「差分(さぶん)」の意味は「違い。値の差」です。IT業界で使う「差分バックアップ」とは初回にフルバックした後に変更・追加のあった箇所を毎回バックアップする方式を指します。統計でもよく使われる言葉ですが、ビジネスシーンで連発すると”意識高い系”だと思われる可能性大なので注意が必要です。
「差分」の読み方は「さぶん」です。 「さわけ」などとは読まないので注意しましょう。
「差分」の意味は「値の差」「違い」です。 主にファイルやプログラムの変更前と変更後など、2つのものを比較したときの値の違いを指します。 数列で隣り合う二項の差や和算における手法の一つを「差分」と言います。 詳しくは後述していきます。
これから解説しますが「差分」は元々数学用語なので、ビジネスでは市場調査など統計学的要素がある場面で使用されます。 例えば去年と今年の売上を比較したり、1月と2月の利用回数を比較したりします。 また「競合との差分」などと、他の競合企業との違いなどを指して使うこともあります。 ただ、わざわざ「差分」を使う必要はなく、多用すると「意識高い系」だと思われてしまいますので注意してください。
「差分」はエクセルでも使われます。 エクセルの列と列のデータの差を指したり、2つのエクセルのファイルの違いの部分を指したりします。 例えば、数字の差を出す際に、ただの引き算だと値が「-(マイナス)」になってしまいます。 そうすると例えば差分が5以上のものをピックアップしたいという時に「-5」になってしまうと計算出来なくなってしまいます。 そこで絶対値(+と-などの符号を除いた数)を出さなくてはいけません。 この場合はABS関数を用いましょう。
IT業界における「差分」の意味は「2つの同種のデータを比較した時にある違いや差」です。 2つのデータの集合を比較して違っている部分を「差分データ」もしくは「差分」と言います。 主に、データを編集や更新をした際の編集前(更新前)と編集後(更新後)の相違点をまとめたものを「差分」といいます。 この仕組を応用して、ファイルを編集・更新する際にその差分を抜き出し保存しておくことで、何度もファイル全体を複製する必要がなく、それぞれの編集・更新時点の状態を後から参照できるようにしておくことを「バージョン管理」と言います。
さらにコンピュータに導入済みのソフトウェア(「インストール」されたソフトウェア)を構成するプログラム・データを修正・改良する時に、古い版からの差分だけをまとめたデータを「パッチ」と言います。 この場合は細かい修正や改良を行う際に丸ごと入れ替えずに済むところが利点です。 改善点のみを組み込んでソフトウェアを更新することが出来ます。
「差分ファイル」とは「ファイル間の相違点を記録したファイル」です。 アプリケーションのバージョンアップにおける、旧バージョンとの相違点だけをまとめたファイルです。 この差分ファイルを、旧バージョンのソフトに追加することで最新のものにバージョンアップ出来ます。 相違点だけであるため、必要なデータ容量が少なくて済みます。 そのため差分ファイルは「アップデータ」というプログラムとしてネットワークで配布されることもあります。
「差分バックアップ」とは「データを複製して別のフォルダに保存するバックアップの一種」です。 差分バックアップは初回にフルバックアップしたものから、変更と追加のあった箇所を毎回バックアップすることです。 毎回初回のバックアップとの比較を行い差分をバックアップするため、データ量が多いこととバックアップに時間がかかることがデメリットとなります。ただ、作業は単純だというメリットがあります。 それに対して「増分バックアップ」というものがあります。 「増分バックアップ」は前回フルバックアップしたものから、変更と追加のあった箇所を毎回バックアップすることです。 前回からの差分のみをバックアップするため、データ量もかかる時間も少ないですが、毎回の差分のバックアップを繋ぎ合わせていくため作業が複雑になります。
「Diff(ディフ)」は差分表示ツールです。 「Diff」は「Difference」を略したもので、2つのファイルを比較するソフトウェアのことです。 2つのファイルの差異の有無を検出して、行単位・文字単位でどの部分に差異があるのかを表示することが出来ます。 それによって更新された新しいファイルのどこに変更や修正があったのかを目視で「差分チェック」することが出来ます。 「Diff」はパッチとしても使えるので、「パッチ」と呼ばれることもあります。
「差分プライバシー」はAI時代のプライバシー保護の定義のことです。 「ディファレンシャル・プライバシー」とも呼ばれています。 広告主たちがユーザーのプライバシーを侵害せずに、回答データの近似値を得ることが出来るということです。 例えばとある広告を見た100人のうち30人がクリックしてサイトに飛んだという事実を広告主は知ることができますが、どの30人かは分からないということになります。 広告主にとっては正確性がなくなるのでは?と思うところですが、「差分プライバシー」を利用せずに個人を特定した場合、データ保護規則(GDPR)に基づいたユーザーの同意が得られなかった場合は、このデータベース自体を使うことが出来なくなってしまいます。
