「いずれか」とは「2つ選択肢から1つを選ぶ」という意味で、「いずれかの日程」などとビジネスメールでよく使用されます。ちなみに「いづれか」は歴史的仮名遣いといわれ、現代では「いずれか」が正しいとされています。また「いずれか」は物事だけではなく人に対して使うこともできます。同義語には「どちらか」があります。法律用語として契約書で使用する際は意味合いが微妙に違う点に注意が必要な言葉でもあります。
「いずれか」と「いづれか」、いずれか(←)で悩むところですが、現代仮名遣いでは「いずれか」を使います。 「いづれか」は歴史的仮名遣いであり、古くは「いづれか」が使われていました。 「いづれか」と表記したら誤記ということにはなりませんが、現代においては「いずれか」と表記するのがよいでしょう。
「いずれか」の漢字は「何れか」または「孰れか」です。 「いずれか」の漢字表記は一般的ではなく、読めない(または、読み間違える)人が多いので、ひらがな表記にしましょう。 「いずれか」は漢文では「何」ではなく「孰」を使用します。 「孰」は「いづれか」の読み以外に、「たれか」があります。「たれか」は「誰か」という意味です。 「何」の漢文での読みは「なんぞ」「なにをか」です。
「いずれか」は、代名詞「いずれ」と助詞の「か」が組み合わさった言葉です。 「いずれ」は、複数(主に2つ)ある中から、はっきりとは定めずに1つを指すのに使う語です。 助詞「か」は話者が疑念を抱いていることを示す言葉です。
「いずれか」は上述した通り、複数の中から物事をはっきりと定めず分からないままに指す場合に使います。 この意味では「いずれかの日」「いずれかの日程」などの言い回しがビジネスメールでよく使用されます。 「いずれか一方」と選択されるのが1つであるのを強調する表現もあります。 さっそく例文をみてみましょう。
例文
「いずれか」は、複数ある中から1つを選択するように依頼・お願いする表現もあります。
例文
「いずれか」には、複数の中から1つの物事を聞き出す使い方もあります。 これは少し古めかしい表現で、現代ではあまり使われません。
質問で使う「いずれか」は、疑問ではなく反語の場合もあります。 反語とは話者の言いたいことを強調するためにあえて疑問文を使うことをいいます。 「いずれかが〜?」で「複数の中で1つが〜なのか?いや、両方とも〜ない」という意味合いになります。
例文
「いずれか」は選択肢はいくつあり、いくつ選択できるのか?と疑問に思う人も多いと思います。 「いずれか」は2つの中から1つを選ぶ時に使うのが基本です。 ただし、選択肢が3つ以上ある場合も使うことが可能です。 しかし、2つ以上を選択する、全てを選択する、何も選択しない場合は使うことができません。 「この中から、いずれか二つ選択してください」と表現するのは誤用です。 正しくは「この中から、二つ選択してください」となります。
「いずれか」は人に対して使うことができます。 上記の例文でも紹介しましたが、「兄弟いずれか一方が伺います」のように人に対して使うことができます。 古語「いづれ」は人に対してよく使用されましたが、現代語「いずれか」は物事に対して使うことが多いので、人に対して使うと失礼な印象を抱く人も少なくありません。 したがって、人に対して使う場合は「だれか」を使い区別した方が無難でしょう。 また、「どなたか」「どちらさまか」をすると丁寧になり、目上の人に対しても使うことができます。
例文
「いずれか」は法律用語としても使用されます。 法令での「いずれか」は、「複数の項目うち、どれか1つが該当すれば、適用される」を意味します。 つまり、複数の項目のうち、複数が該当したり、全てが該当する場合もあります。 日常会話やビジネスシーンで使用する「いずれか」とは使い方が違いますので注意しましょう。
例文
「いずれか」は数学用語としても使用されます。 数学の問題で「いずれか」が使用された場合は、法律とは違い、選択されるのは1つです。 例えば、「百の位、十の位、一の位のうち、いずれかが偶数になるような数字」ならば、「114」「589」「237」など、どれか1つだけ偶数で、その他2つは奇数である数字を指します。
「いずれか」の類語には「どれか」もあります。 ちなみに、「いずれ」が転じて「どれ」という日本語になりました。 「どれ」だと3つ以上から1つを選ぶ時に使います。
