「斡旋」は「あっせん」と読み、意味は「双方の間に入って、物事が進むようにとりもつこと」です。法律用語では「双方にかけあって、仲直りさせること」といった意味で使われています。主に「斡旋を行う」などと使われ、人材や不動産ビジネスで用いられています。「売春斡旋」という言葉から「斡旋は悪いこと」と思われていますが、そうではありません。今回は「斡旋」について類語や英語も詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
「斡旋」の読み方は「あっせん」です。 「斡」は音読みで「あつ」「かん」となります。 訓読みでは「つかさどる」「めぐる」で「めぐる、めぐらす、とりしきる」といった意味があります。 「旋」は音読みで「せん」となります。 訓読みでは「めぐる」「かえる」で「ぐるぐるまわる、かえる」「めぐらす、かえす」といった意味があります。
「斡旋」の一つ目の意味は「双方の間に入って、物事が進むようにとりもつこと」です。 人材ビジネスや不動産ビジネスなどで使われています。 人材ビジネスでは、求人を出している企業と求職している人の仲介をして、企業には求職者を、求職者には企業を紹介する業務を「斡旋」と言います。 他にも、
などと使われています。 他には「売春斡旋」もあります。ネットニュースで目にしたことがある方も多いと思います。 売春する人たちの間に立ち、直接連絡する必要がないように待ち合わせる時間と場所を連絡したり、場所の提供をしています。 主な言い回しは、
です。
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また、「斡旋」は法律用語で「双方にかけあって、仲直りさせること」といった意味があります。 労働委員会の会長が指名した斡旋員が、争議当事者双方の間を仲介して争議の解決を援助する労働争議調整のひとつの方法です。
などと使います。
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「世話」の意味は「誰かの面倒をみること、尽力すること」です。 これが一般的によく知られている意味ですよね。 しかし、世話には「間に立って斡旋すること、間を取り持つこと」といった意味もあります。 例えば「就職を世話する」「芸者を世話する」などと使います。 就職を世話する、とは、就職先を紹介したりすることを言います。 内容としては「コネ入社」に近いです。
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「周旋」の意味は「売買・雇用・交渉などにおいて、当事者の間に入って取り持つこと」です。 斡旋とほぼ同義となりますが、「斡旋」の方が使われている頻度は高くなっています。 他にも「あちこちをめぐり歩くこと」「奔走して処理をすること」「国際法で、第3国が紛争当事国の交渉を取り持ち外部から援助すること」といった意味もあります。
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「紹介」の意味は「人と人との間にたち、取り持ちをすること」です。 主に知らない人同士を引き合わせることを指します。 また「新作の本を紹介する」などといったように、「知られていない物事を広く教え知らせること」といった意味もあります。
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「仲介」の意味は「当事者の双方の間に立って便宜を図ること」です。 また「第三者が紛争当事者の間に立って解決に努力する」といった意味もあります。 商学用語では「売り手と買い手の間に入って、契約や成立をできるようにすること」です。
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「仲立ち」の意味は「二者の間に立ち、取り次いだり事がまとまるように世話すること」です。 「仲介」とほぼ同じ意味で使われています。 企業間でも用いられることがありますし、夫婦や友人などの間に立つ場合にも用いられます。
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「橋渡し」の意味は「両者の間に立って取り持つこと」です。 「仲介」「仲立ち」とほぼ同じ意味です。 橋を架け渡すことが転じて、両者の間を結ぶといった意味になりました。
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「媒介」の意味は「両方の間に立ち取り持つこと」です。 ほぼ「仲介」と同じ意味で使われています。 不動産用語としてよく用いられています。 また、「マラリアを媒介する蚊」などと、ウィルスと生物を取り持つ虫などに対して使うこともあります。
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「口添え」の意味は「交渉や依頼などに、傍らから言葉を添えて取りなすこと」です。 「助言」に近い意味があります。 間を取り持つ、というよりは、関わりはしないけどうまくいくように助力することを指します。
