「拝読(はいどく)」という言葉を正しく使えていますか?「拝読」はビジネスシーンで頻繁に登場する言葉でありながら、間違って使用している日本人がたくさんいる言葉です。無意識に二重敬語を使い、相手に違和感を与えているかもしれません。今回はそんな「拝読」の正しい意味と使い方を徹底解説します。
「拝読(はいどく)」の意味と使い方まとめ ✔「拝読する」は「読む」の謙譲語 ✔ 謙譲語なので自分の行為に対して使う。自分をへりくだって相手への敬意を示す ✔「拝読します」が正しい表現。謙譲語「拝読する」+丁寧語「ます」 ✔「拝読いたします」は二重敬語だが、よく使われる表現である ✔︎「拝読させていただきます」も二重敬語になる
それでは「拝読」の用法について詳しく見ていきましょう。
「拝読」は<はいどく>と読みます。 「読む」の謙譲語で、自分が読む動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝」には「謹んで」という意味があるため、謙遜の気持ちを表すときによく使います。 「拝読する」は「メールや書類を読んだ」という意味になります。
「拝読」は本や資料、メールや手紙など、読む物であれば何に対しても使うことができます。 論文や短歌などに対しても「拝読」を用いることができます。 例えば相手からメールや手紙を受け取り、それに対して返信をする場合に「メールを拝読しました」「手紙を拝読しました」などと使います。 また一方的に本や論文などを手に取り、その感想などを著者に送る場合も「○○様の著書『○○』を拝読しました」「○○先生の論文を拝読しました」などと使います。 謙譲語ですので、読んだことを書いた相手に伝えるときに使うのが一般的な使い方です。
「拝読する」は謙譲語です。 自分自身が読むという行為を謙って使う言葉ですので、自分自身の行為にのみ使いましょう。 ただ、謙譲語なので家族や友人など親しい関係の相手に使うと不自然です。 家族や友人からの手紙やメールには「読みました」「読んだよ」で問題ありません。
「拝読」は自分自身を謙るだけではなく、その読み物を書いた本人に対して敬意を払った表現になります。 例えば上司からのメールを「拝読しました」と言った場合、敬意を払った相手はメールを作成した上司になります。 しかし上司から借りた本を「拝読しました」と言った場合、敬意を払った相手はその本の著者になり上司には敬意を払っていないことになってしまいます。 そのため、上司に借りた本を読んだことを伝える場合は貸してくれたことに敬意を払い「拝借した本を読ませていただきました」「お借りした本を読ませていただきました」などと使いましょう
「大沢様、お手紙拝読しました」 「西川さんからお借りした本を拝読した」 「交流会の案内状を拝読しました」 「百武先生の玉稿を拝読し、とても感動しました」 「先ほど頂いた資料を拝読したところ、間違いがあったのでご報告いたします」 「企画書を拝読したところ、お尋ねしたい点があったので連絡いたしました」
ビジネスシーンや目上の人に対して「拝読する」を使う場合、「拝読します」と使うのが正しい表現となります。 「拝読する」は「読む」の謙譲語になりますので、組み合わせる言葉は丁寧語の「ます」になります。
「拝読いたします」は「読む」の謙譲語「拝読する」+「する」の謙譲語「いたす」になるため、二重敬語になってしまいます。 二重敬語は回りくどい印象を与えてしまうため、良くないとされていますが、ビジネスシーンで「拝読いたします」「拝読いたしました」は頻繁に使用されています。 文法的には正しくありませんが、よく使う表現なので、ほとんどの人にとってそこまで違和感のある表現ではありません。 しかし世の中には、もちろん正しい敬語表現を知っている人もいます。 自分自身が使う場合はなるべく「拝見します」と正しい文法を使うようにしましょう。
「拝読させていただきます」は、「読む」の謙譲語「拝読する」+「〜してもらう」の謙譲語「いただく」なので、二重敬語になります。 そのため文法的には間違った表現となります。 しかし「拝読いたします」と同様で文法的には正しくありませんが、ビジネスシーンでは「拝読させていただきます」や「拝読させていただきました」がよく使われています。
