「ご了承願います」は、事前に了承してほしいとお願いをする場面や、お詫びをする場面で使用する敬語表現です。今回は「ご了承願います」の意味と敬語、使い方を例文付きで解説します。「ご了承願います」の類語との違いも合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ご了承願います」は「ごりょうしょうねがいます」と読みます。 「了承」の意味は「(旨をうけたまわって)知っていること」「聞き入れる」の2つがあります。 「ご了承願います」の場合は、1つ目の意味です。 他にも「皆様ご了承の通り」などもそれにあたります。 「了承しました」などと使う場合は2つ目の意味です。 この2つ目の意味は謙譲語的なニュアンスがあるが、厳密には謙譲語ではありません。 「願います」は、他人に対してこうしてほしいと頼む言葉です。 「ご了承願います」は「知ってほしい」「承諾してほしい」と相手にお願いをするときに使用する表現です。
「ご了承願います」は、尊敬語「ご」+「了承」+「願う」+丁寧語「ます」で成り立っている正しい敬語表現です。 ただし、「願います」は「願う」に丁寧語の「ます」をつけた「丁寧語」です。 丁寧語のみでは相手に対する敬意を示すことができないので、目上の人への使用は避けましょう。 目上の人に承諾をお願いしたいのであれば、「お願い申し上げます」などより丁寧な敬語表現を使用するべきです。
「ご了承ください」も、「了承」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「くれ」の尊敬語である「ください」を使用した正しい敬語表現です。 ただし、命令形の「くれ」の尊敬語である「ください」を使用しているため、一方的に要望・要求するようなニュアンスになってしまいます。 「ご了承願います」と同様に、目上の人に使う場合はより丁寧な表現にした方がよいでしょう。
「ご了承おきください」は、「あらかじめ知っておいてください・ご理解ください」という意味です。 「事前に」という意味合いが強まります。 「ご了承おきください」は「(これから行うことについて予め)どうかご理解いただき、受け入れてくださいますようお願いします」といった意味合いになります。 前もって相手に了解・納得を得るために用いられる丁寧な言い回しです。 上述した、事前に依頼する使い方では「ご了承おきください」の方が適切といえます。
「ご了承のほどお願い申し上げます」は、品詞分解すると「ご」+「了承」+「のほど」+「お」+「願い」+「申し上げる」+「ます」となります。 ご了承につく接頭語の「ご」は尊敬語です。 「〜のほど」は、断定を避け、表現をやわげる表現です。 「願い」についている「お〜申し上げる」は、相手に言う動作について相手を高める謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「ご了承のほどお願い申し上げます」は目上の人に使用できる丁寧な敬語表現です。
「ご了承いただければ幸いです」は、「了承」に尊敬を表す接頭語の「ご」と、「〜してもらう」の謙譲語の「いただく」と「幸い」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「幸いです」には「自分にとって嬉しいことです」「〜であれば幸せになります」といった意味があるので丁寧で柔らかい印象になります。 「思う」の丁重語である「存じます」を使用した
も、尊敬語+謙譲語+丁重語+丁寧語を使用した丁寧な敬語表現です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。
「ご了承願います」は、まだ始まっていないことや、これから始める段階のことに対して相手に納得・了解を得るというような場面に使用します。 例えば、開催時刻が変更になる可能性がある場合など「〜になる可能性があることを了承してください」と相手に前もってお願いをしておくことで、トラブルになることを防ぐことができます。 「事に備えて・前もって」という意味のある「予め」を使用した「予めご了承願います」が使用されることが多いです。
例文
「ご了承願います」は、お詫びをする場面でも使用されます。 相手に迷惑をかけてしまうことなどをお詫びするときに「ご了承願います」を使用すると、「迷惑をかけてしまう状況であることを理解してほしい」とお願いをすることができます。
例文
「ご了承願いますようお願い申し上げます」は、二重表現です。 二重表現とは、「頭痛が痛い」のように同じ意味の言葉を繰り返し使ってしまうことをいいます。 「ご了承願いますようお願い申し上げます」も、「願う」を重ねて使っているので二重表現で誤用です。
「ご了承願いますでしょうか」は、二重敬語です。 二重敬語とは、一つの語に2つ以上の同じ種類の敬語を使用してしまうことをいいます。 「ご了承願いますでしょうか」は「了承」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「願う」に丁寧語の「ます」と「だろう」の丁寧語の「でしょう」を使用した敬語表現です。 よって、丁寧語を二つ使用した二重敬語で誤用であるといえます。 正しくは「ご了承願えますか」です。 「ご了承願えますか」は、「了承」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「願う」に丁寧語の「ます」を使用した正しい敬語表現です。
「ご理解願います」は、「理解」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「願う」に丁寧語の「ます」を使用した敬語表現です。 「理解」の意味は、 物事の道理を悟り知ること。意味を飲み込むこと 人の気持ちや立場がよくわかること です。 「ご理解願います」は、相手に対してこちらの事情を汲み取ってもらいたい場合に使用し、前もって許しを求める表現です。 「了承」は「理解して受け入れる」という意味なので、「理解」よりも一歩踏み込んだニュアンスであるという違いがあります。
例文
「ご容赦願います」は、「容赦」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「願う」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「容赦」は「許すこと、許容する」という意味で、「ご容赦ください」は「過失に対して大目に見て欲しい」という意味が込められます。 「ご容赦願います」は、相手の理解を求めると共に謝罪のニュアンスも含まれるのでお詫びをする場面で使用されます。 「ご了承願います」は「理解して受け入れてほしい」とお願いをする場面で使用されます。
例文
「ご了承」は英語では「understanding」です。 「ご了承願います」は「Thank you for understanding.」となります。