「馬が合う」という表現を耳にしたことがあると思いますが、「馬が合う」の詳しい意味と使い方をご存知でしょうか。今回は、「馬が合う」という言葉の意味や使い方を例文付きで紹介します。また、「馬が合う」と似ている表現との違いや、類語の慣用句も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「馬が合う」の意味は、「性格や気が合うこと」です。 同じ趣味をもっていたり、好みが似ている、性格が合うといったときに「馬が合うね」などと言います。 言い換え表現としては、「意気投合する」「気が合う」などがあげられます。 例えば、話をあわせようとしているわけではないのに、なぜが共通の話題でやたらと盛り上がったり、考えが一緒になったりするような関係性を「馬が合う」と表現することができます。
「馬が合う」は、人間が馬に乗る「乗馬」からきています。 「乗馬」は、馬と馬に乗っている人間の相性がとっても大事です。 馬と人間の相性が悪いと、上手く馬を操ることができません。 馬は、とても能力が長けているので「誰でも良い」というわけではないのです。 馬が自分自身の能力を発揮するためには、乗る人と息がピッタリである必要があるため、実際に馬を上手に操れる人は、「馬と相性がいい」ということなんです。 そこから、「気が合う」といったことを「馬と相性がいい」ということを言い換えて「馬が合う」と使用されはじめたと言われています。
「馬が合う」という表現は、
など性格を持ち合わせたもの=人や動物に対して使います。 物を擬人化して、人と物に対して使うことも稀にありますが、基本的には「人と人」に対して使われます。 ただ「気が合う」というよりは、「こんなに気が合うなんて運命的だ」というような、特別感を強調する表現になります。 「特別な存在」ということをアピールしたい場合に例えば「彼とは本当に馬が合うんだ」というように使用されることが多いです。
例文
「馬が合う」は、「相性がいい」「気が合う」といったプラスの意味で使用されることが多いですが、「馬が合わない」という否定文としても使用されます。 「馬が合う」に「ない」という打ち消しの言葉をつけることで、「気が合わない」「相性が悪い」といった意味になります。 好みや考えが合わず付き合いにくいな...と感じる場合に「馬が合わない」と表現することができます。 ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用される事が多いです。
例文
➜これらはほぼ同義
➜これだけ意味が違うので注意
「反りが合う」の意味は、「気が合うこと」です。 「刀の反りが鞘(さや)に合わない」というのが語源です。 「反りが合う」は「馬が合う」と同義です。 基本的に「人と人」に使う点も同じです。 ただし、「反りが合う」は「人と人」でも主に「男と女」の関係を表現する場合に使用されることが多く、「気心の知れた」というニュアンスになります。 大きな違いは、「反りが合う」は「反りが合わない」と否定形で使うのがほとんどである点です。
例文
「息が合う」の意味は、「両方の調子・呼吸がよくあい、気持ちがピッタリ一つになること」です。 「息が合う」は、「息がピッタリ合う」という表現のように、例えば何か一緒に行動をするような場面で調子が揃うことを表現することが多い言葉です。 「馬が合う」は、「息がぴったり」という意味ではなく、「性格や気質が合う」という意味です。
例文
「気が合う」と「馬が合う」は完全な同義語です。 「考え方や感じ方が似ており、親しみがもてる」という意味です。
例文
「波長が合う」も「馬が合う」「気が合う」と同義です。 「波長」とは、「空間を伝わる波」のことです。 この空気の波が同じであることを「波長が合う」と言います。
例文
「馬が合う」「気が合う」「波長が合う」を若者風に言うと「ノリが合う」です。 「ノリが合う」は単に気や性格が合うという意味だけではなく、趣味が同じ、話すテンポ感がある、バックグラウンドが似ているなど様々なニュアンスを含みます。
例文
「阿吽の呼吸」は、「あうんのこきゅう」と読みます。 「阿吽の呼吸」とは「言わなくても分かり合えること」「言葉にしなくても通じ合うこと」を指します。 例えばスポーツで言えば、「ダブルスなどでは一方が前に出れば言わずともすぐにもう一方は後ろに下がる」「サッカーで一人の選手がボールを持ってそのままゴールを狙おうとした時に、他の誰かがゴール前へと走って相手選手を引きつけたり、ボールを持った選手が相手選手に囲まれた際にすぐにパスが出せるような位置に他の選手がいく」などが「阿吽の呼吸」であるといえます。 また家族や恋人などで言えば、「メガネがないと思ってキョロキョロとすれば、さっと家族がメガネを渡してくれる」などが「阿吽の呼吸」です。
例文
「足並みが揃う」は、「意見や考えを同じにする」という意味で使用される慣用句です。 例えば、同じ会社に勤めている人たちが全員別々の方向を向いて努力していたら、会社としての方向性がバラバラすぎて経営が上手く成り立たなくなってしまったりしますよね。 ある程度、社員は同じ方向を向いて努力をする必要があると言えます。 そういった場面で、一度話し合い、みんなの気持ちや考えを一つにし、みんなで一丸となって目標に向かって努力をすることを「足並みが揃う」と表現することがあります。
例文
「肝胆相照らす」は、「かんたんあいてらす」と読みます。 「肝胆相照らす」の意味は、「お互いに心を許し、打ち解けて深いお付き合いをすること」です。 「肝胆」とは、「肝臓」と「胆嚢」のことです。 「肝臓」と「胆嚢」が近い部分にある臓器であることから、お互いに理解しあって親しいお付き合いをするという意味で、「肝胆相照らす」で、「深い親密な仲」を言い表す慣用句になりました。
例文
割れ鍋に綴じ蓋は「なべわれにとじぶた」と読みます。 「割れ鍋に綴じ蓋」は、「割れた鍋」で、「綴じ蓋」は、壊れた部分を修復した蓋です。 つまり、鍋も蓋も欠陥がある状態だけれど、お互いに欠陥があるからこそ、お互いのダメなとことをカバーしまうことができるという、「相性のよさ」と表現する慣用句になります。 主に結婚相手の相性を表現するような場面で使用されます。
例文
「ツーカーの仲」は、「気心知れていて、ちょっと言うだけで通じる関係」です。 諸説ありますが、「ツーカーの仲」の語源は、内容を言わずに「っつうことだ」と言った時に「そっかあ」とわかるぐらいに、なんでも通じる仲という意味で「ツーカーの仲」と言われるようになったと言われています。 「気が合う」というよりは、なんでもお互いのことを知っていてわかりあっている相棒のような存在です。
例文
「get along」で「うまく付き合う」「仲良くする」という意味になります。 「A and B get along.」で「AさんとBさんは馬が合う」、 「A gets along with B」とすると「AさんはBさんと馬が合う」という意味合いになります。 「get along well」と「well」で強調することもあります。
I can't get along with my new boss.