「いつも拝読しております」の「〜しております」は行為を継続することを表す「している」の丁寧語です。 読む行為を継続していることを、相手に敬意を払って伝えることができます。 そのため「いつも拝読しております」は現在進行系で本を出版し続けている人や、新聞などに連載している人に対して一般的に使われています。 現役の小説家に「いつも拝読しております」と言うと「先生の本は毎回読ませてもらっています」と伝えることができます。
「読む」の謙譲語は「拝読」だけではありません。 「読ませていただきます」は「読む」+「〜してもらう」の謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」で成り立っているため、「読む」の謙譲語になります。 ただ「させていただく」は、「相手に許可を得て、ある行為を遠慮しながらすること」を意味します。 そのため「させていただく」は「相手や第三者の許可を受けて行う場合」そして「それを行うことで恩恵を受けるという事実がある場合」に用いるのが正しくなります 「読ませていただきます」の場合は「図々しくて申し訳ないですが、許可してもらったので読みます」といった意味になります。 そのため、一方的に誰かの本を読んだ時に使うと不自然になります。 相手から読み物を受け取った場合は、相手が読んで欲しくて渡しているので許可を受けた状態になります。 その上で恩恵を受ける事実がある場合ですので、例えば仕事で参考になる書物を上司が渡してくれた場合などに「読ませていただきます」と使うのが正しい使い方になります。
「頂いた本は、しっかりと読ませていただきます」 「先日お借りした参考書、読ませていただきました」 「私もその資料を読ませていただいてもよろしいですか?」
「拝読」は「読む」を謙っていう言葉ですので、相手が何かを読む場合に「拝読」を使うと失礼に当たります。 例えば目上の相手に「こちらの資料は拝読されましたか?」と聞いた場合「謙って読まれましたか?」と聞いていることになります。 これではとても失礼ですよね。 上司など目上の人が読む場合は、「読む」の尊敬語である「お読みになる」が正しい敬語表現です。 そのため、先程の資料を読んだか聞く時は「こちらの資料はお読みになりましたか?」が正しい敬語になります。 ちなみに「お読みになられる」は二重敬語ですので注意しましょう。 「お読みになられましたか?」と使うのは間違った表現になります。
「資料は今部長がお読みになっています」 「今日の新聞はお読みになりましたか」 「先日の議事録、お読みになりますか?」
「拝読」・・・「読む」の謙譲語
「拝見」・・・「見る」の謙譲語
「拝見」は<はいけん>と読みます。 「見る」の謙譲語で、「つつしんで見る」という意味です。 そのため文字や文章の他に、絵や写真、物や出来事などに広範囲で使うことができます。 また「拝見する」はメールや書類を「見る」「読む」「目を通す」という意味の他に、「内容や目的を理解した」というニュアンスも含まれています。 「拝見」はメール・手紙や資料を確認したことを、相手に伝えるときに使うのが一般的です。 「拝見しました」「拝見します」といったように使うことができます。
「教授が出版された本を拝見しました」 「御社の求人広告を拝見して、メールをお送りいたしました」 「参考文献を送ってくださりありがとうございます。さっそく拝見しました」
「拝読」・・・「読む」の謙譲語 「拝聴」・・・「聴く」の謙譲語
「拝聴」は<はいちょう>と読みます。 「聴く」の謙譲語で、「つつしんで聴く」という意味です。 「今日もテレビを拝聴しています」などと口頭ではあまり使わない表現です。 「拝聴」は基本的にメールや手紙など、文面上で使う言葉になります。 また「拝聴」によく似た表現に「清聴」という言葉があります。 「ご清聴ありがとうございます」などと聞いたことがある方も多いと思います。 「拝聴」は自分が相手の話を聞くときに使う言葉なのに対して、「清聴」は相手が自分の話を聞いてくれたことに敬意を表す言葉です。
