められたときの返事としても使用できます。今回は「嬉しく存じます」の意味と敬語、使い方を例文付きで紹介します。「嬉しく存じます」の類語や言い換え表現なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「嬉しく存じます」は、「嬉しく思う」の敬語表現です。 「嬉しく思う」とは、望み通りの状態が得られて喜びを感じる・喜ばしいという気持ちのことをいいます。
「嬉しく存じます」は品詞分解すると「嬉しい」+「存ずる」+「ます」となります。 「存ずる」は「思う」の丁重語です。 「ます」は丁寧語です。 したがって、「嬉しく存じます」は丁重語+丁寧語の正しい敬語表現であるといえます。 丁重語とは動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 丁寧語とは「です」「ます」のように物事を丁寧にいうことで相手に敬意を示す敬語表現ですが、敬意を示す相手の有無を問わず幅広く使用することができます。
「嬉しく存じます」で、褒めてもらったことを喜ばしく思っているという気持ちを丁寧に伝えることができます。 「嬉しく存じます」は、丁重語と丁寧語を使用した敬語表現なので、上司など敬意を示すべき相手に褒められた時に使用することが可能であり、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用することができます。
例文
過去に嬉しいと思ったことを伝える場合は「嬉しく存じました」になります。 「存じました」に違和感を覚える人も少なくありませんが、正しい日本語表現です。 「存じます」自体が堅い言葉であまり慣れていない人が多いため、過去形だとことさら不自然に感じてしまうのかもしれません。 丁重語の過去形は、いま過去の話をしている相手に対して敬意を示しているため、文法上の問題はありません。
例文
「嬉しく思います」は、「嬉しく思う」に「ます」をつけた丁寧語です。 丁寧語もビジネスシーンで使用できる表現です。 ただし、丁寧語では尊敬語や謙譲語のように相手に敬意を示すことはできません。 上司など敬意を示すべき相手に使用する場合は、より丁寧な敬語表現を使用するのが望ましいです。
「嬉しいです」「嬉しい限りです」「嬉しい限りでございます」もビジネスシーンで使用することが可能です。 「嬉しいです」は「嬉しい」に丁寧語の「です」をつけた表現です。 「嬉しい」は形容詞です。形容詞には敬語はありませんので、語尾に丁寧語の「です」をつけることで敬語表現にします。 ただ、「嬉しいです」も丁寧語なので相手に敬意を示すことはできません。 社内の親しい上司などであれば問題ありませんが、社外の人など敬意を示すべき相手にはより丁寧な敬語表現を使用しましょう。 「嬉しい限りです」は、「この上なく嬉しい」という最大限の嬉しい気持ちや様子を表現している言葉です。 「限り」は、感情に関する単語を接続することで、「〜極まりない」「この上なく」という意味合いになります。 「嬉しい限りです」も「です」を使用した丁寧語でなので目上の人に使用するには丁寧さに欠けます。 「嬉しい限りでございます」とするとより丁寧になります。 「嬉しい限りでございます」は「嬉しい限り」に「ある」の丁重語の「ござる」と丁寧語の「ます」を使用した敬語表現です。
「嬉しゅうございます」は、品詞分解すると「嬉しゅう」+「ござる」+「ます」となります。 「嬉しゅう」は「嬉しい」の大和言葉です。 「ござる」は「ある」の丁重語です。 「ます」は丁寧語です。 したがって「嬉しゅうございます」は、丁重語+丁寧語の正しい敬語表現であるといえます。 ただし、大和言葉は柔らかく上品な印象を与えますが、ビジネスシーンには不適切です。
「嬉しく存じます」は意味的にも文法的にも問題ありませんが、褒められた時に「嬉しいと思う」と直接的に表現するよりも、感謝の言葉を述べたり謙遜した方がより丁寧だという見方もあります。 そこで、「嬉しく存じます」の言い換えとして使える言い回しを紹介していきます。
「嬉しく存じます」は「ありがたい」という感謝の意を表す
などと言い換えることができます。 「ありがたいです」「ありがたく思います」は丁寧語であるため、目上の人に使用するのであれば、丁重語を使用した「ありがたく存じます」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「光栄に存じます」など他の言葉に言い換えることもできます。 「光栄」は「名誉に思うこと、栄あること」という意味です。 お褒めの言葉をもらったときに「褒められたことを名誉に思います」と伝えることができます。 「嬉しいです」では少し稚拙な響きがあるので、「嬉しいです」の代用として「光栄に存じます」を使うと便利です。 その他にも
などと言い換えることが可能です。 「喜ばしい」は、「喜ぶべき状態である・うれしい」という気持ちを表現した丁寧な言葉です。
「嬉しい」の英語は「glad」です。 「glad」は形容詞です。 「happy」は稚拙な響きのある語なので、ビジネスシーンでは「glad」を使うことが多いです。 英語には丁重語という概念はありませんので、「存じます」を英訳することはできません。 「思う」という意味なので「think」ですが、「I think I am glad...」としてしまうと不自然です。 「私は嬉しいと思う」ってどういうこと?自分が嬉しいかどうか分からないの?とネイティブは感じることでしょう。 「思う」という動詞を追加して婉曲表現にするのは、日本語特有なので注意しましょう。
I'm glad to hear that.
そう言っていただいて嬉しい存じます。
「〜していただけたら嬉しい存じます」と依頼表現にするには、「I would appreciate if you could...」を使います。
I would greatly appreciate it if you could reply as soon as possible.
なるべく早く返信いただけると嬉しく存じます。