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「いぶし銀」の意味と使い方、類語、対義語、英語表現を例文付きで解説

「いぶし銀」は「一見地味だが、実力や魅力がある」といった意味でスポーツ選手や俳優に対して使われている言葉です。元の意味は「表面を灰色に変化させた銀」で語源は陶芸技法です。褒め言葉ですが、相手によっては不愉快の可能性もあるので注意が必要な言葉です。今回はそんな「いぶし銀」について、使い方を例文付きで詳しく解説していきます。

「いぶし銀」とは

「いぶし銀」の意味は「地味だが魅力や実力がある」

「いぶし銀」の意味は「地味だが魅力や実力がある」です。 見た目に華やかさはないものの、渋くて味わいのある物事や人という意味です。

「いぶし銀」の漢字は「燻し銀」

「いぶし銀」の漢字は「燻し銀」となります。 「燻し」とは「燻すこと」で、煙にむせるようにすることです。

「いぶし銀」の元の意味は「表面を灰色に変化させた銀」

「いぶし銀」の元々の意味は、「燻しをかけることで表面を灰色に変化させた銀」です。 また、その燻したことでツヤのない灰色になったその色自体を指すこともあります。 灰色にくすんだ銀が華やかではないが、渋みのある色を持っていることから「地味だが魅力や実力がある人や物ごと」といった意味で使われるようになりました。

「いぶし銀」の語源は、硫黄で金属にすすいろをつける陶芸技法

「燻す」とは主に硫黄などを燃やした煙で、金属に煤色(すすいろ)をつけて曇らせた陶芸技法です。 金属によっては、表面に硫黄をつけると錆びてしまうものもあるのですが、銀は硫黄と化学反応を起こして「硫化銀」となり、濃い灰色になっていきます。 そのくすみが渋く味わいのあることから、芸術としても用いられます。

「いぶし銀」の使い方と例文

野球・相撲などスポーツ界でよく使われる

スポーツ界では「いぶし銀の活躍」などとよく使われています。 これは、例えば直接ゴールを決めた人や点を入れた人ではないですが、それに貢献したプレーをした選手の活躍を評して使われています。 派手にホームランを打ったわけではないけど、相手の打球を全て取って失点を防いだ選手などに使われます。 また、相撲では大横綱の好敵手となって土俵とお茶の間を沸かせた名力士を「いぶし銀」と呼びます。 実力のある名脇役として使われています。

例文

  • いぶし銀の活躍を見落とさないことが、観戦の醍醐味だと思っている。
  • 彼は最後までいぶし銀として存在感を十分に発揮していた。
  • もちろん全勝した横綱が素晴らしいのだが、どれもいぶし銀あっての名勝負だった。
  • 全員がエースではチームは上手くいかない、陰ながら活躍するいぶし銀も必要である。

俳優に使うと味のある脇役を指す

「いぶし銀」は俳優に対してもよく使われます。 この場合は味のある脇役を指します。 目立つ主人公、華やかなヒロインではなく、脇役だが存在感があり積み重ねてきた実力を発揮している俳優を指します。 特に俳優としての歴も長く、渋く味わいのある演技をする名優に使われています。 例えば國村隼さんや小林薫さんなどがよく言われています。 もう少し若い方で言うと、筆者のイチオシは和田聰宏さんも「いぶし銀」に相応良いかと思います。 「いぶし銀の演技」「いぶし銀の芸」などとも用いられます。

例文

  • 彼のいぶし銀の演技に、他の役者もみんな自然と涙が出ていたそうです。
  • いぶし銀マニアなので、いわゆるイケおじが脇役で出る映画やドラマは片っ端から観ています。

ビジネスでは縁の下の力持ちタイプを指す

ビジネスシーンでも「いぶし銀」は使われています。 主に、縁の下の力持ちタイプを指します。 ここでも目に見えて活躍する人ではなく、下調べや書類作成など目立たないけれど重要な業務をこなしてくれる人のことです。 もちろん、そのうえで実力が伴っている場合に使います。 ただ目立たない仕事をしているだけでは「いぶし銀」とは言われません。 目立たないけどしっかりと貢献している人に対して使います。

例文

  • 先輩みたいないぶし銀がいて始めて、プレゼンをする人が活躍するんですよね。
  • 僕たちは最新機器には疎いから、君がいぶし銀の働きをしてくれたおかげでとても助かったよ。

将棋では「銀将」とかけている

将棋でも「いぶし銀」が使われますが、これは「銀将」とかけています。 「銀将」を上手に扱う人、「銀将」で相手を翻弄させるような戦い方をする人に対しても使います。 また「銀将」に限らず将棋において、相手を翻弄するような技を持っている人のことを「いぶし銀」と言うこともあります。 ただ強いだけでなく、巧みな技を使える人を指して使うことが多くなっています。

