「ブッキング」という言葉は知っていますか?「予約」という意味で漠然と使っている人も多いかと思いますが、実は業界別に本当にたくさんの意味と使い方が存在します。「オーバーブッキング」「ダブルブッキング」という言葉で「ブッキング」という言葉を知っている人やホテル予約サイト「ブッキングドットコム」を知って人もいるかもしれません。 またカタカナ語「ブッキング」は、語源である英語「booking」とは少し使い方に違いがあるので、英語を使う際も注意が必要です。今回は「ブッキング」の意味と使い方を徹底解説していきたいと思います。
「ブッキング」の基本的な意味は「予約」になります。 ホテルや旅館などの宿泊施設の予約や航空機や鉄道などの移動手段の予約など旅行関連の「予約」を意味します。 「ブッキング」は本来、旅行関連の予約(ホテル、航空券など)に対して使う言葉ですが、「人との会う約束」という意味でも慣用的に使用されています。 日本において日常会話で使う「ブッキング」の意味は、まずこの意味だと思って間違いないでしょう。 語源は英語の「booking」になります。英語の「booking」の使い方に関しては、この記事の最後で詳しく解説します。 「ブッキング」は名詞として使い、動詞として使う場合は「ブッキングする」または「ブッキングをする」になります。 例文で「ブッキング」の使い方を確認してみましょう。
例文
「ダブルブッキング」「オーバーブッキング」「フルブッキング」という言い回しも見聞きしたことある人が多いのではないでしょうか? 「ダブルブッキング」は「同時期に同じ枠に対して2つの予約を取ってしまうこと」です。 例えば、ホテル運営側が1つの部屋に対して2人の利用者の予約を同時期に取ってしまったら、これは「ダブルブッキング」にあたります。 日常的に使う「ダブルブッキング」は、「同じ日の同じ時間帯に2人と会う約束をしてしまうこと」という意味であることが多いです。 「オーバーブッキング」は「提供できる枠以上に予約を取ってしまうこと」です。 例えば、100席しかない席に対して、110人の予約を取ってしまうったら、「オーバーブッキング」にあたります。 意味的には「オーバーブッキング」は「ダブルブッキング」を内包します。 「フルブッキング」は「提供できる枠のすべての予約を取ること」です。 例えば、1000部屋あるホテルの1000部屋予約が埋まっていれば「フルブッキング」になります。 「フルブッキング」は企業側としては、とてもよいことです。無駄なくサービスを提供できるので、営業利益率の向上に繋がります。 「ダブルブッキング」「オーバーブッキング」に関しては、友達もしくは顧客に迷惑をかける行為ですので、注意が必要です。 「ダブルブッキング」と「オーバーブッキング」と「フルブッキング」の使い方を例文でみてみましょう。
例文
日本語のカタカナ語である「ブッキング」は、上記で説明した「予約」の意味以外でもかなり広く使われます。 業界別に様々な意味と使い方がありますので、1つずつ見ていきたいと思います。
会計における「ブッキング」とは、「帳簿への記入」つまり「記帳」を意味します。 これは英語「book」が「本、書籍」という意味以外に、複数形「books」の形で「帳簿」という意味もあるからであり、そこから動詞に変化したものです。 ただし、会計士などでも「ブッキング」という用語を使うことは珍しく、英語ではそういうんだな〜くらいに覚えておけば十分でしょう。
映画業界で「ブッキング」というと、「映画配給会社が映画館に英語を配給すること」を指します。 この「ブッキング」には2種類あります。
「ブロックブッキング」に関しては色々と批判も多いです。 予想外に大ヒットした映画でも、予め(基本的に1年前)決められた期間しか上映されないので、見れない人が増えたりする。(映画館も機会損失してしまう)大手映画配給会社にとって有利なシステムといえる。
貿易・物流における「ブッキング」とは、「海外輸出の際に物流会社が航空会社や船会社に目的地までのスペースの予約を取ること」です。 日本語でいうと「船腹予約(せんぷく)」になります。 物流業界での「ブッキング業務」は、「予約」だけに留まず、運ぶ物のサイズに合せて船の大きさを選定したり、確認作業や本社との連絡業務など色々なタスクが含まれます。
芸能界・音楽業界における「ブッキング」とは、「タレントやアーティストの番組や音楽ライブへの日程調整をし、出演の契約を取ること」です。 芸能界では、共演NGのタレントがいたり、裏番組との兼ね合い、出演料の交渉、番宣の有無、テレビ局と芸能事務所との関係などによりブッキングの交渉が大きく左右されます。 番組のプロデューサーは、いかにコスパよく視聴率の取れるタレントをブッキングするか、が1つの大切な能力といえるでしょう。
