「お待ち申し上げております」は、「あなたが来ることを待っています」ということを伝える丁寧な敬語表現です。ビジネスシーンでもよく使用される表現ですよね。今回は「お待ち申し上げております」の敬語表現と使い方を解説します。また、類語・言い換え表現や「お待ち申し上げております」の英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「お待ち申し上げております」は、「おまちもうしあげております」と読みます。 「待つ」には、「物事・人が来るまで、時を過ごす」という意味があります。 「お待ち申し上げております」は「あなたが来ることを望んでいます」と伝える言葉です。 例えばビジネスシーンで取引先の相手と商談や打ち合わせの約束を取り付けたときに、日程を確認すると同時に「当日あなたが来ることを待っています」と伝えることで印象がよくなります。 また、飲食店ではお客様が来店することを歓迎する意味で使用したり、日常生活でも目上の人を家に招いたときに、相手が訪問することを待っていますと心待ちにしている気持ちを伝えるために使用されます。 口語だけではなく、結婚式やイベントの案内状やメールの返信を催促する時など書き言葉としても使用することができます。
ビジネスシーンで打ち合わせの日程についてのやりとりをしているような場面で、相手から「お待ち申し上げております」と言われたら、「よろしくお願いいたします」と返事をしましょう。 結婚式やイベントの案内で「お待ち申し上げております」と言われたら、「お誘いいただきありがとうございます」とお礼の気持ちを述べ、「楽しみにしております」などと自分も心待ちにしていることを伝えます。
「待っています」でも敬語表現です。 「待っています」は「待つ」に、丁寧語の「ます」をつけた言葉です。 丁寧語は「です」「ます」を文末につけて文章全体を丁寧にすることができます。 ただし、尊敬語や謙譲語のように相手に敬意を示すことはできません。 同僚や目下の人に対しては丁寧語で十分ですが、目上の人に対して使用する場合は尊敬語や謙譲語を使用して敬意を示すことが望ましいです。 目上の人に「待っている」と伝えたい場合は、より丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「お待ちしています」は、品詞分解すると「お」+「待つ」+「して」+「います」となります。 「待つ」についている「お」は接頭語です。 接頭語「お」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「お待ちしています」の場合、待つのは自分なので接頭語の敬語の種類は謙譲語です。 謙譲語は、自分のことをへりくだることで相手に敬意を示すことができる敬語表現です。 「います」は、「いる」の丁寧語です。 したがって「お待ちしています」は謙譲語+丁寧語であり、「待っています」より丁寧な敬語表現であるといえます。
「お待ちしています」は「お待ちしております」だとより丁寧です。 「お待ちしております」は、品詞分解すると「お」+「待つ」+「して」+「おる」+「ます」となります。
丁重語は動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している丁重語です。 したがって「お待ちしております」は、謙譲語+丁重語+丁寧語の丁寧な敬語表現であるといえます。 丁重語は謙譲語の一種ではありますが、「謙譲語Ⅱ」という別の種類に分類されるため、二重敬語ではありません。 「お待ちしております」は、ビジネスシーンや案内状などでよく使われる最も一般的な表現です。 「心より」などを付けるとさらに心待ちにしている様子が伝わるのでよいです。
「お待ち申し上げております」は、品詞分解すると「お」+「待つ」+「申し上げる」+「おる」+「ます」です。
したがって「お待ち申し上げております」は、謙譲語+謙譲語+丁重語+丁寧語で二重敬語であるため誤用であるといえます。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を二つ以上重ねて使用してしまうことをいいます。 ただ、間違った敬語表現ではありますが一般的に使用されてる敬語表現です。 間違っていても、使用する人が多いことで常用化され「正しい」と認識されていくことはよくあります。ですので、一概に間違っているとも言えませんが、案内状などかしこまった文章では正しい敬語表現を使用する必要があるでしょう。
「お待ちいたしております」も二重敬語です。 「お待ちいたしております」は、品詞分解すると「お」+「いたす」+「おる」+「ます」となります。
目上の人や取引先の相手など敬意を示すべき相手に「来てもらう」というときは、「お越しください」「いらしてください」と言い換えることが可能です。 「お越しください」は「来る」の尊敬語「お越しになる」+「くれ」の丁寧語「ください」でできている敬語表現です。 「いらしてください」は「いらっしゃってください」を略した言葉になります。 「いらしてください」は「来る」の尊敬語+「くれ」の丁寧語「ください」でできている敬語表現です。 本来は「いらっしゃってください」と使わなくてはいけませんが、長く使い勝手が悪いため「いらっしゃて」を「いらして」に変化させた形が使われることが多いです。 「ぜひお越しください」「ぜひいらしてください」といった言い回しで、「お待ちしています」と同じように相手を歓迎する気持ちを伝えることができます。
「返信をお待ち申し上げております」と伝えることでメールの返信を催促することができます。 ただし、目上の人に対してや取引先相手の人に対しては、「待つ」と言わない方が丁寧です。 メールの返信を催促するときは、「大変恐縮ではございますが...」などクッション言葉を沿えて、「お願いしたく存じます」など丁寧にお願いをしましょう。 お願いをするときのフレーズとしては、「お願い申し上げます」が丁寧でよく使用されます。 また、「お忙しい中恐縮ですが、5日(金)までにお返事いただけると幸いです」というように「いつまで」というのを伝えるのも丁寧です。
「お待ちしています」を直訳すれば、「I am waiting to see you.」ですが、このような表現はネイティブは使いません。 それならば「can't wait to see you again」などがありますが、この表現はとてもカジュアルで、ビジネスシーンでは使いません。
「お待ちしています」をビジネス英語にするなら「look forward to」を使います。 これは「楽しみにしている」という意味合いです。 「We look forward to seeing you again.」で「またお会いするのをお待ちしております」という意味になります。