「滅相もない」という言葉をご存知でしょうか。「滅相もない」は、「とんでもないです」と相手の言葉に対して謙遜する意味や、「そんなことないです」といった否定の意味で使用される言葉です。今回は、「滅相もない」という言葉の正しい意味と敬語表現、使い方を例文つきで解説します。また、「とんでもない」との違いや英語表現も紹介しますので参考にしてください。
「滅相もない」の読み方は「めっそうもない」です。 「滅相もない」とは、「思いがけないことである」「あるべきことではない」という意味で、相手の言うことを否定するときに使う言葉です。 堅い言葉なので相手に悪い印象を与えずにビジネスシーンで使用することができる便利な表現です。 「滅相もない」は実は「滅相」の強調表現で、「滅相」単体でも「法外なさま。とんでもないさま」という意味があります。 「これ以上滅相なことは存在しない」という意から「滅相もない」という表現が生まれたと言われています。 「滅相なことを言うもんじゃない」「そんな滅相な話は信じられない」などと使います。
「滅相もない」の語源は、仏教用語からきていると言われています。 仏教では、物事の移り変わりを「四相」という四段階にわける考え方があります。 「四相」は、産まれることを「生相」存在していることを「住相」変化することを「異相」消えてなくなってしまうことを「滅相」としていました。 この消えてなくなってしまうことを意味していた「滅相」という言葉が「滅相もない」の語源です。 「滅相」が尽きると命が消えてなくなってしまうということから転じて、「とんでもない」という意味合いを込めて「滅相もない」と使用されるようになりました。
「滅相もない」という言葉は、自分自身に関することを褒められたというような場合の返事として使用される言葉です。 相手に何か褒められたという場合は、謙遜する気持ちがあっても「そんなこないです」とストレートに否定してしまうと失礼にあたります。 だからといって、「そうですよね、ありがとうございます」と肯定的すぎる返答をするのも謙虚さがなく、礼儀がないなと思われてしまう可能性があります。 そういった場面で「滅相もない」と使用すると、「そんなことないです」という謙遜する意味合いが強くなり、相手に謙虚な姿勢をみせることができて好ましいです。
例文
「滅相もない」という言葉には謙遜する意味合いだけではなく、「他人の意見を否定して返す」という「強い否定」のニュアンスでも使用されます。 例えば、絶対にありえない疑いをかけられたといった場面で「そんなことあるわけないです!」という強い否定の言葉を丁寧に言い表したものが「滅相もない」という表現になります。 謙遜する意味合いなのか、強い否定の意味合いなのかは、場面と前後の言葉で判断しましょう。
例文
「滅相もないです」は「とんでもないです」という意味合いがありますが、基本的に褒められた時に謙遜する場合に使用する言葉で、謝罪への返事としてはあまり使われません。 目上の人など敬意を示すべき相手から謝罪をされた場合は、
といったように、はっきりと「大丈夫です」ということを伝えて相手を安心させる一言を述べましょう。
例文
「滅相もございません」は、「滅相」という言葉に「ありません」という打ち消しの意味がある言葉の丁寧語である「ございません」を使用している言い回しで、「滅相もない」ということを丁寧に言い表した言葉ですが、この表現は誤用であるという意見もあります。 理由としては、「滅相もない」という言葉は「滅相もない」という言葉が1つの形容詞であり「滅相」という言葉と「ない」という言葉に分けて敬語表現にすることはできないという考えがあることがあげられます。 しかし、文化庁が発表した「敬語の指針」でも「滅相もございません」という表現は問題ないという説明があり、現在では頻繁に見かける使用方法となっています。
「滅相もない」は、自分と同等の立場の人間や、目下の人に対しては「滅相もない」という一言で謙遜している表現として使用できます。 しかし、上述したように「滅相もない」という言葉で1つの形容詞であるため、この一言では敬語表現になりません。 そのため、目上の人に対して使用する場合は「滅相もないことです」といったような敬語表現に言い換える必要があり、「滅相もないことです」というような敬語表現を使用します。
「滅相もない」をより丁寧に言い表すと「滅相もないことでございます」という表現になります。 「ございます」は、「〜だ」「〜です」を丁寧に言い表した表現です。 さらに、「滅相もない」と「ございます」の間に「こと」という名詞を入れています。 「滅相もない」は形容詞で、他の名詞を修飾する必要があるため「滅相もない」の後に名詞「こと」をつけることによって、形容詞の役割を果たすことができます。
「とんでもない」の意味は、
の3つになります。 「とんでもない」は目上の人から褒められたときや、お客様にお礼を言われたときなどに、謙遜の意味も含めて軽く否定するときに相応しい言葉であるため、「滅相もない」とほぼ同じ意味で使用されている類語になります。
「滅相もない」と「とんでもない」は類語表現ですが、「滅相もない」の方が堅い言葉なので上司や取引先などの目上の人には「滅相もない」を使った方がベターでしょう。 「とんでもないです」などの敬語(丁寧語)表現を使えば目上の人に使うことも可能ですが、それならば上記でご紹介した「滅相もない」の敬語表現を使った方がよりフォーマルになります。
「決してそんなことはない」の意味は「絶対にそんなことはない」という意味で使用される言葉です。 「決して(けっして)」は、後に「〜ない」という打ち消しの言葉を伴って「絶対に」「断じて」というニュアンスになります。 つまり、「決してそんなことはない」は、相手が述べたことに対して「絶対にそんなことはない」というニュアンスで否定をする表現です。
「濡れ衣(ぬれぎぬ)」は「見に覚えのない罪」という意味の言葉です。 無実の罪を着せられることを「濡れ衣」と表現します。
「冤罪(えんざい)」の意味は、「罪がないのに罰せられること」です。 一般的には、刑事事件において、無罪なのにも関わらず法律で罰せられてしまうといったことを「冤罪」といいます。
「滅相もない」の英語表現は色々のパターンが考えられますので、ニュアンス別に紹介していきます。
「そんなわけない、ありえない」というニュアンスならば、
などになります。
Ask my dad for help? No way!
父に助けを求めるなんて、滅相もない。
「バカなこと言わないでよ」というニュアンスならば、
となります。
That guy is a doctor? Don't be ridiculous.
あいつが医者だって?滅相もないことを言うなよ。
「〜に決まってるじゃん」というニュアンスならば、
などになります。
She knew nothing about it? Of course she did!
彼女がそのことについて何も知らなかったって?滅相もない!
相手の謝罪などに対して「全くそんなことないですよ」というニュアンスならば、
です。
"Sorry to be late." - "滅相もないありません。私も今着きました"
「遅れてすまない」-「Oh, not at all. I've just arrived here too.」
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