「良いお年を」の意味を理解していますか?「良いお年を」を正しく使えていますか?いつから使うことができるのでしょうか?年始・年明けに使ってもよいのでしょうか?返事はどうするべきなのか?などなど多くの疑問に答えていきたいと思います。
「良いお年を」ってどういう意味が不明だな〜、疑問に感じる方も多いかと思います。 「良いお年を...なに?」という感じに。 「良いお年を」には続きがあり、本来は「良いお年をお迎えください」が正式な言い回しです。 これを略して使っているのが「良いお年を」です。 ここで言う「お年」は「新年」のことを指します。 「お」は丁寧を表す敬語の接頭語です。
「良いお年を」の由来は江戸時代にまで遡ります。 江戸時代は、買い物や外食をした際ツケ払いにするのが当たり前でした。 ツケ払いとは、支払いをその場でするのではなくお店の帳簿に記録して(つけて)おいてもらい、お金が入った際にまとめて支払うことです。 そしてこのツケ払いを、新年まで持ち越さずに年内のうちに支払を済まして、新しい年を迎えたいという思いから「良いお年を」と挨拶をしてたそうです。 庶民にとっては、年末にこの支払いが出来るかが1番の心配ごとであるため、お互い無事に支払いを済ませましょうといった意味合いが込められています。
「良いお年を」は、年内最後のお別れの際に使うのが一般的です。 主に12月の下旬以降に、相手と年内最後に会う日の別れるタイミングで使います。 厳密に何日からなのか決まりはありませんが、学校や会社が冬休みに入る時に使うと考えると20日以降が妥当となります。 また、大晦日には使いませんので「良いお年を」は12月30日までにしましょう。
年が明けたら「良いお年を」は使いません。 「新年おめでとうございます 」または「明けましておめでとうございます 」を使います。 ちなみに「新年明けましておめでとうございます 」は間違いとなります。 「明けまして」の原形は「明ける」です。 意味は「あるひと続きの時間、期間、状態が終わり次の時間、期間、状態になる」です。 「夜が明ける」「夜勤明け」などと使いますよね。 そのため「新年明けまして」とすると「新年が終わりまして」という意味になってしまいます。
先ほども言いましたが、「良いお年を」を使うのは12月30日までです。 30日までに新年を迎える準備を終わらせ、大晦日を無事に迎えられますようにといった意味合いも「良いお年を」には込められています。 そのため、「良いお年を」を大晦日に使うのは厳密に言うと間違いとなります。 ですので12月31日には「来年もよろしくお願いいたします」を使うといいでしょう。
また、「良いお年を」だけではなく「良い年の瀬を」「良い年の瀬をお過ごしください」と使うこともできます。 「年の瀬」とは「慌ただしい一年の終わり」という意味です。 「一年の残りの時間も良く過ごしてください」といった意味になります。 手紙などでは、
などと用いられています。
「良いお年をお過ごしください」という日本語は不適切です。 「良いお年を」は「良いお年をお迎えください」を略した表現なので、「お過ごしください」というフレーズとは併用できません。 「お過ごしください」を使うならば、
などが正しい表現になります。
「良いお年を」は丁寧語の接頭語「お」がついており敬語ではありますが、省略された表現なので目上の人に対しては使うことができません。 上司など目上の相手に使う場合は、
などと使うようにしましょう。 ビジネスメールや手紙の最後に書く場合は、
などと使います。
「良いお年を」と言われたら「良いお年を」と返すのが定例です。 お互いに「良いお年を迎えましょう」と年内最後の挨拶となります。 「良いお年を」と言われて「ありがとうございます」とだけ返すのはやや失礼です。 相手にも「良いお年を」と伝えるようにしましょう。
喪中の人に対して「良いお年を」を使うことはできます。 「良いお年を」自体お祝いの言葉ではないため、マナー違反にはなりません。 ただ、新年を祝う言葉であると思っている方もいるため、失礼だと感じでしまう人もいます。 特に近親者が亡くなり悲しみが強い場合には「良いお年を」と言われても「こんな状況で良い年を迎えられるわけないでしょう」と思ってしまう人もいるかもしれません。 そのため「今年は大変お世話になりました」「来年もよろしくお願いします」といった言葉に言い換えるといいでしょう。
「良いおとしを」というフレーズは「良いお年をお迎えください」の略であり、年末に使う表現です。 「年」を「歳」に変えたとしても、人の誕生日を祝う時には使用することができません。 誕生日のお祝いの言葉は、
などを使いましょう。 ちなみに、年末に使う「良いおとしを」を「良いお歳を」と表記するのはもちろん誤りです。 「良いおとしを」を「無事にお年取りができますように」と勘違いしている人がいますが、間違いです。
「良いお年を」を使わない宗教もあります。 というのも、お正月行事などを一切せず新年のお祝いもしない宗教も存在するからです。 「あけましておめでとうございます」も言いませんし、年賀状も出しません。 ただこのような人たちは日本ではかなり稀です。 また、そのような宗教の人たちに「良いお年を」と言ったからといって侮辱行為にはあたりません。 あまり意識しすぎず、挨拶として言って問題ないでしょう。
「Happy New Year!」は「明けましておめでとう」「新年おめでとう」の意なので、「良いお年を」の英語表現にあたりません。 「良いお年を」と年末の挨拶で使う場合は、
英語圏ではクリスマスから年末年始にかけて長い休暇に入るため、「素敵な休日を過ごしてね」という気持ちをこめて「happy holidays」という言い方をします。 同じ時期に使われる挨拶に「Merry Christmas」がありますが、宗教上の理由でクリスマスをお祝いしない人も米国などには多いことから、「happy holidays」が好まれる傾向にあります。 これは厳密には「良いお年を」とは違いますが、同じように使える表現です。