新しい上司と馬が合わないんだよ。
Strangely enough, my sister gets along very well with my father.
妙なことに、姉は父と非常に馬が合う。
「意気投合する」のイディオム(慣用表現)に、「hit it off」があります。 「it」は「それ」という意味なわけではなく、慣用的に置いているだけです。 ちなみに「hit」は過去形も「hit」です。
などの形で使います。
We hit it off right away.
おれたちは最初から馬が合った。(私たちはすぐに意気投合した)
「chemistry」は「化学」の他に「相性」という意味もあります。
などと使います。 特に恋愛感情に発展しそうな「相性」のことを指します。
There is no chemistry between Bill and I.
ビルは私は馬が合わないわ。
「compatible」は「プログラムが互換性がある」という意味で使われるIT用語です。 カタカナで「コンパチブル」と表記することもあります。 「compatible」は「人と人がうまく付き合ったたり、一緒に生活することができる」という意味でも使います。(元の意味はむしろこちらです)
When we started living together, I realized that we are not compatible
同棲し始めて、私達は馬が合わないんだと悟った。
馬は古くから人間の生活に密着した動物の一つです。 よって、「馬が合う」以外にも「馬」を使った慣用句が多数存在します。そのいくつかを最後に紹介したいと思います。
「馬の耳に念仏」は、「馬に念仏を聞かせてもそのありがたみが分からないように、いくら説き聞かせても何の効果もないたとえ」を意味します。 「念仏のありがたみが分からないなんて愚かな奴である」という意味合いが含まれます。
例文
馬の耳に風(馬耳東風)は、「人の意見や批評などを、心に留めずに聞き流すこと」です。 他人の意見や忠告を聞き流して、心にも留めずに知らん顔をしている様子を表します。 春風が吹くと寒い冬が去って暖かくなるだろうと人は春の訪れを思い喜びますが、馬は耳を撫でる春風に何の感動も示さないということから、他人の意見や批評を聞き入れずに心に留めないたとえとして「馬の耳に風」と言うようになりました。
例文
「馬の背を分ける」は、「馬の背の片方には雨がふり、もう片方には振らない」という意味で、近くでも雨がフルか振らないかの差ができるという状態を言い表す言葉です。
例文
「馬は馬連れ」は、正しくは「牛は牛連れ、馬は馬連れ」と言います。 「牛は馬とは歩調が合わない」ということが語源になっていて、「牛は牛連れ、馬は馬連れ」は、「同類のものや似た者同士は自然と集まるし、似た者同士で一緒に行動をしたほうが上手くいく」ということを表現しています。 「牛は牛連れ」「馬は馬連れ」とバラバラで使用されることもあります。
例文
「鹿を指して馬となす」は、「理屈に合わないことを、権力によって無理に押し通すこと」です。 権力があることを利用して、間違っていること押し通したり、人を騙して陥れることを「鹿を指して馬となす」と言います。
例文
「馬を牛に乗り換える」は、「優れているほうを捨てて、劣っているほうを選択してしまう」ということを意味しています。 「最も早く走れる馬を捨てて、牛に乗り変えてしまう」という例えが語源となっています。 対義語は「牛を売って馬を買う」「牛を馬にする」で、反対に劣っているものから優れているものに乗り換えるという意味になります。
例文
「馬の篭抜け」は、「うまのかごぬけ」と読みます。 「馬の篭抜け」の意味は、「馬が曲芸の籠抜けをやろうとするように、無理に無理を重ねること」です。 馬が篭を抜けるのは無理なのに、無理に抜けようとする様子から、「無理なことを無理やりしようとすること」を「馬の篭ぬけ」と言うようになりました。
例文
「馬には乗って見よ、人には添うて見よ」は、実際に経験してみなければ良し悪しはわからないという意味がある言葉です。 馬には、実際に乗ってみないと善し悪しを判断することができないといった例えから、人間関係も実際に付き合ってみなければその人の本質はわからないということを言い表しています。 また、人付き合いだけではなく、「実際にやってみないとわからない」といった意味があり、「やってみてもいないのに否定したり批判するのは良くない」といった意味で使用されることもあります。
例文
「馬が合う」という言葉について理解していただけましたか? 簡単にまとめると... ✓「馬が合う」の意味は「性格や気が合うこと」 ✓「馬が合う」は、人間が馬に乗る「乗馬」からきている ✓「馬が合う」は、基本的には「人と人」に対して使う ✓「人と動物」「動物と動物」に対しても使用可能 ✓「馬が合わない」と否定文でもよく使う など