「しばらくお待ちください」は、相手を待たせてしまうときに使用する敬語表現です。ビジネスシーンでも頻繁に使用する言葉ですよね。今回は「しばらくお待ちください」の使い方を例文付きで解説します。また「お待ちください」のより丁寧な敬語表現なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「しばらくお待ちください」は「少しの間、人・物・時などがくることを望みながら時を過ごしてください」という意味です。 準備に時間がかかるなど時間がほしいときに、相手に「待っていてください」とお願いをする表現です。
「しばらくお待ちください」は、品詞分解すると「しばらく」+「お」+「待ち」+「ください」となります。 「待ち」についている「お」は接頭語です。 接頭語の「お」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「しばらくお待ちください」の場合、待つのは相手なので尊敬語です。 「ください」は命令形「くれ」の丁寧語です。 したがって、「しばらくお待ちください」は尊敬語+丁寧語の敬語表現であり、目上の人に使用することが可能です。 ただし、「くれ」を使用した命令文なので一方的に要望・要求するようなニュアンスになってしまいます。目上の人に使う場合はより丁寧な表現にした方がよいでしょう。
「しばらく」の期間に具体的な決まりはありません。 「しばらく」は、さほど長くはないが、すぐとも言えないほど時間がかかる様という意味があります。 「しばらく会っていないうちに〜」というように、ある程度長い時間が経過する様子を言い表すこともあります。 「しばらくお待ちください」の場合、さほど長い時間ではありませんが「待たされている」と感じる程度なので、10分程度を指すことが多いです。 ビジネスメールの場合、数日〜一週間程度”を指すこともあります。 ただし、「しばらくお待ちください」と言っておいて、長い間待たせてしまうと、大変失礼になります。長時間もしくは長期間待たせてしまう場合は使用しないようにしましょう。
「今しばらくお待ちください」は「しばらくお待ちください」に「今」をつけた表現です。 「今」は「ここで更に」「その上に」「もう」を意味します。 「今しばらく」で”今すぐではないけれど、あまり時間がかからないさま”を指します。 「しばらく」を強調し、かしこまった表現にしたものが「今しばらく」です。 「今しばらく」は長い時間でないことを表しますが、例えば歯医者さんなどで「今しばらくお待ちください」と言われたら10分以上待つだろうなという感覚をもつ人が多いのではないでしょうか。 「今しばらく」は、だいたいの人が「まだかな?」と感じたり「待たされている」と感じます。
「少々お待ちください」は「しょうしょうおまちください」と読みます。 「少々お待ちください」は「ほんの少しお待ちください」という意味です。 「少々」の意味は「分量や程度が少なくて、大して負担にならないぐらい」です。 「少々」は、「すこし」という意味のある「少」を重ねることで意味を強調している言葉です。 したがって、「少々」の方が「しばらく」よりも、相手を待たす時間が短いイメージになります。 主に数秒間から数分間の間、相手に時間を求めるときに「少々お待ちください」を使用します。 「もう」をつけた「もう少々お待ちください」という表現もあります。 「もう」は「あとわずかの時間で、ある事態になるさま」「間もなく」という意味があります。 「もう少々お待ちください」は、”すでに時間は過ぎているが、まだかかるから待っててください”という意味合いになります。 すでに待たせた後にも関わらず、予想以上に時間がかかってしまった場合に「もう少々お待ちください」を使用します。
「しばしお待ちください」は、「ちょっとの間待ってください」という意味です。 「しばし」は「少しのあいだ」「ちょっとのま」を意味しています。 「しばしのお別れ」「しばしのご歓談」といった使い方があります。 「しばし」は「しばらく」と同様に、「すぐではないけれど、あまり時間がかからないさま」という意味合いで、やや短い期間相手を待たせる場合や、少しのあいだ時間がほしい場合に用います。 ただ、「しばし」は硬い表現であり日常会話で使用することはあまりありません。 ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用されます。
「しばらくお待ちください」ビジネスシーンでよく使用されます。 例えば、オフィス対面です。 取引先の相手が尋ねてきたときに、担当者を呼んで来るまで待っていてもらう時や、わからないことや判断しかねることを確認するのに時間をもらいたいときなどに使用します。
例文
「しばらくお待ちください」は対面以外でも使用することができます。 例えば、相手から来たメールに対して返信をするのに時間がほしいときです。 担当の人に確認をしなければわからないような質問や、予定を確認させてもらいたいときなどに「しばらくお待ちください」と伝えます。 返信を待たせてしまう場合は、「すぐに返信できない理由」「いつまでに返信をする」ということを明記しておくことで相手を不安な気持ちにさせずに済みます。