「たくさんのアドバイスを拝聴することができ、ありがたく思います」 「○○さんのお話を直接拝聴できますことを、心から楽しみにしております」 「有名なピアニストの演奏を拝聴することができ、幸せを感じています」
意味:読むことをへりくだって言うこと 「誦」には「詩や経文などを声に出して読む」「暗記して読む」といった意味があります。 「拝読」と意味は同じです。 同じ読みの漢字に「拝承」がありますが、「聞くこと・承知することをへりくだって言う」言葉なので間違わないように気をつけましょう。
「お便り拝誦しました」 「先生の作品を拝誦した」
意味:受けるの謙譲語 「拝受」は受けるの謙譲語になります。 ビジネスシーンでは、メールや郵便物などを受け取ったときに使います。
貴簡拝受いたしました 先日、お手紙を拝受しました
意味:書物・文書などの内容を調べながら読むこと 「閲読」は謙譲語ではありませんが、「読む」を丁寧にした言い方になります。
「文献を閲読した」 「古文書を閲読する」
意味:謹んで読むこと 「謹んで」という言葉には相手に敬意を払うといった意味があります。
「神前で御誓文を奉読する」 「天皇陛下が勅語を奉読する」
意味:書物をひもといて読むこと 「繙」は「繙く(ひもとく)」という言葉で、元々「巻物の紐をほどいて広げ、書物を読む」といった意味があります。 そこから「書物などを調べて真実を明らかにする」といった意味も持つようになりました。 同じ読みの「紐解く」と同義になります。
「歴史書を繙読するのは楽しい」 「研究書の繙読は難しい」
意味:本を読むこと 「読書」は一般的にもよく用いられていますね。 敬語表現ではありません。
「趣味は読書です」 「寝る前に読書をする」
意味:文章の意味をじっくり考えながら読むこと ただ本を読むのではなく、考察しながらじっくりと読むことです。 また、その書物を「読み味わう」「十分に内容を読み取る」といった意味もあります。
「大好きな作家さんの本は何度も熟読する」 「いくら恋愛マニュアルを熟読しても恋人ができない」
意味:手紙や書籍などを開いて見ること 折られたものや、封のされた書物を開けて読むことを意味しています。
「書簡を披見した」 「送られてきた手紙を披見する」
意味:書物を読むこと 「読書」と同じ意味です。
「書見に専念したが、飽きてしまった」 「あまり書見は好きではない」
「読む」の対義語は「書く」になります。 「書く」の謙譲語と尊敬語をいくつか紹介します。
「書く」の丁寧語です。 謙譲語ではないので、自分を謙る表現はありません。
「手紙は私から書きます」 「そのメモは私が書きました」
「書く」の謙譲語です。 相手に敬意を払い自分が書く場合に用います。
「この欄は私の方でお書きします」 「先にお書きしておきます」
「書く」の謙譲語になります。 「お書きします」よりも、より丁寧な表現となります。
「部長、私がお書きいたします」 「お客様へのお礼状は私がお書きいたしました」
「書いてもらう」ことを謙った表現です。 そのため相手が「書く」行為に対して敬意を払った表現になります。
「この欄は部長に書いていただきます」 「こちらの書類に必要事項を書いていただいてもよろしいですか?」
「書く」の尊敬語になります。 相手の「書く」行為に敬意を払った表現になります。
「この看板は社長がお書きくださいました」 「部長がお書きくださるなんて、誠に光栄です」
英語には謙譲語という概念はないので、そのまま「read」を使います。 「メールを見る、記事を見る」というニュアンスなら「take a look at...」もよく使います。
I read your letter.
あなたのお手紙拝読しました。
Let me inform you that I found some error on your document when I took a look at it.
先ほど頂いた資料を拝読したところ、間違いがあったのでご報告いたします
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