年賀状や暑中見舞いを書くとき、最後にどのような言葉で締めれば良いか迷ってしまうことがありますよね。そんな時は「ご自愛ください」という言葉を使うことができます。「ご自愛ください」は季節に関係なく使える表現です。ただ「ご自愛ください」は使い方を間違ってしまうと、相手に不快な思いをさせてしまいます。そこで今回は「ご自愛ください」の意味や正しい使い方について、例文を交えながら解説していきます。
「ご自愛ください」は「ごじあいください」と読みます。 「自」は「自分」「自己」などでよく使われている漢字ですね。 「愛」もそのまま「愛」や「愛情」などとよく使われています。
「ご自愛ください」は、「あなた自身の体を大事にしてください」という意味になります。 さらに「あまり無理しないでください」「健康でお元気にいてください」「身体を大切にしてください」といったニュアンスが含まれます。 要するに「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣う、労りの言葉です。 「自愛」の意味は、
といったようになります。 「自」は、音読みだと「ジ」、訓読みだと「みずから」と読みます。 「自」は「自分の」「みずからの」を意味しています。 「愛」は、音読みだと「アイ」、訓読みだと「いつくしむ」と読みます。 「愛」は「いつくしむ」「大切にする」を意味しています。
「お(ご)〜ください」という形はよく使われる定型句で、相手に「何かを要望・懇願などを言うこと」を促す意味合いを持ちます。 「ご自愛」の「ご」は尊敬を表す接頭語で、「ください」は丁寧語になります。 「ご自愛ください」は正しい尊敬語となります。そのため目上の人に使うことができます。
「ご自愛ください」は、手紙やメールの末尾で、相手の健康を気遣う結びの言葉として使われます。 「ご自愛ください」は男性・女性、目下・目上など老若男女関係なく使うことができる表現です。 一般的に「ご自愛ください」の前には、「時節柄」あるいは時候を表す言葉が入ります。 「時節柄ご自愛ください」は、「このような季節なのでお体を大切にしてください」という意味になります。 時候を表す言葉を入れ忘れてしまうと、理由なしに健康を気遣う形になってしまうので気をつけましょう。 「ご自愛ください」は、「〜なのでご自愛ください」「〜の折りご自愛ください」といった形で使います。 また「ご自愛ください」の前に、「何卒」「くれぐれも」「どうぞ」をつけるとより丁寧な表現にすることができます。
「ご自愛ください」は、12月・1月の年賀状や、8月・9月の暑中見舞いや残暑見舞いで頻繁に使われているイメージですが、「ご自愛ください」は、1年を通して使うことができまる表現です。 「ご自愛ください」の前には、月や季節によって「ご自愛ください」に付ける言葉は異なるので、「ご自愛ください」はいつでも使えます。 また「ご自愛ください」は、夏の終わり、季節の変わり目となる9月に使われることが多いそうです。
「ご自愛ください」を使用する上では注意しなければいけない点があります。 「ご自愛ください」は間違った使い方をしてしまうと、相手に不快な印象を与えてしまうので気をつけましょう。
「自愛」と同じ読みの言葉に「慈愛」があります。 「慈愛」は、「親が子供をいつくしみ、可愛がるような深い愛情」を意味しています。 「ご慈愛ください」と言ってしまうと、「私にあなたの深い愛情をください」という意味になってしまいます。間違えて目上の相手に使ってしまうと失礼極まりないです。 「ご自愛」と「ご慈愛」で混同してしまわないよう気をつけましょう。
「ご自愛ください」は、「体調を崩さないように健康を保ってください」という意味合いが込められているため、すでに怪我で入院している人や、病気で治療中の人、体調を崩している人には決して使ってはいけません。 病気の人や入院している人には、
などと使うようにしましょう。
「自愛」には「お身体」という意味が含まれているので、「お身体をご自愛ください」とすると、「お身体をお身体を大切にしてください」といったように意味が重複してしまいます。 「ご自愛ください」だけでも、「お身体を大切にしてください」という意味は伝わるので、気をつけましょう。
「ご自愛ください」はいつでも使うことのできる言葉です。 「年賀状」や「暑中見舞い」などの時や、特別なことのない時でも春夏秋冬に合わせて使える「ご自愛ください」のフレーズをたくさん紹介いたします。
年賀状の挨拶には、「ご自愛ください」が頻繁に使われます。 上司や先輩に年賀状を書くときに、あまりにも文章が短すぎると手抜きな感じが出てしまいます。 そんな時には一言、相手を気遣う文章を入れるのが良いでしょう。 書き方としては、昨年の感謝の言葉を述べた後に、今年もよろしくお願いしますといった挨拶、健康を気遣う文章を入れます。 目上の相手に足して年賀状を書くときは、相手の健康を気遣う言葉を入れた方がより丁寧で、良い印象を与えることができます。
