「ご愛顧」という言葉はビジネスシーンで見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか?挨拶やメールなどでもよく見聞きします。チラシなどでも見かけることがあります。何となくよく見かける言葉ですが正しい意味と使い方をちゃんと理解できているでしょうか?今回は「ご愛顧」の正しい意味と使い方を解説していきます。
「ご愛顧」は「ごあいこ」と読みます。
意味は「目をかけて引き立てること、ひいき」です。
通例は丁寧語の「御」「ご」を頭につけて「ご愛顧」という形で使い、ひいきされる側からいう言葉です。 「ご」が付いているので「ご愛顧」は敬語になります。そのため自分が相手をひいきしている場合は「ご愛顧」という言葉を使うことはできません。「ご愛顧する」「ご愛顧させていただく」などの表現は誤りなので注意してください。
「ご愛顧」は「ご」も漢字にして「御愛顧」とも使われています。
「ご愛顧」は元々芸人や役者がひいきしてくれるお客さんに対して使う言葉でした。 そこから転用させ現在ではビジネスシーンで全般的に使用されるようになっています。 主に、企業や法人側がいつも贔屓(ひいき)してもらっている顧客に対して感謝を述べるときに使います。 例えば「ご愛顧いただき~」「ご愛顧のほど~」「ご愛顧を賜りますよう〜」などの形で使います。
例文 ・当店はお陰様で開店1周年を無事迎えることができました。これもひとえに皆様のご愛顧、ご支援の賜物でございます。感謝申し上げます。 ・この度、海外展開をすることが決定いたしました。これもひとえに皆様のご愛顧とご支援によるものと深く感謝しております。
・平素より格別のご愛顧にあずかり、誠にありがとうございます。 ・いつもご愛顧賜(たまわ)りまして、厚く御礼申し上げます。
「ご愛顧」は企業から顧客様に出す年賀状の挨拶でも使われています。 昨年の「ご愛顧」に対する感謝、そして今年も「ご愛顧」してほしいといったことを伝えます。
例文 ・昨年は格別のご贔屓御礼申し上げます。本年も変わらぬご愛顧何卒よろしくお願いいたします ・旧年中は一方ならぬご愛顧感謝申し上げます。本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
年賀状と同様に暑中見舞いやお中元などの挨拶文でも「ご愛顧」は用いられています。
例文 ・今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。 ・引き続き変わらぬご愛顧、何卒よろしくお願いいたします。 ・これからも末永くご愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
謝罪文でも、結びの言葉で今後のお付き合いをお願いするときに「ご愛顧」を用いることがあります。 謝罪だけで終わるよりも、謙遜して今後のお付き合いをお願いすると印象が良いでしょう。 ただ、契約が終了してしまう場合や相手に損害を与えるようなことをしてしまった場合は謝罪文のみにしましょう。
例文 ・今回は多大なるご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。まことに勝手ではありますが、今後とも変わらぬご愛顧のほど何卒よろしくお願いいたします。 ・本件では大変なご迷惑をおかけいたしました。誠に申し訳ございませんでした。勝手なお願いで恐縮ではありますが、ぜひ今後も今まで同様ご愛顧くださいますように、よろしくお願いいたします。
企業や店舗が顧客にキャンペーンのお知らせをするときにも「ご愛顧」は用いられています。 主に、日頃の感謝を示しています。
例文 ・お客様の日頃のご愛顧に感謝して、本日より全品50%セールを実施いたします。 ・平素ご愛顧のお客様に、本日はプレゼントをご用意させていただきました。 ・お客様へのご愛顧に感謝し、抽選で100名様に豪華賞品が当たるキャンペーンを実施中です。
「ご愛顧」は閉店のお知らせでも用いられています。 今まで目をかけてくれたことへの感謝を示すために使います。
例文 ・本日の営業を持ちまして、当店は閉店させていただきます。長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。 ・当商品の販売は来月末をもって終了とさせていただきます。大変長らくのご愛顧、心より感謝申し上げます。
「ご愛顧(ごあいこ)」と混同されがちの言葉に「ご愛好(ごあいこう)」があります。 読み方が似ているため混同されやすいですが、読み方も意味も全く別の単語なので気をつけましょう。 「愛好」の意味は文字通り「物事を愛し好むこと」です。 中国語で「愛好」は「趣味」を意味し、日本でも「趣味や嗜好品、熱中していること」に対して使います。 「愛好」はビジネス文書で使うことはありませんので「ご愛好」といった敬語表現はほとんど用いられていません。 主に「○○愛好家」「○○愛好会」と使われています。
・友人と社会人写真愛好会を立ち上げた。 ・わたしの父はジャズ愛好家です。
「ご愛顧」と同様に、目上の人に対して使える類義語を紹介します。