例文
電話対応でも「しばらくお待ちください」を使用することがあります。 例えば、何か確認をするのに時間をもらいたいときなどです。 ただし、電話の場合、長時間通話を繋げたまま待たせるのは失礼です。 時間がかかってしまいそうなときは「折返し連絡させていただいてもよろしいですか?」と一旦電話を切りましょう。
例文
「ませ」は丁寧を表す助動詞「ます」の命令形です。 「いっらしゃいませ」「ご覧くださいませ」といったように、接客業などで多々活用されています。 「くださいませ」は相手に何かしてほしいときに、その行動を行うように促す言葉です。 したがって「お待ちくださいませ」は、相手に待っていることを促す表現になります。 「お待ちください」というよりも「お待ちくださいませ」といった方が、丁寧で柔らかい印象を与えられます。 「くださいませ」は柔らかい印象の言葉のため、主に女性が使用することが多いです。 ただし「お待ちください」も丁寧な言い方ですが命令形の言葉なので、何度も使用したり強い口調で使ってしまうと失礼に当たる可能性があります。使用する際は気をつけましょう。
「お待ち願います」は、「待つ」に尊敬を表す接頭語の「お」と「願う」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「願う」に丁寧語の「ます」をつけた「願います」は、「〜をお願いします」と相手に依頼をする場面で使用することができます。 したがって、「お待ちください」より丁寧に相手にお願いをすることができる敬語表現であるといえます。 ただし「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であり尊敬語ではないという点で、丁寧さに欠けます。 「お待ち願えますか」「お待ち願えませんか」と疑問文にするとさらに丁寧になります。 「願います」を使用する場合、「お待ち願いたく存じます」だとより丁寧です。 「お待ち願いたく存じます」は、「待つ」に尊敬を表す接頭語の「お」と「願う」に「思う」の丁重語の「存ずる」に丁寧語の「ます」を使用しています。 丁重語とは動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 丁重語は、自分をへりくだることで相手に敬意を示す謙譲語と同じ敬語表現で「謙譲語Ⅱ」ともいわれます。
「お待ちいただけますか」は、「待つ」に尊敬を表す接頭語の「お」と「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」+疑問の「か」をつけた敬語表現です したがって「お待ちいただけますか」は尊敬語+謙譲語+丁寧語の丁寧な敬語表現であると言えます。 「お待ちください」だと相手に待つことを強いているようなニュアンスになりますが、「お待ちいただけますか」は相手の意向を確認するような言い方のため、非常に丁寧な表現です。 ちなみに「お待ちいただけますでしょうか」としてしまうと、「ます」と「です」で丁寧語を二つ重ねているので二重敬語になってしまうため誤りになります。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を重ねて使用してしまうことをいいます。
「お待ちいただければ幸いです」を品詞分解すると「お」+「待つ」+「いただければ」+「幸い」+「です」となります。
「いただければ〜」には仮定のニュアンスがあり、「してもらえたら〜」という願望を表す丁寧な言い回しです。
「お待ちくださいますようお願い申し上げます」は、「待ってくれるようお願いします」という意味です。 「お待ち」の「お」は尊敬を表す接頭語です。 「くださいますよう」は、断定する意味を避け柔らかいニュアンスでお願いをするために使用されています。 「お願い申し上げます」は、「願い」に尊敬語を表す接頭語の「お」と「言う」の謙譲語の「申し上げる」と丁寧語の「ます」で、相手に依頼をするときに使用する丁寧な敬語表現です。 「願います」「お願いします」よりも「お願い申し上げます」のほうがフォーマルな響きがあり、目上の人に対してや厳粛な場面では「お願い申し上げます」と言う方が適切です。
「お待ちください」を直訳すると「Please wait.」です。 この表現はかなり直接的なので、ビジネスシーンでは言い換えた方がベターです。 「Please wait a moment.」が「しばらくお待ちください」の英訳としても最も近いですが、これも命令文なので失礼な印象を与えます。 また、日常会話で使える砕けた表現には「Wait up!」があります。 「(人に追いつこうとして)ちょっと待って」という意味です。
下記のように言い換えるとよいでしょう。
Just a moment.
I’ll be with you in a second.
Please give me a minute.
Could you hold on just a moment, please?