<年賀状の例文>
<年賀状の全文の例文> ・謹賀新年 旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。 新春を迎え皆様のご多幸をお祈り申し上げますと共に本年もよろしくお願いいたします。 ご多忙の折ではございますが、風邪など召されませぬようご自愛くださいませ。 平成◯◯年 元旦
<年賀状の全文の例文> ・新年あけましておめでとうございます 旧年中は一方ならぬご厚情を賜り、誠にありがとうございました。 まだまだ未熟ですが、本年もご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。 寒暖の差が激しくなっておりますので、風邪など召されませぬようご自愛ください。 平成◯◯年 元旦
「暑中見舞い」とは、夏の暑さが厳しい時期に、日頃会えない友人やお世話になっている人に近況報告や安否を伺うための季節の挨拶状です。「暑中見舞い」は、梅雨明けから立秋前までに送ります。 冒頭に「暑中お見舞い申し上げます」と書いてあれば、様々なお知らせをすることができます。お知らせの例としては、引っ越し、転勤、結婚、出産などが挙げられます。 暑中見舞いを書く際は、相手の健康を思いやる言葉を入れ、近況などを伝えます。 暑中見舞いの書き方としては、 季節の挨拶→先方の安否を尋ねる言葉→自身の近況やお知らせを伝える→先方の健康を祈る言葉→日付 といったようになります。 暑中見舞いの日付は、「◯年◯月◯日」と具体的に書かずに、 「平成◯◯年 盛夏」「平成◯◯年 七月」「平成◯◯年 八月」といったように書きます。
<暑中見舞いの例文>
<暑中見舞い全文の例> ・暑中お見舞い申し上げます 厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 今年も例年以上の猛暑とのこと、先が思いやられますね。 当地は多少過ごしやすいですから是非遊びにおいでください。 どうぞ、くれぐれもご自愛くださいますように、家族一同お祈り申し上げております。 平成◯◯年 盛夏
<暑中見舞い全文の例> ・暑中お見舞い申し上げます 寝苦しい日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 私たちも、暑さに負けぬよう頑張っております。 昨年にもまして暑さが厳しく感じられます。 まだしばらくは厳しい暑さが続きますので、くれぐれもご自愛ください。 平成◯◯年 七月
「残暑見舞い」とは、夏の暑さが厳しい時期に、日頃会えない友人やお世話になっている人に近況報告や安否を伺うための季節の挨拶状です。「残暑見舞い」は、立秋から8月いっぱいまでに送ります。 残暑見舞いの書き方としては、 季節の挨拶→先方の安否を尋ねる言葉→自身の近況やお知らせを伝える→先方の健康を祈る言葉→日付 といったようになります。暑中見舞いの書き方と同じです。 暑中見舞いとは送る時期が違うので、季節の挨拶も少しずつ異なります。間違わないように気をつけましょう。 残暑見舞いの日付は、「◯年◯月◯日」と具体的に書かずに、 「平成◯◯年 晩夏」「平成◯◯年 立秋」「平成◯◯年 八月」といったように書きます。
<残暑見舞いの例文>
<残暑見舞い全文の例> ・残暑お見舞い申し上げます 立秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いております。 皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。 私どもは夏休み、夏期休暇を利用して軽井沢へ出かける予定です 夏の疲れが出やすい頃と申しますが、夏バテなどなさいませぬようご自愛ください。 平成◯◯年 晩夏
・残暑お見舞い申し上げます 朝夕には秋風が感じられるようになってまいりました。 皆様お変わりなくお過ごしのことと存じます。 紅葉の頃にぜひお越しください。今年は鮮やかな色づきが期待できそうですので、私達も楽しみにしています。暑さはまだしばらく続きそうです。どうかくれぐれもご自愛下さい。 平成◯◯年 立秋
3月、4月、5月頃の春は、季節の変わり目であることや新年度が始まる忙しさなどを考慮して「ご自愛ください」を使います。 年度末・新年度の挨拶文にも用いることができます。
6月、7月、8月頃の夏は、梅雨や暑さを考慮して「ご自愛ください」が使われます。 暑中見舞いや残暑見舞いにも使うことができます。
9月、10月、11月頃の秋は、残暑や冷え込むことを考慮して「ご自愛ください」が使われます。
12月、1月、2月頃の冬の季節は、寒いことを考慮して「ご自愛ください」が使われます。 この季節の年賀状や寒中見舞いなどにも用いられます。