サッカーにおける「ブッキング」とは「審判が選手に対してイエローカードを出すこと」を指します。 逆にイエローカードをもらうことを「ブックド(booked)」といいます。 アメリカではサッカーはメジャーなスポーツではないので、主にイギリスで使われる言い回しになります。 イエローカードを渡した選手の情報を審判は自分の手帳に記入する(記帳)ことから「ブッキング」と言われるようになりました。
「ブッキングライブ」とは、「ライブハウス運営者が主催・企画するライブのこと」です。 出演するアーティストの管理、タイムスケジュール、待ち時間、イベント料金などをすべてライブハウスが責任を持ちます。 アーティスト自らが企画するわけではないため新規ファンを獲得することが望まれる一方で、持ち時間が少ないなどのデメリットもあります。
航空用語で「ブッキングクラス」というものがあります。別名「予約クラス」となります。 「エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスを更に細分化したもので、同じエコノミークラスでも予約した際の料金によって分けられた座席の種類」のことです。 顧客は「ブッキングクラス」というものは意識せずに日々利用していますが、格安の座席などはマイレージの対象外になることもあるので注意が必要です。
「スクラップブッキング」は、「お気に入りの写真を貼るペーパークラフトのこと」です。 写真をただアルバムに貼るのではなく、メッセージやシール、マスキングテープ、ビーズなど色々とアレンジして、写真ごとにオリジナリティー溢れる思い出として書き留めるものです。
上記でも紹介した「オーバーブッキング」は、通信業界でも使われています。 通信業界で「オーバーブッキング」といえば、「電話会社または携帯電話会社が自社が抱えている通信設備よりも多くの通信回線を顧客に提供する状態のこと」です。 このような問題は、現代ではサーバーエラーによって引き起こされる。この状態が続くと、通信速度が極端に遅くなったりします。
「ブッキングドットコム」とは、「世界最大のオンラインホテル予約サイト」になります。固有名詞です。 「ブッキングドットコム」は、オランダ・アムステルダムに本社を置く、ヨーロッパ発の世界で大成功を収めているIT企業になります。 国内のホテルの予約では、「楽天トラベル」や「じゃらん」などが強いですが、海外ホテルの予約では「ブッキングドットコム」のホテル掲載数が圧倒的に多くなっています。
「ダブルブッキング」のことを略して(または誤って)単に「ブッキング」と言っている人がたまにいますが、上記で説明してきた通り意味がまったく違うので注意しましょう。 「ダブルブッキング」と似た言葉に「バッティング」があります。 「バッティング」は「ぶつかる、衝突する」の意味になります。 この意味から転じて、「予約が重なる」ことに対しても使うことができます。 「ダブルブッキング」=「ブッキングのバッティング」ということになります。
例文
「バッティング」は、「予約が重なること」以外の意味でも「ぶつかること」という意味で幅広く使うことができます。 「上司と部下の意見がバッティングする」「A社とB社が新商品でバッティングする」「既存事業と新規事業がバッティングする」などなど、ビジネスシーンでは色々な「衝突」を表現する際に使うことができます。
「ブッキング」「オーバーブッキング」「ダブルブッキング」の類語は、 「ブッキング」:予約 「オーバーブッキング」:過剰予約 「ダブルブッキング」:二重予約 になります。 類語というより厳密には和訳、ということになります。
英語「booking」は、旅行関連の予約のみに対して使います。 日本語のカタカナ語のように「人との約束」という意味では使いませんので注意してください。 人との約束は「appointment」を使います。医者、弁護士、歯医者、取引先など人と会う約束はすべて「アポイント」を使います。 レストランの予約は「reservation」を使います。「reservation」はホテルや航空券の予約に対しても使うことができます。 「予約」の英語表現に関しては、下記の記事で詳しく書きましたので、ぜひ参考にしてください。
「予約をする」は「make a booking」になります。 「予約を取りやめる」は 「cancel the booking」になります。 例文を見てみましょう。
I made a booking two months ago, but it was double booked.
2ヶ月前に予約したが、ダブルブッキングされていた。
His passport was not issued on time, so we had to cancel the booking.
彼のパスポートが予定通りに発行されず、予約をキャンセルせざるを得なかった。
いかがでしたか? 「ブッキング」には、意外にも多くの意味と使い方があることをご理解いただけたかと思います。 また、日本語の「ブッキング」と英語の「booking」にも使い方の違いもありました。 「ブッキング」の意味は基本的には「予約」であると理解していれば、日常会話では問題なしです!!