「自由闊達」という四字熟語をご存知でしょうか。あまり聞き慣れないかもしれませんが「自由闊達」には、「小さなことにこだわらず広い心でのびのび振る舞うこと」という意味があります。今回は、「自由闊達」の詳しい意味と使い方を例文付きで紹介します。また、「自由闊達」の類語や英語表現も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「自由闊達」は「じゆうかったつ」と読みます。 「自由」は「じゆう」と読めても「闊達」って難しいですよね。 「闊」は音読みで「カツ」訓読みで「ひろい・うとい」と読む漢字です。 「闊達」の他には、「空闊」「快闊」といった言葉に使用されます。
「自由闊達」の意味は、「小さなことにこだわらず広い心でのびのび振る舞うこと」です。 「自由」は、「他からの束縛を受けず、自分の思うままに振る舞えること」という意味があります。 「闊達」の意味は、「大きな度量があって、小さな物事にこだわらない様子」です。 「自由闊達」は、「自由」と「闊達」の2つの熟語を合わせた四字熟語なので、つまらないことにこだわったりせずに、何にも束縛されないのびのびと対応できる心のひろさを言い表しているということがわかります。 「何にも縛られることなく振る舞う...」というと、自分勝手な振る舞いを想像する方も多いかと思いますが、あくまでも「自由にのびのびと柔軟に対応する」というニュアンスが強いので悪い意味で使用されることはありません。
「自由闊達」は、上述したように「小さなことにはこだわらないのびのびとした〜」というポジティブなニュアンスで使用されます。 主な言い回しは、
となります。 詳しい使い方については例文を参考にしてください。 ソニーや三井物産などの大企業も、この「自由闊達」を企業のモットーとして取り入れています。 また、「自由闊達、自主自立」など、中学や高校の校風としても人気の四字熟語です。
例文
「自由奔放」は、「じゆうほんぽう」と読みます。 「自由奔放」の意味は、「自分の思いのままに振る舞う様子」です。 人の目や世間など周りの目を気にすることなく自分の思うままに自由に行動したり自由に振る舞う人を「自由奔放」と言います。 「自由に」という点でいえば「自由奔放」も「自由闊達」も同じですが、「自由闊達」は「自由な心をもって柔軟に物事を対応できる」という意味合いが強いので、ただ「周りを気にすることなく自由に振る舞うという」という意味である「自由奔放」とはニュアンスの違いがあると言えるでしょう。
「自由放任」の類語には
例文 「どんな動物も自由自在に操ってしまう飼育員さんはすごいですよね」
例文「今のうちにお金を貯めて老後は年金と貯金を使って悠々自適に暮らしたいです」
例文「ちょっと部屋を離れた間、縦横無尽に暴れまくったようで荒れ果てた部屋に驚いた」 などがあります。
例文
「闊達自在」の意味は、「心が広く、細かいことを気にしない様子」です。 小さいことを気にしないおおらかで心の広い人を「闊達自在」といいます。 例えば、どんなことがあってもおおらかな気持ちでフォローをしてくれるような器の大きさをもっている先輩・上司に対する尊敬の念を述べるときに「闊達自在な性格」などといった使用することがあります。 ただ、いい意味だけではなく「周りを気にせず自由自在に降る舞う人」というように悪いニュアンスとして捉えられてしまう可能性もあるので注意したいところです。
例文
「明朗闊達」の意味は、「細かいことにこだわらない明るく朗らかな様子」です。 「明朗」の意味は、「性格が明るく朗らかであること」です。 つまり、「明朗闊達」は、細かいことをネチネチ気にしたりしないおおらかさのある、いつでもその場を盛り上げるムードメーカーのような人を表現する四字熟語です。 その人の性格を表現する言葉として、小説などでもよく使用される表現です。
例文
「融通無碍」の意味は、「何の障害もなく自由でのびのびしていること」です。 「融通(ゆうずう)」は、「とどこおらずに通ずること」です。 「思い通りにうまくことが運ぶ」という意味で「融通がきく」なんて言いますよね。 その「融通」です。 「無碍」は、「滞らせる障害がないこと」です。 「融通無碍」は、この「融通」という熟語と「無碍」という2つの熟語でできている四字熟語です。 邪魔するものが何もなく、思いどおりにのびのびできることを「融通無碍」と言います。
例文
