「整合性」の読み方は「せいごうせい」で、意味は「筋が通っていて矛盾がないさま」です。「整合性がある」「整合性がない人」などと使われています。今回はそんな「整合性」について例文付きで使い方を詳しく解説していきます。「一貫性」との違いや類語・英語も紹介しますので、是非参考にしてください。
「整合性」の読み方は「せいごうせい」です。 「せいあいせい」とは読みませんので注意しましょう。
「整合性」の意味は「ずれや矛盾がなくて、しっかりとそろっていること」です。 「整」は「きちんと整える」という意味で、「整列」「整形」「整理」などの熟語で使われています。 「合」は「ぴったりと一致する」という意味で、「合計」「合意」「合致」などの熟語があります。 「性」は「独創性」「柔軟性」と使われているように、名詞の下について「その状態・傾向をもっていること」を表します。 「整合性」と組み合わせることによって、「筋道が通っていて一致する」という意味になります。
「整合性」という言葉が世の中に定着したきっかけは、1961年に発売された丸山真男さんの『日本の思想』という哲学書です。 丸山さんは思想史家であり、東京大学の名誉教授も務めました。 「日本の思想」の中で、「論理的整合性という観点からよりも...」という文章が出てきます。 「論理的整合性」とは、論理的にも反証しても矛盾が生じないということです。 しっかりと筋道を立てて考えても一切の矛盾が生じないくらい整っている様子を表します。 本で使われたことによって、ビジネスシーンで「整合性」という表現が使用されるようになりました。
「整合性」は主に
と使うのが一般的です。 「整合性」と単体で使うよりも、「整合性を得る」「整合性をとる」といった使い方をします。 「整合性がある」は「食い違いや矛盾がなくて一貫性を持つ」、「整合性がない」は「ずれや矛盾があって一貫性がない」という意味になります。
例文
「整合性を持たせる」とした場合は、使役の表現です。 とある物事に対して、理にかなった状態にさせることを表しています。 ビジネスシーンなどでもよく使われる表現となります。
例文
「整合性」を否定する場合は
といった言い回しになります。 矛盾している事柄や、一貫性のないことに対して使います。 よくニュースを見ていると、コメンテーターが議員に対して「発言と行動の整合性がない!」などと非難していることがありますよね。
例文
ビジネスシーンでよく使われる「整合性」の言い回しは
となります。 「整合性」はやや堅い表現のため、日常会話で使うことは少なく、ビジネスシーンなど公式な場面で多く使われます。 議論や、論理的に物事を考える場合に使うことが多いです。
例文
「整合する」の意味は「ずれや矛盾がなく揃うこと」「揃えること」です。 「ようやく話が整合する」と言えば「ようやく話が整い、矛盾がなくなった」といった意味になります。
例文
「整合性」はITにおいても使われます。 IT業界では「データの処理・保管・転送などを行う場合に、内容がしっかりとそろっていて間違いや漏れがないこと」という意味で使われます。 また横文字で「インテグリティ」とも呼ばれています。意味は「整合性」と同じです。 「データの整合性」であるならば「データインテグリティ」と使われます。
地理学における「整合」では「地層ができた後に連続的に別の地層ができること」です。 連続して溜まっていった地層同士の関係を「整合」と言い、連続して堆積していない関係を不整合と言います。 きれいな層になっている地層が「整合」ということです。
電気工学では「信号を送り出す側の値と信号を受け取る側の値を同じにすることで最大の電力を送れること」という意味で使います。 ちなみに電子工学における「整合」は「インピーダンスマッチング」と言われています。 難しい話になりすぎるので、電子回路において出力側と受信側のとある値を整えることで、最大の電力が送れると覚えておきましょう。
哲学では「整合説」という言葉が使われています。 これもまた難しいのですが、「ある命題は他の命題と一致しているかどうかで決められるとする説」という意味になります。 命題とは、言語や式によって表した判断の内容です。 ひとつの判断は、他の判断されたものと一致してるかどうかで決められるとする考え方のことです。
「一貫性」の意味は「最初から最後まである考えを突き通すこと」「同じ考え方や方法を持続すること」です。 「一貫性」は、
などと使います。 「一貫性」と「整合性」は「事柄が複数あるか一つであるか」という点で違います 「一貫性」は「整合性」より・・・・です
「一貫性」の例文
「整合性」の類語は「一貫性」以外にも「無矛盾性」があります。 「無矛盾性」は「むむじゅんせい」と読みます。 「無矛盾性」は難しい言葉ですが、漢字通り「矛盾が無い性質」のことを指します。 「無矛盾性」はある公理において、どの式においても相互に矛盾が生じる公理がないことを表しています。
「整合性がある」の類語・言い換えは、
などがあります。 「辻褄が合う」は「前後にずれがなくて一致していること」を意味します。「話の辻褄が合う」は「話にずれがなくて納得できる」という意味になります。 「首尾一貫」「筋の通った」は「方針や考えを最後まで貫くこと」を表します。「首尾一貫したやり方」「筋の通った主張」などと使います。 「整合性」はビジネスの場において使うことが多いので、日常会話では「辻褄の合う」「一致する」などの類語に言い換えることができます。
例文
「整合性」の対義語には、
などがあります。 「不整合性」という言葉がありますが、ほとんど使われません。「整合性」の対義語としては「矛盾」や「ずれ」が多く使われます。 「矛盾」は「物事の道理が通っていないこと」を意味します。 「矛盾」は「どんな物でも突き抜く」という意味の「矛(ほこ)」と、「どんな物も突き通さない」という意味の「盾(たて)」という漢字から成り立っています。反対の意味を表す言葉が組み合わさって、「物事の道理が一致しない」という意味の「矛盾」が使われるようになりました。 「食い違い」「齟齬」は「物事や発言が一致しないこと」を意味していて、「食い違いが生じる」「食い違っている」などと用います。 「ちぐはぐ」は「対になるものがないっていない」、「でこぼこ」は「物事の釣り合いが取れていない」という意味です。
例文
「整合性」のニュアンスによって、さまざまな英語表現が考えられます。
などなど。 日常会話で使う「整合性がある」などは「consistency」を使うとよいでしょう。 「consistency」の形容詞は「consistent」です。 「consistent」の反対語は「inconsistent」になります。
I know she is hard-working, but the thing is that she is not consistent.
彼女が一生懸命なのは分かっているが、問題なのは彼女に整合性がないことだ。
He lacks consistency, so he can't continue to win.
彼は整合性がなく、勝ち続けることができない。
「整合性」について理解していただけましたか? ✔︎「整合性」は「せいごうせい」と読む ✔︎「整合性」は「筋が通っていて矛盾がないこと」を意味する ✔︎「整合性をとる」「整合性がある」「整合性を確認する」などと使う ✔︎「整合性」の類語には「辻褄が合う」「筋が通った」「一致する」などがある