「ご参考までに」という言葉をご存知でしょうか。資料などを用意した場合に「よかったら参考にしてください」というような意味合いで使用される言葉です。今回は、「ご参考までに」という言葉の意味と、ビジネスシーでの使い方を例文付きで紹介します。また、英語表現も紹介しますので参考にしてください。
「参考」は「さんこう」と読みます。
「参考」の意味は「物事の手がかりにすること」です。 「参考」は、「ひきくらべる・調べる」という意味のある「参」と、「考える・思い巡らす」という意味のある「考」という漢字を組み合わせた言葉です。 例えば、何か物事を考えたり、決めたりする場面で、資料や人の意見など手がかりとなるものを使用し、考えることを「参考」といいます。
「ご参考までに」は、「よければ参考にしてください」というような意味合いで使用される言葉です。 「までに」は、福助詞の「まで」に格助詞の「に」をつけたものです。 この場合の「までに」には、「事態がそれに限られている」ということを表していて、「考える材料程度に限られますが」という謙遜のニュアンスになります。 話題に直接関係しない場合や、結論を大きく左右することを目的としない場合に「ご参考までに」という言い回しを使用します。
「ご参考までに」の頭についている「ご」は接頭語です。 接頭語の「ご」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなりえます。 簡単に説明すると、 相手の行動に「ご(お)」をつけて、「ご(お)〜する」の場合は「尊敬語」 相手に敬意をしめすために自分の行為をへりくだった表現にしている場合は「ご(お)〜する」というようなかたちの場合は「謙譲語」 「ごゆっくり」「ごもっとも」というように丁寧な事言葉使いをすることで、話し相手に敬意をしめしている場合は「丁寧語」となります。
「ご参考までに」の場合の「接頭語」は、「参考」という言葉自体を丁寧に言い表すためについている接頭語の「ご」であるため、丁寧語となります。 「ご参考までに」は丁寧語で、目上の人に使用することができる表現ですが、相手に敬意を示すという意味では丁寧さに欠るので、「ご参考までに資料をお持ちいたしました」というようにさらに丁寧な言い回しを後に続ける必要があります。
接頭語の「ご」をつけずに「参考までに」として使用する場合もあります。 しかし、「参考までに」は、敬語ではないため同僚や目下の部下などに使用する言い回しであるため、目上の人に対して「参考までにお聞きしたいのですが」というように使用することはできません。 「参考までに」は同僚や、目下の人に対してカジュアルなイメージで使用することができる言い回しです。
「ご参考までに」という言葉の後ろには本来、「確認してください」「資料をお渡しいたします」といった言葉が続きます。 つまり、「ご参考までに」は後ろの言葉を省いた略語ということになります。 このような表現は、解釈を相手に委ねているため、親しい間柄など場面によっては使用しても問題ありませんが、ビジネスシーンでさけるべきとされています。 ビジネスシーンで略語を使用せずに、しっかりと相手に伝えることが基本です。
「ご参考までに」は、
というように、先に書いた文章や資料に文章の締めくくりとして文末に使用することがあります。 しかし、上述している通り後ろの言葉を省略している表現となる為、使用する場合は相手や場面によっては丁寧な表現に言い換える必要があります。
「査収(さしゅう)」は「よく調べた上で受け取ること」を意味します。 また、「同意する・納得する」という意味も含まれ、「ご査収」は「物品・書類・金額などをよく調べて受け取ること」を意味します。 ビジネスシーンでよく使われる「ご査収ください」は簡単に言うと、「しっかり調べて受け取ってね」ということです。単に”受け取ってください”という意味ではなく、「しっかり内容を確認したり、理解してください」というニュアンスになります。 「参考までに」が、「よかったら参考にしてください」というニュアンスであるのに対して、「ご査収ください」と続けてしまうのは、意味合い的におかしい表現になってしまいます。 したがって、「ご参考までにご査収ください」という表現はビジネスシーンでよく耳にしますが好ましい表現ではないと言えるでしょう。
「お目通し」は、「目通し」に尊敬を表す接続語の「お」をつけた敬語です。 「目通し」に「お」をつけて尊敬を表すことで、目上の人や、ビジネスシーンで使えるようになります。 「目通し」の意味は「はじめから終わりまで全体的に目を通すこと」であるため、「ご参考までにお目通しください」は、「参考までにさっと見てみてください」というような意味になります。 間違えている表現ではありませんが、「お目通し」という言葉は謙譲語と使用すると丁寧な表現になる言葉なので、「ご参考までにお目通しいただければ幸いです」というような使い方をするほうが好ましいです。
「ご一読」の意味は「一度読むこと・さっと読むこと」です。 「一読」には「さっと一度読んでください」というようなニュアンスがありますが、ビジネスシーンで使うような場合には「じっくり読んでほしい」という場面でも使用することができます。 つまり「ご参考までにご一読ください」は、「参考程度に一度読んでみて下さい」というようなニュアンスになります。 直接的に「きちんと読んでください」と伝えるよりも、相手の負担を考えた柔らかいお願いの仕方をすることができる言葉です。
「参考までに教えてください」は、参考程度に簡単に教えてくださいと相手に質問をする場面で使用する言葉です。 上述したように「参考までに」という表現は、主に目下の人間や、同僚に対して使用することができる表現です。 かなりカジュアルな表現になりますので、「参考までに教えていただきたいのですが」というようにできるだけ丁寧な言い回しをすることを心がけましょう。