メールや手紙で「ご自愛ください」という言葉をいただいた場合、どのように返信すれば良いのでしょうか? 「ご自愛ください」の返事としては、 <お気遣いいただき誠にありがとうございます。◯◯さんもどうぞお体にはお気をつけください> この言い回しが一般的に多く使われます。 返事の基本としては、「相手の気遣いに対するお礼+こちらからの相手の健康を気遣う言葉」で返答するのが適切になります。相手は自分の体を心配してくれているので、返事としては気遣いへの感謝とこちらからも相手を気遣う気持ちを示すことが大切です。
<「ご自愛ください」の返事の例>
「お大事に」には
という意味があります。 「お大事に」は主に相手の健康状態を気遣い、体調の回復を願う気持ちを伝える表現です。 「お大事に」には、治療に専念して早く回復して下さいという願いと、病気が悪化しませんようにという願いが込められています。 「お大事に」は相手をいたわる言葉なので、目上の相手に使っても失礼には当たりません。 しかし、相手によっては違和感を覚える人がいます。理由としては、「お大事に」は「お体を大事になさって下さい」や「大事に至りませんように」を省略した言葉だからです。 「お大事に」と言うとそっけない感じがしますが、「お大事になさってください」と文章を完結させることによって、誰に対してでも使うことができます。しかし完結させる表現でも、「お大事にしてください」は適切ではありません。 「して下さい」は動詞「する」+要求・命令の補助動詞「下さい」で成り立っているため、目上の相手に使うと失礼に当たります。
「おいといください」は、「いたわってください」「大事にしてください」という意味です。 「おいといください」は、「どうかお体おいといください」といったような形で、相手の健康を祈る結びの挨拶で使用します。 「おいとい」は漢字だと「厭(いと)う」と書きます。「厭」とは「嫌う」「不愉快」といった意味です。つまり「おいといください」は、「いやなことを避けるために気を付けてください」という気持ちを表します。 「おいといください」は「ご自愛ください」よりも、相手の健康を思いやる気持ちが強いですが、一般的にあまり使わない言葉になります。
「労り(いたわり)」は、「心を用いて大切にすること」「気にかけること」を意味しています。 「お労りください」は、相手の健康を強く願う場面では最適な言葉となります。 「お労りください」は、「お大事になさってください」よりも相手を思いやる気持ちが伝わる表現です。
「健勝」は、「健康が優れていて健やかなこと」を意味しています。 「ご健勝をお祈り申し上げます」とすると、「(あなたが)健康であることをお祈りします」という意味になります。「ご健勝お祈り申し上げます」は、手紙やメールの挨拶か結びの言葉として用います。 「健勝」は、個人や家族の健康を祝う言葉なので、企業や団体に対しては使うことができません。 ですので「御社におかれましてはご健勝のこととお祈り申し上げます」といったような使い方は誤りになります。 また「ご健勝お祈り申し上げます」の他に、「ご健勝のこととお慶び申し上げます」という表現もよく使われます。「慶び」とは「喜ぶこと」を意味しています。つまり「ご健勝のこととお慶び申し上げます」は、 「(あなたが)健康であったら私も喜ばしいです」といったニュアンスになります。
「専一」の意味は、「他のことを考えずにただ一つの物事に励むこと」です。 つまり「ご自愛専一」は、「まず第一に自分自身を大切になさってください」という意味になります。 「ご自愛専一」は、手紙やメールで、相手の健康を祈る挨拶として用いられます。 「ご自愛専一」の使い方としては、「ご自愛専一に〜ください」「〜、ご自愛専一に」といったようになります。 「ご自愛専一」は「ご自愛ください」と似ていますが、「ご自愛専一」は「体を大事にすることを最優先に」という意味合いが強くなります。
「ご自愛ください」の英語表現を見ていきましょう。 「ご自愛ください」のようにビジネスシーンでも使える堅い表現は、
などを使います。 もっとカジュアルな表現は、
などです。
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「ご自愛ください」について理解できたでしょうか? ✔︎「ご自愛ください」は、「あなた自身の体を大事にしてください」という意味の労り言葉 ✔︎「ご自愛ください」は、手紙やメールの末尾で、相手の健康を気遣う結びの言葉として使われる ✔︎「ご自愛ください」は男性・女性、目下・目上など老若男女関係なく使うことができる表現 ✔︎「ご自愛ください」を使用する上では注意しなければいけない点がある ✔︎「ご自愛ください」の類語には、「お大事になさってください」「お労りください」などがある