「できますでしょうか」は依頼をするときなどに使用される敬語表現です。ビジネスシーンなどでもよく耳にしますよね。しかし「できますでしょうか」は二重敬語で誤った敬語表現であることをご存知でしょうか。一般化されているので使用しても問題はありませんが、正しい敬語表現を使用したいですよね。今回は「できますでしょうか」について詳しく解説していきますので是非参考にしてください。
「できますでしょうか」は、目上の人など敬意を払うべき相手に何かを依頼するときに使用する表現です。 「できますでしょうか」は「できますか」という可能性を相手に聞く表現ですが、間接的に「〜をしてもらえますか?」と依頼をする意味で使用されます。
「できますでしょうか」の例文
「できますでしょうか」はよく耳にする言葉ではありますが、二重敬語と呼ばれる誤った文法です。 二重敬語とは同じ語に対して同じ種類の敬語を2つ以上使用することです。 「できますでしょうか」は、「できる」に対して「ます」と「でしょうか」という丁寧語を二つ使用しているので二重敬語となってしまいます。 しかし「できますでしょうか」は、二重敬語だが広く使われていて許容とされている敬語表現です。 二重敬語は誤った文法なので、もちろん本来は使用するべきではありません。 ただ、誤りであっても使用する人が増えれば時の移ろいとともに正しい日本語として定着してしまうことはよくあります。 「できますでしょうか」もその一つで、一概に間違っているから使用すべきではないとは言い切れないのです。
「できませんでしょうか」も「できませんか?」と可能性を聞く表現ですが、間接的に「〜をしてもらえませんか?」と依頼をする表現として使用されます。 「できませんでしょうか」も「できる」に丁寧語の「ます」の未然形と打ち消しの「ん」に、丁寧語の「でしょうか」と二つの丁寧語を使用しているので二重敬語です。 しかし「できませんでしょうか」も「できますでしょうか」と同様に、一般化されている敬語表現です。 「できませんでしょうか」は「できる」という可能性の意味を「できません」と否定形にすることにより控えめに表現しているため、ビジネスシーンなどでも多く使用されています。
「お召し上がりになる」も二重敬語です。 「お召し上がりになる」は、「食う」「飲む」も尊敬語である「召し上がる」に、尊敬を表す接頭語の「お」+「になる」をつけているので、同じ語に尊敬語を二つ使っていることになります。 特に「お召し上がりください」に関しては、「本日中にお召し上がりください」「お早めにお召し上がりください」などとよく耳にしますよね。一般的に使用されている敬語表現ではありますが、正しい敬語表現ではありません。
「明日の14時にお伺いします」など、「お伺いします」もビジネスシーンなどでよく使用される敬語表現ですがこれも二重敬語です。 「お伺いします」は、「行く」の謙譲語「伺う」にさらに、謙譲を表す接頭語「お」を付けて、丁寧語の「ます」をつけています。 「お伺いさせてください」も本来は二重敬語で、「伺います」が正しい敬語表現です。 しかし、一般化されているため誤用であるという認識のある人は少ないと言えます。
例えば相手からメールや資料を受け取り、それに対して返信をする場合に「メールを拝読いたしました」「資料を拝読いたしました」などと、「拝読いたします」もよく使用されますよね。 「拝読いたします」も「読む」の謙譲語「拝読する」+「する」の謙譲語「いたす」になるため、二重敬語だと言われています。 しかし、「拝読いたします」の「いたす」は謙譲語でも「謙譲語Ⅱ」という種類に分類されます。 「謙譲語Ⅱ」とは「丁重語」のことです。 丁重語は、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 したがって、「拝読いたします」は、謙譲語+丁重語+丁寧語で成り立っている二重敬語敬語表現なので、二重敬語ではなく正しい敬語表現であると言えます。 ただ、丁重語を知らない・理解できていないという人も多いため「拝読いたします」を二重敬語だと認識している人も多いです。
「◯◯様はいらっしゃいますでしょうか」は電話口や受付などで頻繁に使われている表現ですよね。 「いらっしゃいますでしょうか」も「ます」「です」の2つの丁寧語が使われており二重敬語にあたり、不適切な日本語となります。 しかし、「いらっしゃいますでしょうか」ビジネスシーンではよく使われており、一般化されています。 ただ、やはり「〜ますでしょうか」という表現に違和感を覚える人もいます。 「いらっしゃいますでしょうか」は、「いらっしゃいますか」という正しい敬語表現にしましょう。 「○○様にお取次ぎ願えますか?」でも丁寧です。
