「think about〜」と「think of〜」はどちらも「〜について考える」という意味で、使い分けが難しいと感じる方が多いのではないでしょうか?実は「think about」と「think of」にはニュアンスの違いが存在し、思考する内容で使い分けをします。また「think of」には「think about」にはない意味もありますので紹介します。
前置詞「about」は漠然とした関連性を意味します。目的語のことだけではなく、その周辺のことを広く指すニュアンスです。 日本語で「アバウト」というと、「大雑把な、いい加減な」という意味ですよね。これは「about」の持つ元々の意味からきています。 なので「think about...」は「...についてあれこれと考える、思いを巡らす」という和訳の方がしっくりきます。 ニュースで取り上げられていること(一般的なこと)に対する意見を求めるときは、「think about」が最適です。 好きな人が頭から離れず色々な妄想してしまうときも「think about」が使えます。 また、買い物の決断をするときには、その商品のことだけではなく、その商品に関連する様々なこと(値段、競合他社の商品、家への運び方、どのように使うのか、家族はどう思うか...などなど)を考慮します。そんなときも「think about」のニュアンスがしっくりきます。
What do you think about sales tax hike?
消費税増税についてあなたはどう思いますか。
I just can't stop thinking about her!
彼女のことがとにかく頭から離れないんだよ!
What kind of table are you thinking about?
(販売員がお客に対して)どのような机をご検討ですか?
前置詞「of」は一方で直接的で強い関心を示します。 人が直接的で強い関心を示すのは自分のことです。つまり「think of」は、自分自身に関連することを考えるときに使います。 また「think of...」は、「think about」と違い、「...のことのみを考える」という意味合いがあります。「about」と違い漠然を周辺のことに思いを馳せるというニュアンスはありません。 「I am thinking of you.(君のことをずっと考えているんだ)」というフレーズは要注意です。 「think of」は強い関心を示すので、考える相手が親友や家族など親しい人ならば大丈夫ですが、付き合う前の異性などに対して使うと気持ち悪いと勘違いされる可能性大です。 「think about」を自分自身に対して使うのはもちろん問題ありませんが、「think of」を他人に対して使う場合は強意的なので気をつけましょう。
What do you think of your new work?
ご自身の新しい作品についてどう思いますか。
I'm thinking of moving to Singapore with my family.
家族と一緒にシンガポールに移住しようと考えています。
上記の例文ですが、「I am thinking about moving to...」としてしまうと「シンガポール移住に関して色々と熟考している」という意味合いになってしまいます。これでは行くことの最終決定はしておらず、是非を検討しているというニュアンスです。 「I am thinking of moving to...」とすれば、移住するのを前提に「移住することを真剣に考えている」という意味合いになります。
When I think of myself at high school, I was a bad-behaved student so I feel embarrassed.
高校時代の自分自身のことを思うと、私は行儀の悪い生徒だったので恥ずかしくなる。
「think about」と「think of」の違いにはもう1つ大きな違いがあります。 それは「think of」には「〜を考える」以外にも意味があることです。 「think of」のこれらの意味は「think about」にはありません。
「think of」には「〜を思いつく、考えつく」という意味もあります。 この意味では「come up with」と同義語にあたります。 例文です。
I've been trying to think of a way to persuade my mom.
母親を説得する方法をずっと考えている。(=考えつこうと努力している)
Have you thought of what you will do after you are back in Japan for good.
日本に永久帰国したら、何かをするか考えつきましたか。
How did you think of solving this problem?
この問題の解決方法をどのように思いついたんですか。
「〜についてどう思いますか」は英語では「how」ではなく「what」を使うと学校で習ったと思います。 「〜についてどう思いますか」は英語で「What do you think about...?」です。 「〜をどのように思いついたんですか」と「思考プロセス」を聞く場合は、「How did you think of...?」となります。 「How do you think about...?」は不自然な英語ですが、「How did you think of...?」は全く問題のない正しい英語表現になります。
「think of」にはもう一つ「〜を思い出す」という意味もあります。 この意味では「remember」が同義語となります。 通常「can't」と伴い、「思い出せない」の意味で使うことが多いです。
I can't think of that right now.
ちょうど今そのことをど忘れした。
「hear」という動詞も「think」と同じく、「about」と「of」の両方の前置詞がフォローします。 「hear」は他動詞としても使えるので、前置詞を伴わない場合もあります。 意味は下記の通りです。
和訳を明確に使い分けするのは難しいのですが、だいたいこんなニュアンスです。 「hear」は「〜が聞こえる(意識しなくても耳の中に音が入ってくる)」という意味です。 「listen to」は「〜を聞く(意識的に耳を傾ける)」なので、意味が違います。 「hear about」とすると目的語の周辺の情報まで聞こえてることになります。 「hear of」だと目的語のことのみが聞こえ、関心を持っている、というニュアンスになります。 海外映画で人探しをしている場面では下記のようなやり取りがよくあります。
"Do you know Mike Smith?" - "No, I've never heard of that."
「マイク・スミスを知っていますか」-「いや、それは聞いたことないねえ」
本人そのものの存在を質問されているので、「hear of」が使われています。 「マイク・スミスがこの辺で○○してたらしんだけど知らない?」と聞かれたら、「聞いたことがない」と「hear about」で答えてもよいでしょう。