「心待ちにしております」は、ビジネスシーンでも「お会いできることを心待ちにしております」など相手に好意や前向きな姿勢を伝えるためによく使用される言葉です。今回は「心待ちにしております」の意味と敬語、正しい使い方を例文付きで解説します。「心待ちにしております」と言われたときの返事や類語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「心待ち」は「こころまち」と読みます。 「心待ち」の意味は「心の中で期待して待つこと」です。 「心待ちにする」で動詞になり、「先のことを期待して待っている様子」を言い表すことができます。 「良いことを期待して待っている」という意味で使用されることが多いですが、「ライバル会社が倒産すること心待ちにしている」というように、悪いことを期待して待っているという意味でも使用されます。
「心待ちにしております」を品詞分解すると、「心待ちにする」+「おる」+「ます」です。 「おる」は「いる」の丁重語で、「ます」は丁寧語です。 丁重語とは動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 丁寧語とは「です」「ます」のように物事を丁寧にいうことで相手に敬意を示す敬語表現ですが、敬意を示す相手の有無を問わず幅広く使用することができます。 よって、「心待ちにしております」は目上の人に使える正しい敬語です。 ただし、自分が待っている対象に敬意を示すものではない点は心に留めておきましょう。
「心よりお待ちしております」と言い換えると、意味は全く同じでありながら、より丁寧な敬語表現となります。 まず「心より待つ」が「心待ちにする」と同義です。 「お待ちする」の「お」は謙譲語です。自分の行為に対して使っているので尊敬語ではありません。 謙譲語は、自分の動作に使い、自分をへりくだって自分の行為の対象を高める敬語です。 さらに「いる」の丁重語である「おる」と丁寧語の「ます」を使用している敬語表現です。 よって、「心よりお待ちしております」は謙譲語+丁重語+丁寧語で、丁重語+丁寧語の「心待ちにしております」より丁寧な敬語表現であるといえます。
「心待ちにしております」は、ビジネスシーンで使用されることが多いです。 例えば、社外の人にアポをとり商談など直接会う約束をとりつけた場合に「心待ちにしております」と伝えることで、相手に対する好意や前向きな姿勢を伝えることができます。 また、直接会っていた後の別れ際の挨拶や、お礼のメールなどでは、会ってくれたお礼の気持ちとともに、今後もお付き合いをよろしくお願いしますという意味を込めて「またお会いできる日を心待ちにしています」というように使用します。 とくに、お礼のメールでは締めの一言として文末に使用されることが多いです。
「心待ちにしております」の例文(ビジネス)
「心待ちにしております」は、年賀状に添える一言にもよく使用されます。 普段中々会うことができない人や、しばらく会っていない人に年賀状で新年の挨拶をするときには「お会いできる日を心待ちにしております」と伝えると印象が良いです。
「心待ちにしております」の例文(年賀状)
ビジネスシーンで「心待ちにしております」と言われたときは、「こちらこそ」といって自分も同じく心待ちにしているという前向きな返事をしましょう。 「こちらこそ」には「相手の言うことは、むしろ自分から相手に言うべきことだ」という謙遜したニュアンスが含まれ、相手よりも自分の気持ちの方が大きいことを表現することができます。 ただし、「こちらこそ」は敬語表現ではありませんので「こちらこそ」に続くことばでしっかりと敬語を使い敬意を示す必要があります。 「こちらこそ」だけで返すのは失礼にあたるので注意してください。
就活中の企業から「お会いできる日を心待ちにしております」などと言われた場合は、「どうぞよろしくお願いいたします」と返信をします。 就活の場合は、自分は相手に時間を割いて対応をしてもらう側なので、「お会いできる日をお待ちしております」と伝えるよりも「よろしくお願いします」と伝えたほうが印象が良いです。 「会社説明会への参加を心待ちにしております」など、心待ちにしていることを伝えても失礼にはなりませんが、「よろしくお願いします」という言葉は必ず添えましょう。
メリカリで商品を購入したときに、出品者に「ご到着を心待ちにしていてください」と言われた場合は、「到着を心待ちにしております」と返事をします。 商品を送るという手間をかけてもらっているので、「商品が届くのを楽しみにしている」という気持ちと感謝の気持ちを伝えるのが望ましいでしょう。
「楽しみにしていおります」の意味は、「先のことに期待をかけて心待ちにすること」です。 「楽しみにする」を丁重語の「おる」と丁寧語の「ます」を使用した敬語表現にすると「楽しみにしております」となります。 例えば、「明日から旅行を楽しみにしております」というように使用した場合、旅行先で起こるであろう楽しい出来事に期待をかけて、旅行に出かけることを心待ちにしているという気持ちを表現していることになります。
例文
「祈念」の意味は「神仏に願いごとが叶うよう祈ること」「祈り念ずること、いのり、祈願」です。 「祈念する」を「いる」の丁重語の「おる」と丁寧語の「ます」を使用した敬語表現にすると「祈念しております」となります。 ビジネスシーンで手紙や年賀状で結びの言葉として相手の健康や他社の繁栄を祈る際に使う堅い語です。本気で神仏に願っているわけではありませんが結びの言葉の決り文句として用いられています。 そのためビジネスシーンでも普段の連絡では使用しません。 手紙などの文書や、公の場におけるスピーチ・挨拶で用いられる表現です。
例文
「〜するのを心待ちにしております」の英語は「look forward to ...ing」が定番です。 「to」は不定詞ではなく前置詞です。 「to」の後は動詞の原型ではなく、動名詞(ingの形)を置くようにしましょう。 ちなみに「I'm looking forward to...ing」より「I look forward to...ing」の方が丁寧さが増します。 なぜなら現在完了形ではなく一般動詞を使うことで、”今現在”だけではなく”常に”楽しみにしている、というニュアンスが伝わるからです。 ビジネスメールでは後者が使われることが多いです。
I look forward to seeing you tomorrow.
明日、お会いできるのを心待ちにしております。
よりフランクな表現には、
などがあります。
I can't believe that I will go to Okinawa next week.
来週沖縄行くなんて信じられない!