目上の人など敬意を示すべき人が「来る」というときに、「お越しになられる」という表現を耳にすることもあるかと思いますが、「お越しになられる」は二重敬語と呼ばれる表現にあたります。 「お越しになられる」は、「お越しになる」という「来る」「行く」の尊敬語に、さらに「〜する」の尊敬語である「〜なられる」をつけています。 「お越しになる」で十分丁寧な尊敬語になりますので、「お越しになられる」と使用することのないよう、注意しましょう。
「できますでしょか」を正しい敬語表現にすると「できますか」となります。 とくに同僚や部下といった関係である場合は、シンプルに「〜できますか?」でも十分な敬語表現として使用することができます。 ただ、正しい敬語表現であっても「できますか」は直接的すぎるため、ビジネスシーンではあまり使われません。
「可能ですか」「可能でしょうか」は、「〜することはできるだろうか?」と可否を確認する表現で、依頼をするときに使用される正しい敬語表現です。 しかし、「可能ですか」ダイレクトすぎてビジネスシーンでは適しません。 「可能でしょうか」だと少し丁寧になりビジネスシーンで使うことは可能だが、避ける人もいます。 特に目上の人に依頼をするのであれば、もっと丁寧な敬語表現を使用するべきでしょう。
「できるでしょうか」「できないでしょうか」は、「できる」「できない」に「でしょうか」をつけている正しい敬語表現です。 しかし、丁寧語しか使われていないので相手に敬意を示すには不十分です。 稚拙な表現なので、ビジネスシーンには不向きであると言えます。
「いただけますか」は、「◯◯できるならしてもらいたい」という意味になります。 「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語の「ますか」をつけている正しい敬語表現です。 謙譲語は自分のことをへりくだって表現することで相手に敬意を示す表現です。 相手に依頼やお願いをする場面では、謙譲語を使用しても丁寧な表現になるため、「いただけますか」はビジネスシーンで使用することができます。
例文
「できますでしょうか」は「いただけますか」でも丁寧な表現ですが、
だとより丁寧な表現になります。 「存じます」は、「思う」の丁重語です。 丁重語は話を聞いている相手に敬意を示すために使用される敬語表現です。 丁重語は謙譲語の一種なので「いただければと存じます」「いただきたく存じます」は二重敬語だと認識している人も多いですが、正しくは謙譲語+丁重語なので二重敬語ではありません。 「幸いです」は、「嬉しいことです」「ありがたいことです」という意味で依頼をするときによく使用される言葉です。 「〜ますよう」「〜のほど」は、丁寧にかつ柔らかいニュアンスでお願いをすることができる表現です。
ビジネスシーンで使用する依頼表現で最も一般的なのは「could you please」です。 「Could you please...?」は「可能かどうか」を聞いており、「Would you please...?」は「依頼を実行することが可能である前提で、実際に実行してくれるか」を聞いています。 よって、「Could you please...?」の方が「そもそも不可能かもしれない」という前提にたって依頼しているので、より丁寧な依頼になります。
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このプロジェクトに関して、いくつかご教示をお願いできますでしょうか。
「お願いできますか」の英語は「Could I ask you a favor?」になります。 日常会話で使う場合は、「could」ではなく「can」を使えばよいでしょう。
Could I ask you a favor? I'd like you get a copy of this document.
この書類のコピーをお願いできますでしょうか。
いかがでしたか? 「できますでしょうか」について理解を深めていただけたでしょうか。 最後に「できますでしょうか」の要点をまとめます。