「相違」の意味は「互いに違っていること」「一致しないこと」です。「相違ございません」などビジネスシーンでも耳にする言葉ですよね。今回は「相違ございません」の正しい使い方を例文付きで紹介します。また「相違ございません」の言い換え表現や、「相違」と類語の違いも合わせて解説しますので是非参考にしてください。
「相違」の読み方は「そうい」です。 「相」は音読みで「ソウ・ショウ」と読み、「違」は音読みで「イ」と読みます。
「相違」の意味は「互いに違っていること」「一致しないこと」です。 「相」は「互いに」、「違」は「食いちがう」を意味する漢字なので、二つのものの間に違いがあることを表す言葉になります。 「相違」が表す”違いがある”とは、「なんとなく違っていそう」という意味の「違い」とは異なり、「しっかりと確認されている違い」です。 例えば、「証言と相違する」「案に相違する」という使い方をします。
「相違ございません」は、「相違」に「ある」の丁重語の「ござる」に、丁寧語「ます」の未然形に打ち消しの助動詞「ん」の「ません」を付けた敬語表現です。 丁重語とは動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 丁寧語とは「です」「ます」のように物事を丁寧にいうことで相手に敬意を示す敬語表現ですが、敬意を示す相手の有無を問わず幅広く使用することができます。 「相違ございません」は、目上の人に「相違ない」ということを伝える場面で使用することができ、ビジネスシーンなどかしこまった場面にも適しています。
「相違ありません」は「相違ある」に、丁寧語「ます」の未然形に打ち消しの助動詞「ん」の「ません」を付けた敬語表現です。 ただし「相違ありません」は丁寧語であり、尊敬語や謙譲語に比べて敬意の度合いが低い敬語表現です。 目上の人に使用する場合やかしこまった場面で使用する場合は、「相違ございません」などより丁寧な敬語表現を使用するほうが望ましいです。
「相違ございませんでしょうか」は二重敬語で誤用です。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を二つ以上重ねてしまうことをいいます。 「相違ございませんでしょうか」は、「相違」に「ある」の丁重語の「ござる」と丁寧語の「ません」、丁寧語の「でしょうか」を付けた敬語表現です。 したがって、「相違ございませんでしょうか」は丁重語+丁寧語+丁寧語であるため二重敬語であるといます。 正しくは「相違ございませんか」です。 「相違ございませんか」は、「相違」に「ある」の丁重語の「ござる」に丁寧語の「ませんか」を使用した正しい敬語表現です。
「相違ございません」は、 自分が受け答えする場合(賛同) 相手に質問する場合(確認) に使用されます。 ビジネスシーンなどで相手が言っていることに間違いがなく、「そうです」と賛同するときのかしこまった表現が「相違ございません」です。 また、相手とやり取りをしていく上で、認識の違いがないか確認をする場面でも使用されます。
例文
「相違ございません」は謝罪をする場面でも使用されます。 例えば相手から指摘を受けた場合に、「間違いありません」と相手の言っていることを「間違いないです」と伝えることで自分の非を認めていることを相手に伝えることができます。 「あなたの言っている通りです」「問題が起きたことは事実です」と認めたうえで「大変申し訳ございませんでした」など謝罪の言葉を述べます。
例文
「左様でございます」は「さようでございます」と読みます。 「左様」には「その通り・そのよう」という意味があります。 「左様でございます」で、相手の意見が正しく理にかなっていることを表明することができます。 「左様でございます」は相手の言ったこと対して「そうです」と賛同することができる表現なので、「間違いがない」ということを言い表す「相違ございません」と言い換えることが可能です。
例文
「その通りでございます」の読み方は「そのとおりでございます」です。 「その通りでございます」は相手の言ったことに対して「言っていることは正しいです」「内容は的を射ています」といった意味です。 相手の言っていることが正しいことや、相手の意見に賛同することを表します。 「その通りでございます」は「その通り」に「ある」の丁重語の「ござる」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 ただし、「その通り」という言葉がビジネスシーンにはあまり適しません。 上から目線ともとれるので、目上の人に対してやビジネスシーンでは「相違ございません」などを使用しましょう。
