ビジネスシーンにおいて、大変なのが電話対応です。会社には上司宛であったり、取引先やお客様からなどいろいろな人から電話がかかってきます。そんな電話対応の中で、難しいのが敬語の使い方です。電話をかけてくれた相手に対して、失礼であってはいけませんよね。ですが、そもそも「お電話」という表現は正しいのか、「お電話差し上げる」は目上の人に使っていいのかと迷ってしまいますよね。そこで今回は「お電話」の正しい使い方、「お電話」とともに使われる敬語について解説していきます。適切な敬語表現を知って、上手く使いこなせるようにしましょう。
「お」は敬語の接頭語です。 「お電話」は正しい敬語で、尊敬語にも謙譲語にも丁寧語にも美化語にもなりえます。 「お電話」の後に続く言葉が尊敬語か謙譲語かによって、「お電話」も尊敬語か謙譲語となります。 ですので、自分の動作に「お」をつけるのはおかしいのではと疑問に思っているかもしれませんが、「お電話」は相手の動作に対しても自分の動作に対しても使えます。 例えば、「お電話ありがとうございます」といった場合は相手を高める尊敬語になります。一方で「お電話いたします」とした場合は相手に敬意を表しているため謙譲語に当たります。
また、「お電話」は美化語にも当たります。 ”美化語”とは上品に言い表そうとするときの言い方で、用語の頭に「お・ご」を付けたものと、用語そのものを言い換えたものがあります。 会話の中で単語として”電話”を指すときに、単に「電話」と言うよりも「お電話」とした方が、響きが良く、丁寧な印象になります。 接頭語「お」はとても汎用性が高く、様々な範囲で使われます。尊敬語か謙譲語か区別するのは難しいですが、文脈によってしっかり分類できるようにしましょう。
美化語の例 (「お」を付けたもの)
(「ご」を付けたもの)
(用語を言い換えたもの)
「お」をつければ何でも美化語になるわけではなく、「おビール」「おコーヒー」などは実は誤用です。外来語にこの表現は使わないので注意しましょう。
「差し上げる」の意味は、「やる」「与える」の謙譲語となります。 「差し上げる」は「奉仕の気持ちをもって捧げる」というニュアンスが含まれます。 「花を差し上げる」といったように「与える」という意味としてだけでなく、「ご説明して差し上げます」といったように「やる」という行為をするといった意味でも使うことができます。
「差し上げる」は謙譲語です。自分を謙って相手を立てる言葉なので、相手の動作に「差し上げる」を使うと失礼に当たります。 例えば目上の相手に「◯◯さんにお電話差し上げましたか?」と聞くと、目上の相手を下げているという表現になってしまいます。
「差し上げる」は「〜してあげる」の謙譲語なので、「お電話差し上げる」というフレーズは自分を謙り相手を立てていることには間違いありません。 ですがそもそもの「してあげる」というニュアンスが相手に上から目線に聞こえてしまい不快感を与えてしまう可能性があります。 相手にとって利益やメリットがある内容でないと偉そうで厚かましい響きになってしまうので注意してください。 例えば、頼んでもいないのに「教えて差し上げる」と言われたらどう思うでしょうか。 「教えてやる」と上から目線のように感じ、不快感を持ってしまいます。 こういった場合は「教えて差し上げる」ではなく、「必要であればご説明します」「良ければご案内します」と言い換えた方が適切になります。
「お電話差し上げます」や「メールを差し上げる」は相手がこちらからの電話やメールを望んでいる場合にのみ使うことができます。 例えば、取引先や顧客様から電話があった際に担当者が不在で、戻り次第こちらから電話をすることを伝える場合に「担当者が戻り次第、折返しお電話差し上げます」と使います。 ただ何度も説明しているように目上の相手に対して、いくら相手が電話を望んでいるとはいえ「電話をしてあげる」といったニュアンスが含まれる表現です。 そのためなるべく「お電話差し上げる」「メールを差し上げる」といった表現は避け「折返しお電話いたします」「ご連絡します」と言い換える方が良いでしょう。
例文
⚠︎「電話番号を頂戴できますか」は使える表現? 相手の電話番号を聞きたいときに「電話番号を頂戴できますか」と言ってないでしょうか。 実はこの表現は誤りです。 「頂戴」は「もらう」の謙譲語で、物をもらうときに使う表現なので、電話番号だったり名前を聞くときに使用するのは間違いになります。 電話番号を聞くときは「お伺いしてもよろしいでしょうか」「お名前をお教えいただけますでしょうか」などを使います。
「お電話申し上げます」は「お電話します」「お電話いたします」よりも丁寧な表現になります。 また、「お電話申し上げます」はそれほどくどくないためシンプルな印象を与えます。シンプルな印象ながらも謙譲語なので、相手に好印象を与えられます。