「天空海闊」の意味は、「空や海のように大く広い心をもってこだわりのないこと」です。 空や海が果てしなく広く繋がっている...といったことから転じて「心が広い」「度量が大きくこだわりがないこと」といった意味で使用されるようになったと考えられています。 「天空のように、海のように広い」といった意味です。
例文
「虚心坦懐」の意味は、「心にわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること」です。 「虚心」とは、「わだかまりや、先入観をもたない心」です。 「坦懐」は、「気持ちがさっぱりしている」という意味です。 「虚心坦懐」は、「虚心」と「坦懐」を組み合わせた四字熟語です。 「穏やかな気持ちで、相手の気持ちを受け取る」ということや、「どんなときでも気をはらずに」という意味で使用されます。
例文
「杓子定規」の意味は、「一定の基準や形式に沿ってすべてを律しようとすること」です。 「杓子」とは、おたまやしゃもじを指す言葉で、古くからご飯や汁物をよそう杓子の柄が曲がっていて、その曲がった杓子を定規の変わりに無理にまっすぐに使用した様から、「無理に基準に当てはめる」という意味で「融通がきかない」という意味で「杓子定規」という四字熟語が使用されるようになったと言われています。 「まっすぐな人」と言えば聞こえはいいですが「融通がきかない」「機転がきかない」という悪い意味で使われることも多いです。
例文
「頑迷固陋」の意味は、「頑固で視野が狭く自分の考えばかりに固執している様子」です。 「頑迷」は、「頑固で考え方に柔軟さを欠いていること」という意味です。 「固陋」は、「頑固で見聞が狭いこと・考えが古いこと」です。 頑固で自分の考えに固執してしまっていて、新しい物をなかなか受け入れられないよう人な見識が狭い人を「頑迷固陋」と言います。
例文
「守株待兎」の意味は、「古いしきたりや習慣にとらわれて融通がきかないこと」です。 「守株待兎」は、偶然おきた幸運に味をしめて、再び幸運がおきることを期待してじっと待つという愚かな行為からきていて、うさぎが来るのを待って切り株を見張っている様子を表現した四字熟語です。 その昔、中国で偶然木の切り株にぶつかって死んだうさぎを手にいれた男が再び同じ偶然が起きることを、ただ切り株を見て待っていたという故事が語源のようです。
例文
「尾生之信」は、「いったん交わした約束はどんなことがあっても固く守ること」です。 「尾生」とは、人の名前で、橋の下で女性と約束をしていた尾生が、いつまでたっても来ない女性をひたすら橋の下で待ち続け、最終的に川の水が増水してしまい、橋の柱にしがみつきながら溺れて亡くなった・・・ということが由来になっています。 来ない女性を水かさが増しても尚同じ場所で待ち続けた尾生さんは、「約束を守る市議の堅い人」でもありますが、「頑固で融通がきかない」ともいいますよね。 基本的には「融通がきかないバカ正直な人」というニュアンスで使用されることが多いです。
例文
「自由闊達」の英語はいくつかあるのですが、それぞれ微妙にニュアンスが違うので注意しましょう。
「generous」は「関大な」「気前がよい」という意味です。 「generous person」は「惜しみなく物を与えるような人」を指します。
He is such a generous man.
彼はとても寛大な人だ。
「laid-back」は直訳すると「後ろに寄りかかっている」ですが、そこから転じて「リラックスした」という意味になります。 「自由闊達」に一番近いニュアンスかもしれません。 ちなみに「リラックスする」の英語は、
などと表現します。
「easy-going」は「のんきな」「せこせこしてない」という意味で、人の性格や雰囲気を表す時に使う言葉です。
He is friendly and easy-going kind of a guy.
彼は気さくで自由闊達なタイプの男だ。
「自由闊達」を和製辞書で調べると「free and easy」がよく出てきます。 「free and easy」はたしかに「リラックスした」という意味合いがあるのですが、人に対してはあまり使わず雰囲気などに対して使います。
I love the free and easy atmosphere of this cafe.
このカフェの打ち解けた雰囲気が大好きだ。
「自由闊達」について理解していただけましたか? ✓「自由闊達」の読み方は「じゆうかったつ」 ✓小さなことにこだわらず広い心でのびのび振る舞うこと ✓「自由闊達な社風・校風」などと使う ✓「自由闊達」の類語は「闊達自在」「明朗闊達」「融通無碍」など ✓「自由闊達」の対義語は「杓子定規」「頑迷固陋」「守株待兎」など