「おっしゃる通りでござます」は「言う通りです」という意味で、他人の発言したこと、指摘などを”そのとおりである”と認める表現です。 「おっしゃる」は「言う」の謙譲語です。 「通り」は「それと同じ状態にあること」という意味です。 「ございます」は「ある」の丁重語の「ござる」に丁寧語の「ます」をつけた表現です。 したがって「おっしゃる通りでございます」は、謙譲語+丁重語+丁寧語の正しい敬語表現であるといえます。 ただし、ビジネスシーンで目上の人から叱られたり、指摘を受ける場面で「おっしゃるとおりです」の一言だけだと失礼な印象を与えてしまいます。 「おっしゃるとおりでございます」と言いたい場合は、気持ちを伝える言葉や反省を表す表現を添えて誠意を伝えることが基本です。
例文
「ごもっともでございます」は、「もっとも」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「ある」の丁重語の「ござる」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「もっとも」の意味は、「当然のことであること」です。 「ごもっともでございます」で相手の言い分が理にかなっていることを言い表しいます。 ただし、「ごもっともでございます」は「当然です」といった意味合いが含まれ、上から目線に感じられることがあります。
例文
「違い」の意味は、
です。 一つ目の意味では「相違」と同じです。 ただし、「相違」は二つの間での違いにのみ使用される言葉であるため「違い」のほうが意味が広い言葉であるといえます。 また、「違いない」で「きっと〜である。〜に決まっている」という意味になります。 「違いない」は「相違ない」と同様に「その通りだ」という意味の応答の言葉として、肯定の返事を表します。 「相違ない」は”間違いない”と、事実がすでに判明している際に使う言葉です。 「違いない」は事実であることが確実でなくても、”間違いない”と独断的に断言する際に使います。
例文
「間違い」は「まちがい」と読みます。 「間違い」の意味は「事実と違うこと」「正しくないこと」です。 「相違」は二つの相対することに対して「違いがある」という意味で使用する言葉です。 「間違い」は、「真実と違うこと」を意味する言葉なので、「相違」のほうが広い意味をもつと言えます。 また、「間違い」は「犯罪行為」のように正しくない行動を言い表すこともできます。 「相違」は正しくない行動を言い表すことはできません。
例文
「差異」は「さい」と読みます。 「差異」は「他と比較してのちがい」を表します。 複数のものを相互に比較したときの異なる部分を表します。 例えば、「品質の差異」「差異がない」などと使います。 「相違」は「違いがある」、「差異」は「差がある」というニュアンスになります。 「両者の差異を調べる」「両者の相違を調べる」ということはできます。ただ、「性格に相違がある」と言うことはできますが、「性格に差異がある」とは言いません。
例文
「齟齬」は「そご」と読みます。 「齟齬」は「(上下の歯がくいちがう意)くいちがい。ゆきちがい」を表します。 物事がうまくかみ合わないこと・意見や事柄が食い違って合わないことを表します。 「両者の意見には齟齬がある」「齟齬をきたすことがないようによく話し合おう」などと使います。 「相違」は「互いに違っていること。一致しないこと。違い」 「齟齬」は「噛み合っていないこと。論点などがずれていて話がうまく進まないこと」を表します。 例えば、「意見の相違がある」としたら「意見が不一致である、両者で違った意見となる」、「意見に齟齬がある」としたら「意見が噛み合わない、論点がずれていて話がうまく進まない」となります。
例文
「相異」は「たがいに異なっていること」を表します。 「相異」は「相違」と同じ意味を表す言葉であると考えて問題ありません。 ただ、「そういではありません」と表記するときは「相異」ではなく「相違」とするのが一般的です。
例文
「異論」は「いろん」と読みます。 「異論」の意味は「異なる意見」「反対の意見」です。 他とは違う議論や意見を「異論」といいます。 「異論」は、異なる意見や議論に対してのみ使用される言葉です。 「相違」は、意見や議論だけではなく、互いに違っていることや違いを言い表します。
例文
賛同する時の「相違ございません」の英語は「agree」を使って表現可能です。 「agree with 人 on 事」の形で使います。 反対語「disagree」を使うと「相違する」という意味になります。
I agree with you on that.
その点、相違ございません。
I disagree with there.
その点、あなたとは意見が相違している。
謝罪で使う「相違ございません」は「right」を使います。
Your point is totally right. We're very sorry about that.
ご指摘の内容に相違ございません。大変申し訳ございませんでした。