「as much as」の意味と使い方をしっかり理解していますか?「as much as」は単純に見えますが、実は5つもの意味と使い方があり、文法も結構複雑です。今回は「as much as」の文法を完全解説していきます。
※音声付き例文がありますので、発音の確認にご活用ください。なお、音声はアメリカ英語になっております。
「A as much as B」の基本的な意味は「Bと同じ程度A」になります。 「as 〜 as」の形は、中学で比較級の授業を受けたときに、習っている人が多いと思います。 例えば、「My brother is as tall as I am.(私の弟は私と同じ身長だ)」などです。 「as much as」も基本的にはこれと同じように使います。 しかし「as much as」が少し難しく感じるのは、「much」の品詞が名詞、副詞、形容詞と3つあるからです。(上の例文の「tall」は「背が高い」という形容詞のみですよね) それでは1つずつ見ていきましょう。
「much」が名詞の場合、「たくさん、多量」という意味になります。 他動詞の目的語として使います。 「eat much」なら「たくさん食べる」、「know much」で「たくさんのことを知っている」などになります。 例文を見てみてください。
My little sister eats as much as I do.
おれの妹はおれと同じくらい食べる。
We've discussed the linguistics, and he knows as much as I do.
言語学について議論したが、彼は私と同じくらい知っている。
文末の「as I do.」の動詞「do」は省略して「as I」のみでも問題ありません。
「much」が副詞の場合は「非常に、とても」という意味になります。 副詞ですから、動詞を修飾する役割をし、目的語の名詞は文中に別に存在します。 「like it much」なら「それがとても好き」、「want it much」なら「それがすごくほしい」という意味になります。 例文です。
I like playing soccer as much as playing the saxophone.
サックスを吹くのと同じくらいサッカーをするのも好きです。
I want to see my boyfriend as much as (I want to see) my family.
家族と会いたいのと同じだけ、彼氏にも会いたい。
「much」は形容詞として使うこともあります。形容詞の場合は「多くの、たくさんの」という意味になります。 「as much ◯◯ as」のように、形容詞「much」が修飾する名詞である◯◯が、「much」と同じように「as 〜 as」の間に入ります。 この文の構造は、「much」が名詞、副詞である場合と異なるため、難しく感じる方もいると思います。しかし「much」の品詞を考えれば非常に簡単であることがご理解いただけると思います。 例文です。
I make as much money as my father does.
父と同じだけ私は稼いでいる。
She takes as much sugar as her mom does.
彼女は母親と同じだけ砂糖をとる。
少し応用編なのですが、「彼女の責任であると同じように彼の責任でもある」はどう言えばいいでしょう?
これは少し難しいですね。
This is as much his responsibility as hers.
彼女の責任であると同じように彼の責任でもある。
となります。 この文章は、形容詞「much」と所有格の「his」の両方で名詞「responsibility」を修飾しなければならないので、少し複雑になっています。 この場合は「his responsibility」を一つの名詞句つまり2語でできた一つの名詞の固まりとして扱います。 よって「his responsibility」の前に形容詞「much」がきます。 これは少し難儀ですが、ぜひマスターしてみてください!
「as much as」の後に、「can」や「possible」などの可能、「want」や「wish」などの願望を意味する単語が続く場合、「...だけ(多く)」という和訳になります。 この場合の「much」は、名詞、形容詞、副詞などまちまちです。 例えば、「Please eat as much as you want.」と言った場合、上記の《1》つ目の意味と使い方のように訳すと、「あなたがほしいのと同じ程度食べてください」になります。 実は意味的にはこれで正しいのですが、日本語が不自然ですよね。なので「...だけ」という和訳を使います。 この例文も「ほしいだけ食べてください」「好きなだけ召し上がりください」と和訳した方がしっくりきますよね。 「as soon as possible」だと「できるだけ早く」となるのと同じですね。 なので、2つ目に紹介した「as much as」は意味的には1つ目と同じですが、可能や願望を表す言葉が「as much as」の後にフォローする場合は、和訳を工夫するべし!というお話でした。
You should sleep as much as possible tonight.
今夜はできるだけ寝た方がいいですよ。(この例文の「much」は副詞)
Please take as much as you want for one bag.
一つの袋でほしいだけ持っていっていいですよ。
「as much as」の後に具体的な数字が続く場合は、「...も」という意味になります。 この使い方では「as much as」を省略しても、文章の意味は変わりません。 その数字がとても大きいことを強調する表現になります。 例文です。
He donated as much as 100 million dollars for charity.
彼は100億円もチャリティーに寄付した。
She gained as much as 10 kg only in two weeks.
彼女はたった2週間で10キロも太った。
「as much as」は「ほとんど、事実上」という意味で使うこともあります。 この場合の「as much as」は副詞句になります。3語が連なっているますが、1つの固まりとして副詞の役割をしています。 「almost」と同義です。 「so much as」ということもあります。 例文です。
She as much as admitted that it was her fault.
それは彼女の欠陥だったと、彼女は事実上認めた。
Jasmine as much as told her son that he will never see his father.
ジャスミンは息子に二度と父親には会えないと事実上伝えたようなものだ。
「as much as 」には「...にもかかわらず」という逆説の接続詞の役割もあります。 「even though」と同義です。 「however much」ということもできますが、あまり一般的ではありません。 最初の「as」を省略して「much as」とすることもあります。
As much as I hate to, I must talk directly to my boss about that.
嫌でも、このことは上司と直接話さなくてならない。
As much as I want to see my daughter, I'm totally caught up in work and no time.
娘に会いたいにもかかわらず、完全に仕事漬けで時間がない。
「as much as」に似ている表現に、「so much as」があります。 「so much as」は否定文で使い、「...さえ(しない、できない)」という意味になります。 ある特定の行為を誰かが全然しない、できないことを強調する表現になります。 「even」に置き換えることができます。
Bill did not so much as listen to me.
ビルはおれの話を聞きもしなかった。
「as much as」と「as many as」の違いについて解説します。 「as many as」は基本的に、上記で解説した1つ目、2つ目、3つ目の意味で使うことができます。 「many」は形容詞なので、「much」のように名詞や副詞としては使うことができません。 「many」と形容詞の「much」の違いは何かというと、「many」は可算名詞を修飾し、「much」は不可算名詞を修飾する点です。 よって、「as many as」の和訳は「...と同じ数の」になります。
I have as many books as he does.
私は彼と同じだけ本を持っている。
As many as 100 people were killed by the terrorist attacks in Paris.
パリのテロで100人もの人が亡くなった。
「little」は不可算名詞を、「few」は可算名詞を修飾します。 「much」と「many」の関係性と同じです。 「A as much as B」は「Bと同じだけAも多い」というニュアンスであるのに対して、「A as little as B」は「Bと同じだけAも少ない」というニュアンスになります。 「little」も形容詞、副詞、代名詞の3つの品詞があるので、「much」と使い方が似ています。
She earns as little as her sister.
彼女は姉と同じくあまり稼いでいない。
Talk about yourself as little as possible.
自分のことはなるべくしゃべるな。
同じく「as 〜 as」を使った表現に「as well as」があります。 「as well as」には4つもの意味と使い方がありますので、下記の記事でぜひチェックしてみてください。
同じく「as 〜 as」を使った表現に「as long as」「as far as」があります。 「as long as」「as far as」には「同じくらい長い、遠い」以外にも意味があり、ネイティブが大変よく使います。 下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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