「お引き立て」の意味は「相手から受けた愛顧や、相手に求める支援のこと」の敬語表現です。 目をかけてもらったことへの感謝を表す場合に使います。 「ご愛顧」「ご贔屓」とほぼ同じ意味です。 「お引き立て」も正しい敬語のため、取引先や顧客などに使うのに適してます。
例文 ・平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。 ・日頃より一方ならぬお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
「ご贔屓」は「気に入った人を目にかけて、可愛がること」の敬語表現を意味します。 「ご愛顧」「お引き立て」とほぼ同じ意味です。 「ご贔屓」も正しい敬語のため、目上の相手に使うことができます。 相手が自分のことを気に入っている場合は、「贔屓にしてもらう」「ご贔屓にあずかる」などと言います。
例文 ・多大なるご贔屓を賜り、御礼申し上げます。 ・今日は本当にありがとうございました。引き続きご贔屓いただきますようお願い申し上げます。
「ご支援」の意味は「ささえ助けること、援助すること」の敬語表現です。 支援してくれたことへの感謝を表す場合に使います。 「ご愛顧」や「贔屓にしてもらう」といったニュアンスはなく、「支えてもらった」といった意味合いが強くなります。
例文 ・今後ともご理解ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。 ・これも皆様のご支援ご厚情の賜物でございます。感謝いたします。
「ご高配」は「相手の配慮」に対して強い敬意を払った言葉になります。 相手が配慮してくれたり気を使ってくれたこと、また配慮してくれた相手を敬う言葉です。 「ご高配」は「ご配慮」よりもかしこまった表現で、主にビジネス文書やメール・手紙などの挨拶文として用いることが多くあります。 特に取引先や顧客などに対して用いられています。
例文 ・今後とも何卒ご高配賜りますよう、お願いいたします。 ・拝啓 時下益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。日頃より当社の事業に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
「ご厚情」は「厚いなさけ」「心からの不快思いやり」の敬語表現となります。 「ご厚情を賜り」「ご厚情の賜物」など、かしこまった挨拶文でもよく用いられている表現です。 親切にしてくれたことへの感謝を表す場合に使います。 ビジネスシーンにおける歓送迎会、送別会、納会、宴会など行事や年賀状、暑中お見舞い状などの挨拶以外にも、結婚式や就任セレモニー、祝賀会、葬儀など式典で使うこともあります。
例文 ・今回のプロジェクトが成功したのは、皆様のご厚情の賜物でございます。 ・この度は、退職に際してお心のこもったご祝詞を頂戴し、誠にありがとうございます。在職中は、一方ならぬご厚情をいただき、感謝申し上げます。
「お力添え」の意味は、「力を添えること・手を貸すこと」の敬語表現となります。 主に長期間に渡り大勢の人が、協力や手助けをしてくれたことへの感謝を表す場合に使います。 ビジネスシーンでは「お願い・要求するとき」「感謝するとき」「謝罪するとき」の言葉に使われています。
例文 ・お手数おかけして申し訳ありませんが、お力添えいただきますようお願い申し上げます。 ・日頃より大変なお力添えを賜りまして、心から感謝申し上げます。 ・お力添えいただきながらこのような結果となってしまい、誠に申し訳ありません。
基本的に、「あることのために力を尽くすこと」の敬語表現です。 相手に、「(何かを成し遂げるために)かなりの労力をかけ、助けてくれてありがとうございます」と深く感謝を示したい場合は、「ご尽力」を使うのが良いでしょう。 「お力添え」よりも、実現に向けて走り回ってくれたなど、助けてくれた度合いが強くなっています。個人が一生懸命に協力・援助してくれたイメージです。そのため、多くの人に感謝する場合は「皆様のご尽力」などとよく使われています。
例文 ・これもひとえに、皆様のご尽力のおかげです。誠に感謝申し上げます。 ・この度はご尽力いただいたのにもかかわらず、残念な結果となりましたことを深くお詫び申し上げます。
「ご愛顧」は英語で「patronage」と言います。 語源はフランス語で、「後援、保護、奨励、引き立て、ひいき」などの意味があります。 英語でもあまり使うことが少ない堅い表現ですが、「ご愛顧」も堅い表現なので、とても似ています。 例文です。
We appreciate your patronage from the bottom of our heart.
心よりご愛顧感謝いたします。
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「ご愛顧」について理解できたでしょうか? ✔「ご愛顧」は「ごあいこ」と読み「目をかけて引き立てること、ひいき」という意味 ✔「ご愛顧」は目下の者が目上の者に対して使う言葉 ✔「ご愛顧」と「ご贔屓」「お引き立て」はほぼ同じ意味でよくビジネスシーンでも使われている