数学における「差分」の意味は「数列で隣り合う二項の間の差」です。 「階差」とも呼ばれており、ある項からその直前の項を引くことで算出される差のことです。 関数fのxおよびx+Δx(Δxは増分)に対する値の差f(x+△x)-f(x)をfのxにおける差分といいます。 ※Δ…デルタ
「有限差分法(差分法)」とは「近接した二点における関数の値の差を二点の距離で割る方法で関数の微分係数を求める方式」です。 専門用語が出てきて、数学に詳しくないとなかなか理解が難しいですよね。 「微分」となめらかな関数を拡大して見た際に、その関数はほぼ直線に見えて一定の傾きを得ることが出来、この傾きを求める操作のことです。
和算用語における「差分」は「衰分」や「比例配分」と同義となっています。 「衰分」は一定の量を配分するための算法のことです。 現代では「比例配分」と言われています。
数学では記号が使われますが、「差分」の記号は「Δ(デルタ)」となります。 Δxと表示した場合、xの差分を表します。
「差分」はデザインでも使われており、「差分イラスト」などとも言われています。 これは「別バージョンの絵」を表しています。 主に、アニメや漫画のイラストで使われている言葉ですが、あるシーンの背景や台詞を変更したり省いたりしたもの、人物などの衣装や髪型、またイラストの配色だけが差し替えられたものなどが「差分」と呼ばれています。
ゲームで用いられる「差分」は、主にノベルゲームや恋愛シミュレーションゲームに出てくる「スチル」に対して使われています。 「スチル」とは静止画のことです。 ゲームの中では微妙に表情や服装が変わったりします。 この変わった部分を「差分」と言います。 「やっと表情が差分のスチルGETした!」などと使います。 攻略の仕方によってGET出来るスチルが変わってきます。
「差分エラー」はパチスロ用語です。
「差分吸収ライダー」は気体成分の測定手法のことです。 エアロゾルや大気構成分子による散乱と、レーザー光が散乱される場所までを往復する間に受ける測定対象分子の吸収の両方を利用しています。 測定をする際は、測定対象の吸収の大きな波長と小さな波長の2波長を用いています。
佐藤雅彦氏の書籍に『差分』があります。 佐藤雅彦氏が2005年より菅俊一氏、石川将也氏と取り組んでいる「差分」という新しい表現を追求するプロジェクトの作品と脳科学者の茂木健一郎氏との対談を収録したものとなっています。
「差」の意味は「物事と物事の間の状態や程度などの違い」です。 「差」は数字に対しても物事に対しても人に対しても使われます。 例えば「実力の差」「到着時間の差」など「○○の差」と使ったり、「温度差」「地域差」など「○○差」と使います。 また「差がある」「差がない」と使うこともあります。
例文
「差異」の意味は「他と比較してのちがい」です。 複数のものを相互に比較したときの異なる部分を表します。 例えば、「品質の差異」「差異がない」などと使います。
例文
「相違」の意味は「互いに違っていること。一致しないこと。違い」です。読み方は「そうい」となります。 「相」は「互いに」、「違」は「食いちがう」を意味するので、二つのものの間に違いがあることを表します。 「相違」が表す”違いがある”とは、「なんとなく違っていそう」という意味の「違い」とは異なり、「しっかりと確認されている違い」となります。 主に「相違がある」「相違ない」と使います。 「相違がある」は、ある物事が間違っていて事実でないことを伝える場面で使います。 「相違ない」は、ある物事が間違いない事実であることを伝える場面で使います。
例文
「差分」の対義語は「和分」となります。 「和分」は階差・差分の逆の操作に関係するものです。 1つの定数hと、1つの関数g(x)とが与えられている場合、f(x+h)-f(x)=Δf(x)としてΔf(x)/h=g(x)となるような関数f(x)をg(x)の和分といいます。 …正直、数学を勉強していないと分からないですね。
「差」を意味する最も一般的な英語は「difference」です。 「difference in...」で「...の差」、「difference between A and B」で「AとBの差」という意味になります。 「in」と「between」を同時に使うことができます。
There is a huge difference in revenue between March and April.
3月と4月で売上にかなりの差分がある。
「差」を意味する「defference」に対して、「差分」「差異」などやや堅い表現の英語に「differential」があります。 「differential」には「違いの」という形容詞の用法もありますが、名詞としても使います。
などの形で使うのが一般的です。
「difference」の類語に「gap」があります。 「gap」は「大きなズレ」という意味で、見解などの相違、不一致を指します。 「generation gap」などと使いますよね。
いかがだったでしょうか? 「差分」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「さぶん」 ✔意味は「違い」「値の差」 ✔ITでは「2つの同種のデータを比較した時にある違いや差」 ✔元々は数学用語で「数列で隣り合う二項の間の差」