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「仲裁」の意味は「争いの間に入って、双方を和解させること」です。 「喧嘩の仲裁をする」などとも用いられますよね。 法的には「当事者の合意に基づいて第三者の判断による紛争解決をする手続き」のことです。 法的な違いは「斡旋」は「和解による解決をすること」ですが、「仲裁」には「第三者に裁判所の判決代わる仲裁判断を下してもらうこと」です。
「調停」の意味は「当事者双方の間に第三者が介入し、争いをやめさせること」です。 これに関しては「仲裁」と近い意味を持ちます。 法的には「裁判所やその他の機関が中に立ち、当事者の互譲によって紛争を円満に和解させること」です。 「仲裁」との違いは、「調停」は「解決案は当事者の承諾を待って効力を生ずること」です。 「仲裁」は「第三者の判断にて解決」をします。 「斡旋」との違いは、「当事者に和解を促すだけでなく、調停案の受託を勧告することができる」点です。 また「斡旋」は「原則として委員一人(法律委員もしくは技術委員)が担当」しますが「調停」は「三人の委員(法律委員と技術委員のどちらもが必ず入る)が担当」します。 「斡旋」は「法律的や技術的に争点がない、もしくは少ない事案」に適しており、「調停」は「法律的や技術的な争点が多い事案」に適しています。
「介入」の意味は「事件、紛争、問題などに当事者ではない者が強引に関わること」です。 「介入」には「強引に関わる、割り込む」といった意味合いが強くなります。 間に入ることを求められていないのに、干渉することです。
「取り成し」の意味は「対立する二者の間に入り、うまく折り合いをつけること」です。 第三者が入り、悪感情を取り除いたりお互いにとって好条件を提示して、関係を好転させる場合に使います。 「うまいはからい」といった意味合いが強くなっています。 「執り成し」の漢字で使われることもありますが、意味も読み方も同じです。
「ダイレクトリクルーティング(人材サービス)」は、企業自らが求める人材を積極的に探して、相手に直接アプローチする採用活動のことです。 企業が人材データベースから主体的に人材を探して採用をしていきます。 「リファラル採用」は、社員に人材を紹介していもらう採用方法です。 社員は企業をよく理解していることもあり、適した人材を募集しやすくなっています。 欧米では、リファラル採用は重要な役割を果たしています。 この2つは、斡旋業者が一切必要ありません。 小売業でもD2C(direct to consumer)で中抜きするビジネスモデルがあります。 これは自らが企画や製造した商品をどの店舗にも介すことなく販売することです。自社運営のECサイトでのみ販売しています。 またブロックチェーン技術P2Pというものもあります。 P2Pは「Peer to Peer」のことでここの端末(Peer)が中央サーバーを介さずに互いに信頼し合うことで成立するネットワークのことです。主に仮想通貨において注目されています。管理者を置くことなく運営が可能になりますが、データの整合性を担保するのが難しくなるため、ブロックチェーンを導入することで整合性を解決した技術です。 (ブロックチェーンとは、全ての取引を記帳している台帳です)
「火に油を注ぐ」の意味は「勢いが強いものに、さらに勢いを加えるようなことをすること」です。 特に、喧嘩や争い事をしているところに、余計なことを言ったりしてヒートアップさせる場合に使います。 故意的にヒートアップをさせようとしただけでなく、良かれと思ってした言動が逆効果になってしまった場合にも使います。
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1つ目の意味の「間に入り物事が円滑に進展するようにする」の英語は「help」でOKです。 「help」は文法上の注意が1点。 「help」は、 help + 人 + 動詞の原型 の形で使います。 動詞の原型の前に不定詞「to」は入らないので注意してください。
She helped me find a job.
彼女が仕事の斡旋をしてくれた。
「仲直りさせる」の英語は「mediate」です。 「mediate a dispute」で「論争を仲裁する」という意味になります。 「mediate between A and B」で「AとBの間を斡旋する」という意味です。
I was called in to mediate between the two sides.
双方を斡旋するために私が呼ばれた。
いかがだったでしょうか? 「斡旋」についてご理解できたでしょうか? ✔読み方は「あっせん」 ✔意味は「双方の間に入って、物事が進むようにとりもつこと」「双方にかけあって、仲直りさせること」 ✔類語は「世話」「紹介」「仲介」など 「斡旋」はよく使われている言葉です。 しっかりと覚えておきましょう。