ビジネスメールなどで、資料を転送する場合などには、「ご参考までに転送いたします」というような一言を添えます。 ビジネスシーンで何かを転送する場合は、転送した理由を述べないと相手に意図が伝わらないという場合がありますので、「参考までに転送します」というように「参考になるものなのだな」ということがわかるように一言述べることが好ましいです。 「転送いたします」は、さらに「する」の謙譲語である「いたします」を使用した丁寧な表現です。
「幸い(さいわい)」の意味は、
で、「幸いです」は、「自分にとって嬉しいことです」「〜であれば幸せになります」といった意味で使用されます。 つまり、「ご参考になれば幸いです」は、「ご参考になりましたら幸いです」は、「参考になれば嬉しいです」という意味です。
「幸甚です」は、「幸甚」に丁寧語の「です」をつけた言葉です。 「幸甚です」の意味は「非常に嬉しいです」です。
というようなニュアンスが含まれている言葉です。 「幸甚です」は「もし〜してくれたら嬉しいです」という意味合いで、”ありがたい・嬉しいといったポデティブなこと”を表します。
「よろしい」は「よい」を丁寧にした語で、
といった意味があります。 「よろしければ」は「よろしい」の仮定形「よろしけれ」+「もし〜ならば」という意味の接続助詞「ば」で成り立ち、「もしよかったら」という意味で相手にお伺いをたてるときに使う表現となります。 「よろしければ」には断定の意味合いよりも、判断は相手にまかせるという意味合いが強く、依頼や頼みごとが柔らかく聞こえるというメリットがあります。 つまり、「よろしければご参考ください」は「もしよかったら参考にしてください」という謙虚さがある表現です。
「させていただきます」は、使役の助動詞「させて」+「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」で成り立っています。 「させていただきます」は、「相手に許可を得て、ある行為を遠慮しながらすること」を意味する謙譲語です。 つまり、相手に何か参考になるような助言をもらったり、資料をもらったというような場面で相手に敬意を示して「参考にさせていただきます」と使用します。
「ご参考資料」は、「参考となる資料」を指し示す言葉です。 例えばビジネスシーンで資料を用意し、会議を行ったりプレゼンをするという場面で、用意した資料を「ご参考資料」といった形で使用します。
「ご参考」・・・「人からのはなしや資料を手がかりとすること」 「ご参照」・・・「書籍やネットなど文章や図と照らし合せて見ること」
「参照」は「照らし合わせて見ること」「引き比べて参考にすること」を意味します。 目上の人に、「見てもらいたい」「参考にしてもらいたい」とお願いしたいときに、「ご参照ください」を使います。 「ご参照ください」は尊敬を表す接頭語「ご」+「参照」+丁寧語「ください」で正しい表現となります。 「ご参照ください」は、主に既に配布されている資料や、自分の知識に基づいて情報を照らし合わせつつ確認してほしい場合に用います。
「ご参考までに」は、「参考までに見て下さい」といった意味の言葉の略語であるため、「見て下さい」というニュアンスの言葉であれば、「お目通しください」など、類語は存在します。 しかし、「手がかりとする」という意味での「参考」という言葉の類語は存在しませんので、「ご参考までに」の類語はないと判断して間違いないでしょう。
「ご参考までに」の英語は「for your information」「for your reference」となります。 「ただの参考だけど」というふうに謙虚なニュアンスを付け加えるために「just for your information」とすることもあります。 「for your information」は基本的に書き言葉のみで使われ、追加で情報を相手に伝えるときに使用します。
He is very interested in your proposal. For your information, please take a look at the email i just sent.
彼はあなたの提案をとても気に入っていたわ。参考までに、私が今送ったメールを見てみて。
「for your information」「for your reference」は略して「FYI」「FYR」と表記することもあります。 「FYI」に関しては下記の記事で詳しく書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
↓ ビジネスパーソンにおすすめの英会話教室・オンライン英会話に関してまとめましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
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「ご参考までに」はビジネスシーンや目上の人にも使用することができる言葉ですが、注意点があります。 1つは、上述している通り、「ご参考までに」は略語であるため後ろにきちんと「ご一読ください」など後ろに丁寧な言葉を添えるべきであるということです。 ビジネスシーンでは略語は印象が悪いということを頭に入れておきましょう。 二つ目は、「参考までに」という言葉には「もしよかったら」というようなニュアンスがあるので、「必ず見てほしい」という場合に使用しても、見てもらえないという可能性があるということです。 従って、必ず見てほしいという場合には「お目通しください」といった言葉でハッキリと伝えましょう。 逆に、ビジネスシーンで「ご参考までに」と言われた場合には失礼のないようにきちんと目を通しておくべきだと言えます。 「ご参考までに」という言葉について理解していただけましたか? ✓「ご参考までに」は「ごさんこうまでに」と読む ✓「ご参考までに」の意味は「よければ参考にしてください」 ✓「ご参考までに」の「ご」は丁寧語なので目上に使える表現である ✓「ご参考までに」は略語なのでビジネスシーンでの使用は注意など