「どちらか」は「いずれか」の同義語です。 「どちら」は、原則的に2つの選択肢の中から1つを選ぶ時に使う点でも、「いずれか」と酷似しています。 また、物事だけではなく人に対して使える点でも類似しています。 「どちらか」は不特定の方向を指す場合もあります。 「どれ」を丁寧にいう場合に「どちら」を使う場合もあります。 その場合の「どちら」は選択肢が3つ以上でも使うことができます。
「どっちか」は「どちらか」の砕けた表現で、主に口語で使います。 「どっちか」も同じく、2つの中から1つを選ぶ時に使います。
「いずれか」の言い換えとしては使えませんが、意味的な類語には「二者択一」があります。 「二者択一」の意味は「2つのうち、どちらか1つを選ぶ」です。 「者」だが人に対してのみ使うわけではなく、物事全般に対して使うことができます。
などと使います。
例文
「いずれ」を代名詞として使った場合、意味は「いずれか」と同じです。 「いずれ」には副詞として使い、「どのみち」「近い将来」などの意味もあり、この用法は「いずれか」にはありません。 副詞「いずれ」に似た言葉に「いつか」があります。 「いずれできるようになる」「いつかできるようになる」はとても意味が似ていますよね。 ただ、「いずれ」の方が「何もしなくても時間さえ過ぎれば」という意が強いです。 「いつか」の場合は、「努力さえすれば」という意が強いです。
例文
「どれも。どちらも」と、いくつかあるものからどれを選んでも同じであるということを表します。 三人称複数・二人称複数の人代名詞「みんな。みなみな。御一同。あなたがた」という意味もあります。
例文
「いずれは」の意味は副詞の「いずれ」と同じで、比較的近い未来を指して使います。 「いずれ」より「いずれは」の方がある程度決まっている未来、実現する可能性が高い未来に対して使います。
例文
「either」は「(二つのうち)いずれか」を意味する代名詞の意味があります。
Either of you is right.
あなた方のいずれかが正しい。
We have tea and coffee, and you can have either.
お茶とコーヒーのいずれかがいただけます。
You must carry out either of these, but not both.
これらのうちいずれかを実行しなければなりません、両方は無理ですが。
「いずれか」の英語表現には「any of」もあります。 形容詞の「any」は単体で使いますが、代名詞の「any」は前置詞「of」と一緒に使います。 「any」は3つ以上の選択肢がある場合に使います。 選択肢が2つの場合は「either」です。 「either」は選ばれるのは1つというニュアンスが強いが、「any」は「どれでもよい」というニュアンスが強いです。 よって、「any」も原則的には選択するのは1つですが、複数選択も可能な響きが強いです。
You can keep any of these.
これらのうち、いずれかを持って帰っていいですよ。
Are any of you going to the meeting today?
あなた方の中でいずれかが会議に出席しますか。
「one」を使って「いずれか」を表現することもできます。 「one」には「1」という意味の他に「ひとつ」という意味もあります。
You have many options, but please choose one right now.
多くの選択肢がありますが、いずれかを今すぐお選びください。
「〜はいずれか?」と疑問文で使う場合は「which」を使います。
Which is true, A or B?
AとB、真実はいずれか。
いかがでしたか? 「いずれか」の意味と使い方はご理解いただけたでしょうか? それでは最後に「いずれか」の意味と使い方についてまとめたいと思います。 ✔「いづれか」より「いずれか」がベター ✔「いずれか」は不特定な物事を指す語 ✔「いずれか」は2つの中から1つを選ぶ時に使うのが基本 ✔「いずれか」は人に対しても使える ✔「いずれか」の言い換えは「どちらか」 ✔「いずれか」の英語は「either」「any」「which」で表現可