「平素よりお世話になっております」は、日頃からお世話になっている人に対して使用する言葉です。ビジネスシーンでも取引先の人と連絡をとるときの挨拶として使用している人は多いのではないでしょうか。今回は「平素よりお世話になっております」の正しい使い方を例文つきで紹介します。また「平素よりお世話になっております」の言い換え表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「平素よりお世話になっております」の読み方は「へいそよりおせわになっております」です。 「平素」の意味は、「日頃、常日頃、普段、いつも」です。 「平素より」は「過去から現在に至るまで」を表す言葉になります。 「お世話になっております」は、相手が今なお与え続けている尽力に感謝する言葉です。 「平素よりお世話になっております」で、日頃からお世話になっていることを感謝する気持ちをこめていう挨拶になります。
「平素よりお世話になっております」を品詞分解すると「平素」+「より」+「お」+「世話」+「おる」+「ます」となります。 「世話」についている「お」は接頭語です。 接頭語「お」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語(美化語)のどれにでもなりえます。 「お世話」の「お」も同様で、この場合の「お」は美化語です。 「美化語」とは丁寧語の一種で、物事を丁寧に上品にいうことで相手に敬意を示すために使用されます。 「おる」は「いる」の丁重語です。 「丁重語」とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している丁重語です。丁重語は、へりくだった表現をすることで相手に敬意を示すので謙譲語の一種に分類され、「謙譲語Ⅱ」とも言われます。 「ます」は、丁寧語です。 したがって、「平素よりお世話になっております」は、美化語+丁重語+丁寧語の正しい敬語表現であるといえます。
「平素より」の他にも「平素は」という使い方をすることもできます。 「平素は」は「過去にあったこと」を表します。 ただ、「平素は」は定型文として用いられることが多く「平素より」のほうが多く使われます。 「いつも」「日頃から」などということもできますが、「平素より」が最も丁寧な表現でビジネスシーンやかしこまった場面で使用するのに適しています。
社内では「平素よりお世話になっております」はあまり適切ではありません。 随分と丁寧な表現なので使いすぎるとくどくなり、慇懃無礼となる場合があるので注意しましょう。 しかし、会社によっては社内メールで最初に「お世話になっております」と使うこともあるので絶対に使っていけないわけではありません。 会社の文化や風潮などを把握し合わせることは大切です。 部署の違う相手には使う、普段関わりのない相手には使う、などルールがある場合もあるため、上司や先輩に社内でのメールの送り方を確認してみると良いでしょう。
「平素よりお世話になっております」はほとんどが取引先やお客様に対して使います。 相手と会う際や電話・メールなどでやりとりする際に、まず最初に使う言葉になっています。 もうひとつ気をつけたいことは、頻繁にやり取りをする相手です。 「平素よりお世話になっております」はとても丁寧な表現になるので、何度もやり取りをしているのに毎回謙られると距離を感じたり不自然に感じる人もいます。 いくらか話しやすくなってきたり、若干フランクな話が出来るようになったら「お疲れ様です」や「おはようございます」など時間帯の挨拶などを使うようにして、むやみに「お世話になっております」を使わないようにしましょう。
例文
「平素よりお世話になっております」と相手から言われた場合の、返事・返信は同じように「平素よりお世話になっております」と返信をすれば問題ありません。 また「こちらこそ平素よりお世話になっております」と「こちらこそ」を付けても良いでしょう。 ただ、毎回「平素よりお世話になっております」のやり取りでは形ばかりになってしまいます。 相手がこちらのために連絡をくれた場合は「ご連絡いただきありがとうございます」などとすると良いでしょう。 こちらから送った連絡に対する返信に対しては「ご返信ありがとうございます」「ご回答いただきありがとうございます」などと使うこともあります。
「お世話になっています」という意味の英語表現は存在しません。 「Thank you for taking care of...」だと「...の面倒を見てくれてありがとう」「....を対応してくれてありがとう」という意味合いになってしまいます。 メールや手紙でも「お世話になっております」は英訳しません。 「Hello」「Hi」などの挨拶だけで済ますことができます。