欧米の墓石に刻まれている「R.I.P.」という言葉。最近ネイティブの若者の間では、SNSなどでスラングとして使われていることがあります。元々の意味、本来の使い方、スラングとしての用法は?今回は「R.I.P.」を徹底解説していきます!
上図は墓碑銘としての「R.I.P」の一例
「R.I.P.」はラテン語である「requiescat in pace」の頭文字が由来しており、「安らかに眠れ」という意味です。 「requiescat in pace」の英訳は「rest in peace」にあたります。 この文言はキリスト教のお葬式で使われるため、キリスト教徒が比較的少ない日本ではあまり馴染みのない言葉かもしれません。日本語では「ご冥福をお祈りします」という言葉のニュアンスに近いです。 「R.I.P.」は「アール・アイ・ピー」と読むのが正式ですが、「リップ」と読むこともあります。 「rest in peace」を意味する文言は、紀元前1世紀のイスラエルの墓石で最初に発見されています。キリスト教の墓石で一般的になるのは、18世紀です。
「R.I.P.」の由来を「rest in peace」の頭文字とするのは、本来は間違いです。 元々の由来はラテン語の「requiescat in pace」ですが、この英訳である「rest in peace」とたまたま同じ頭文字になり、後から「R.I.P.」は「rest in peace」の頭文字だと言われるようになりました。 このような現象を言語学では「バクロニム」といいます。 元々別の意味を持つ頭字語に、新たな意味を持たせる行為のことです。 「バクロニム」のその他の例では「SOS」があります。モールス信号で打ちやすいと理由だけで「SOS」になりましたが、「save our ship」の略だ言われたりします。
ピリオドの有無で下記の3パターンが世の中で出回っています。 ①R.I.P. ②R.I.P ③RIP 正式なのは①です。Pのピリオドだけない②は使用を避けた方がよいでしょう。(もちろん意味は通じます) 全てのピリオドを省略した③は、SNSやメールなどでよく見かけます。使い方に関しては下記のスラングのコーナーで解説します。
上図のように墓石に「R.I.P.」と刻むことがよくあります。 キリスト教徒のお葬式では、牧師さんが葬儀の始まりと終わりに下記の文言を言います。 キリスト教徒にも様々な宗派があるため、違う文言を述べることもあります。 「rest in peace」を使うのは、カトリック、アングリカン・コミュニオン、ルター派教会などのキリスト教徒です。
May his soul and the souls of all the departed faithful by God's mercy rest in peace.
神の加護によって、彼の魂と、全ての身まかりし信徒たちの魂とが、安らかな眠りにつきますように
「R.I.P.」という表現は、墓石や葬式以外にも英語圏の新聞でよく目にします。 芸能人や政治家、大企業のCEOなどが亡くなったときに、新聞の見出しで使われます。 紙の新聞では、亡くなった人の名前の後、亡くなった人の名前が含む文章の最後に「R.I.P.」と書かれることが多いです。 SNSやインターネットのニュースなどでは名前より先に「R.I.P.」とくることもあります。 ネットではピリオドなしで「RIP」使うことが多いです。#(ハッシュタグ)と一緒に使い、#RIP とすることも多いです
Steve Jobs, a tech giant, is passing. RIP.
IT界の巨人、スティーブ・ジョブズ他界。ご冥福をお祈りします。
#RIP I'm sad, David Bowie.
#さようなら 悲しいな、デーヴィッド・ボウイ
「R.I.P.」はSNSなどではピリオドをタイピングするのが面倒臭いので、大文字で「RIP」とすることが多いです。 小文字「rip」でも問題はないですが、「rip」という別の英単語があるので混同を避けるためにも大文字で書くのが無難です 最近の英語圏のネイティブの若者は「RIP」を大切なものを壊したり、失くしたりした時に使います。 日本語でも「オワタ」「しんだ」「お陀仏(だぶつ)になった」などと言ったりしますよね。それに近いです。
RIP to my phone. I just dropped it in the bathtub.
お風呂に落として、スマホおわた。
RIP to pizza flavored chips. Can't believe they will stop selling it soon...
ピザポテトよ、さようなら。もうすぐ販売中止なんて信じられない...
物だけではなく楽しかった時間に対しても「RIP」は使うことができます。
RIP to the party. It was hella fun thou!
パーティー終わってしまった。めっちゃ楽しかったのに!
「RIP」はヒップホップの歌詞なのでも出てきます。亡くなっていない人に対してあえて使うことで、「死んでしまえ」という強烈なメッセージになっています。 「RIP to you」で「Go to hell」に近いニュアンスです。
Hey yo, RIP to yo!
おいお前、地獄に落ちろ!
その他には最近のハロウィンの仮装でも見ることがあります。 ミイラやおばけなど、欧米の墓地を彷彿とさせる衣装に「RIP」と書かれていることがあります。 「洋ゲー」(海外産のコンピュータゲーム)でもネイティブの若者はよく「RIP」を使います。洋ゲーは対戦仲間とチャットをしながらゲームを進めることができるのですが、そのチャットで自分のキャラクターや相手のキャラクターがしんだときに「RIP」と書くことがしばしばあります。
スラング「RIP」の説明の時にも少し話しましたが、頭文字ではなく1つの英単語としての「rip」も存在します。 「rip」は通例「...を裂く」という意味の他動詞です。 この「rip」はスラングとしての用法がとても多いため、上記で説明した「R.I.P.」との混乱を避けるために、「rip」のスラングの解説もしたいと思います。
「take a rip」もしくは「take a bong rip」で「マリファナを吸う」という意味になります。 名詞「rip」には「心的葛藤」という意味があり、そこから転じて「マリファナ」という意味が生まれました。 「a bong rip」は「水パイプを使ったマリファナ」という意味です。
Hey do you mind if I take a bong rip here?
ここで水パイプのマリファナやっていい?
「rip off...from 人」で「<人>から...を盗む」、 「rip off 人」で「<人>に法外な値段をふっかける」、 「a rip off」で「高すぎるもの」という意味になります。 これはアメリカでよく使われるスラングです。
He was ripped off a watch from the store.
彼はあの店から腕時計をパクった。
The restaurant is ripping us off! A glass of beer costs more than ten dollars there!
あの店ボッタクリだ!ビールいっぱい10ドル以上もするんだぜ!
What a rip off! I think a new iPhone is a little too expensive.
ボッタクリだろ!新しいアイフォーンはちょっと高すぎると思うな。
「rip one」「 rip ass」「let one rip」「let it rip」で「おならをする」という意味の動詞です。 「fart」「pass gas」「flatulate」などが同義です。
Did you just rip ass? It stinks like hell!
おならした?めっちゃ臭いぞ!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
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