職人に対しても使える

「いぶし銀」は職人に対しても使うことが出来ます。 特に日本の伝統的な工芸の職人に使われることが多くなっています。 洗練された技術や巧みな技法を用いる人など、何十年もその道を突き進めている人に使われることが多いです。 若手の新スターみたいなタイプには「いぶし銀」とは使われません。 地道に年月をかけて技術を磨き、唯一無二の職人に対して使います。

アニメでもいぶし銀キャラが存在

アニメのキャラクターにも「いぶし銀キャラ」が存在します。 主に、華やかさはないけど、実際は実力のある縁の下の力持ちタイプが多くなっています。 またベテランのキャラクターで味わい深い人物もそう呼ばれます。 例えば『ルパン三世』の「次元大介」や「銭形警部」などが「いぶし銀キャラ」と呼ばれます。

アクセサリーの色としても使われる

「いぶし銀」はピアスやブレスレットなどアクセサリーの色としても使われます。 これは本来の意味である「表面を灰色に変化させた銀」の色を指して使います。 スカルのモチーフや羽根のモチーフのものによく使われていますよね。 可愛らしい華奢なものではなく、わりとゴツめのかっこいいアクセサリーに「いぶし銀」の色が使われています。

おかきの商品名でも使われている

「いぶし銀」はおかきの商品名でも使われています。 原点に時間と手間をかけ、昔ながらの味を求めていることから「いぶし銀」と名付けられたのでしょう。 醤油味と塩味があり、とっても美味しいらしいです。 TV番組でも紹介されて、絶賛されていたようです。 筆者も見つけたら購入してみようと思います。

燻製土鍋の商品名にも使われている

「いぶしぎん」という燻製土鍋の商品があります。 おうちで燻製料理を楽しむことが出来るのはいいですよね。 好みの食材をスモークに出来たら、お酒のつまみにも最高ですね。

「いぶし銀」の使用上の注意点

褒め言葉だが、目立ちたい人にとっては不愉快の可能性も

「いぶし銀」は褒め言葉です。 実力がある、縁の下の力持ち、渋く味わいがあるといった意味になります。 しかし、裏を返せば「目立っていない」「華やかではない」といった意味になってしまうんです。 そのため、スターになりたい人や目立ちたいと思っている人からすると「いぶし銀」と言われて不愉快に感じてしまう可能性があります。

女性に対しては年配者を連想させ失礼

女性に対して「いぶし銀」と使ってしまうと、年齢を重ねていることを連想させてしまうため失礼になります。 ましてや、「見るからに年がいっていて渋い」といった意味と捉えてしまうこともあるのであまり使わない方がいいでしょう。 かといって「色艶がある」と女性を形容する場合も見た目に関して言及しているので、セクハラになる可能性あるため注意しましょう。

自分に対しては使わない

自分のことを「いぶし銀」ということはしません。 自分自身を褒めていることになります。 友人間でふざけて言うのならいいですが、自ら褒める言葉を使うのはしないほうがいいです。 むしろ、自分のことを「いぶし銀」という時点で、もはや「いぶし銀」ではありません。

いぶし銀の人の特徴

ただ目立たないだけではなく、実力や味わいがある

「いぶし銀」な人は、ただ目立たないだけではありません。 上述していますが、ちゃんと実力がある人や味わいのある人を指して使います。 しっかりと仕事をしていたり、貢献していたりするにも関わらず、目立とうとしないその謙虚さも含めて評価されています。

長いキャリア積んだベテランの人を指すことが多い

縁の下の力持ちや直接的ではないけど貢献した人を指しますが、その中でもキャリアを積んだ人を指すことが多いです。 経験値が高いからこそ、アシストやフォロー、見えないところの作業が出来ることを評価した言葉です。 自分より年下や目下の人に対して「いぶし銀」と使うのはやや不自然です。

リーダーよりも縁の下の力持ちタイプの人に多い

「いぶし銀」はリーダーよりも縁の下の力持ちタイプの人に多いです。 そもそもリーダーとして目立つタイプのことを「いぶし銀」というのは不自然です。 リーダーを陰から支えるサブリーダーや、目立たずして作業をこなす人が多いです。

ジェネラリストよりもスペシャリストに多い

「いぶし銀」は一つの専門分野を寡黙に淡々と極めている人が多いです。 多様の専門知識などを持っている人よりも、ひとつのことを追究している人が「いぶし銀」となります。 「職人肌」な人が多いですね。

自己アピールしない人

自己主張してしまう人は悪目立ちしていますので、「いぶし銀」とは言えません。 ひけらかさない人が多いです。 悪く言えば、自己プロディースや自己表現が下手とも言えるかもしれません。 ですが、そこがいぶし銀の人の魅力です。 決して自己表現しないのに、めちゃくちゃ仕事ができる! そういう人素敵ですよね。