本来「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。 ただ、「お電話申し上げる」の「申し上げる」は、「言う」の謙譲語としては使いません。 「ご〜申し上げる」という形は、「ご説明申し上げます」や「ご報告申し上げます」といったように、謙譲表現として使用します。 ですので「お電話申し上げる」は、謙譲表現「ご〜申し上げる」+丁寧語「ます」になり二重敬語ではならずに正しい表現となります。
例文
「させていただく」は、使役の助動詞「させて」+「もらう」の謙譲語「いただく」で成り立っています。 「させていただく」は、「相手に許可を得て、ある行為を遠慮しながらすること」を意味します。 そのため「お電話させていただく」は謙譲語となります。
「させて頂く」は誤りで、正しくは「させていただく」と表記します。 「頂く」と漢字表記にする場合は、「大切にする」「敬う」「食べる・飲む」と「もらう」の謙譲語として使用します。例えば、「頂く」は「お酒を頂く」「労いのお言葉を頂く」「お便りを頂く」といったように使うことができます。 逆に「いただく」を「頂く」と漢字表記ではなく、平仮名表記にしなくてはいけない場合があります。 「いただく」を平仮名表記として使う場合は、補助動詞として使用するときです。 ひらがなで「いただく」と書く場合は、「何かを~してもらう」という意味で使います。例えば「ご覧いただく」「お越しいただく」「ご足労いただく」といったようになります。つまり「~していただく」はひらがなで書くのが正解です。「〜して頂く」「させて頂く」は誤りになります。
「させていただく」は、使役の助動詞「させて」+「もらう」の謙譲語「いただく」で成り立っています。 「させていただく」は、
の2つの条件を満たすときに使用するのが正しい使い方になります。 不適切な場面で「お電話させていただく」を使うと、こちらが許可したようなニュアンスになり、違和感を持つという人もいます。 「電話差し上げる」は電話する自分を低め、動作の向かう先である相手を高めるということになるのに対して、「電話させていただく」は許可を受け自分が電話をすることによって、(自分が)ありがたく思うことを伝える言い回しになります。
例文
「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 「お電話いただく」は「電話をかけてもらう」という意味になります。 「私はあなたに〜(して)もらったことを(私にとってメリットになることであると感じ)ありがたく思う」というニュアンスです。
相手に対して電話をかけてもらうことを頼む場合は、「お電話をいただけますか」「お電話いただいてもよろしいでしょうか」を使います。 また「お電話いただけると幸いです」も丁寧な表現です。 「幸いです」を依頼をするときに使う場合は、「〜してくれるとありがたい」という意味になります。 電話をかけてもらったことに対してお礼を述べる場合は、「お電話いただきまして、ありがとうございます」ということができます。
例文
「お電話」の英語表現を見ていきましょう。 「あなたに電話する」の英語は、
など 「hit someone up」などはかなりカジュアルな言い方なので、プライベートで使うのがメインです。
I'll call you later.
後ほどお電話させていただきます。
I'm busy right now, so I'll get back to you on this matter.
今忙しいので、この件は折り返しお電話させていただきます。
Just hit me up anytime!
いつでも電話してね!
科学的に正しい英語勉強法
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正しいxxxxの使い方
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「お電話」について理解できたでしょうか? ✔︎「お電話」は、尊敬語にも謙譲語にも丁寧語にも美化語にもなりえる ✔︎「お電話差し上げる」は正しい敬語だが、上から目線な印象を与える可能性がある ✔︎「お電話申し上げる」は丁寧な表現 ✔︎「お電話いただく」は「電話をかけてもらう」という意味
敬語の使い方が面白いほど身につく本
元NHKアナウンサーの著者が教科書通りの敬語ではなく、様々なシーンで使うことができる生きた敬語表現を紹介しています。文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。こちらの本では ”気の利いた敬語” の使い方を、言葉のプロがコンパクトに解説しています。
入社1年目ビジネスマナーの教科書
ビジネスシーンでの正しい敬語の使い方から身だしなみ、電話対応などビジネスマナーについて幅広く書かれている書籍です。新入社員からベテラン社員まで使える大変便利な一冊です。イラスト付きで分かりやすくまとめられているので、スキマ時間でスラスラと読むことができます。