「いぶし銀」の類語

地味

「地味」の意味は「見た目に華やかさがなく控えめなこと」「目立たないこと」です。 見た目に対しても使いますが、態度や様子についても使います。 飾り気がなくて人の目を引こうとしない様子を指します。

例文

  • 彼は地味に見えるけど、話すととても面白いんだよ。
  • 地味だけど実力があるって、一番かっこいいと思うよ。

渋み

「渋み」の意味は「地味で深みのある趣」です。 味に対しても使いますが、日本の伝統的な美意識のひとつです。 海外でも渋みは「shibui」と日本の美意識として評価されています。

例文

  • あの俳優の渋みがたまらないんだよね。
  • 彼は渋みのある色が似合う。

円熟味

「円熟味」の意味は「円熟を感じさせる趣のこと」です。 「円熟」の意味は、人格や知識、技術などが十分に熟達していて、豊かな中身や内容を持っていることです。

例文

  • 彼女はいつも円熟味のある俳優を好み、人気若手俳優には興味がない。
  • 円熟味のある音楽を聴くとリラックスできる。

味わい深い

「味わい深い」の意味は「物事や飲食物に深みを感じること、しみじみとした趣や風潮があること」です。 「深み」を言葉で表すのは難しいですが、表面だけでは分からない奥深い感じを表します。 味わい深さは食べてみたり経験してみなければ分からない意味合いが強いです。

例文

  • 様々なことを経験してきた彼の芝居はとても味わい深い。
  • 彼女の体験談はどれもが味わい深く、聞いていて飽きない。

「いぶし銀」の対義語

華がある

「華がある」の意味は「華々しさを備えた様子」です。 周りの視線を惹きつけるような魅力があることを指して使います。 同じ空間にいるだけで空気がぱっと明るくなったり、オーラを感じたりする女性に使われることが多いです。

例文

  • 彼女はとても華があり、立っているだけでみんなの視線を奪う。
  • 華がある女性はみんな笑顔がとても素敵だ。

カリスマ

「カリスマ」の意味は「多くの人を心酔させる資質」です。 元々は神の賜物といった意味で、聖霊から特別に与えられる力を指します。 そこから「英雄」「預言者」など超人的・非日常的な資質を指して使われていました。 今ではファンの多い人や、革新的な人を「カリスマ」と呼ぶことが多くなっています。

例文

  • カリスマ美容師の予約は半年以上先になるそうだ。
  • あの人は昔からカリスマ性があって、先生たちからも支持されていた。

スター

「スター」の意味は「人気のある芸能人、スポーツ選手、花形」です。 またある分野で際立った人気のある人を指して使うこともあります。 星のように輝いていることから「スター」と呼ぶようになりました。

例文

  • スター選手が結婚を発表すると、会社を休む女性が急増した。
  • トップスターになるために、日々努力を怠らない彼は素晴らしい。

派手

「派手」の意味は「姿・形・色彩などが華やかで人目を引くこと」です。 服装にも使いますし、態度や行動などに対しても「派手」と使います。 「派手な服装」と言えばカラフルだったりキラキラしているものを指します。 派手な行動は、大げさであったり注目を浴びるようなことをした場合に使います。

例文

  • 派手好きな彼女がシンプルな服装を着ていたため、みんな心配していた。
  • お〜〜派手にやったね〜〜〜。

「いぶし銀」の英語

「いぶし銀」の直訳は「oxidized silver」

「oxidized」は「酸化された」という意味です。 「oxidize」で「〜を酸化させる」という意味の他動詞で、その過去分詞形が「oxidized」になります。 「酸素」の英語は「oxygen」で、同語源です。 単に「くすんだ銀」を表現する場合には「dull silver」「unpolished silver」などとした方が自然です。

A pearl set in unpolished silver was beautiful.

いぶし銀にはめられた真珠が美しかった。

「地味だが実力がある」は「accomplished yet restrained」

「地味だが実力がある」は英単語1つで表現することは難しいです。 「実力はある」は、

  • skilled
  • accomplished
  • sophisticated
  • refined

などと表現すればいいでしょう。 「控えめ」は、

  • restrained
  • controlled
  • do not show off

などと表現できます。

That actor is very accomplished yet restrained.

あの人はいぶし銀俳優だ。

まとめ

いかがだったでしょうか? 「いぶし銀」について理解できたでしょうか? ✔意味は「地味だが魅力や実力がある」 ✔漢字は「燻し銀」 ✔スポーツ選手や俳優に対して使う ✔ビジネスでは縁の下の力持ちタイプを指す ✔類語は「地味」「渋み」など 本来褒め言葉ですが、相手によっては不快な気持ちになってしまうため注意する必要がある言葉です。 しっかりと意味を覚えておきましょう。

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