「身につまされる」は「他人の不幸などが、他人事ではないと思われる」という意味で、情緒的な繋がりのない他人の不幸や失敗に対して一時的に同情する場面で使います。今回はそんな「身につまされる」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。その他、類語・対義語・英語も紹介します。さらに「身」のつく慣用句をたくさん紹介しますので是非参考にしてください。
「身につまされる」の意味は「他人の不幸などが、他人事ではないと思われる」です。 他人の不幸などが自分の境遇や立場と思い合わさって、自分のことのように感じ同情や哀れみをおぼえることを指します。 「つまされる」の意味は「強く心を動かされる」「哀れみや愛情に心が動かされる」です。
「つまされる」は「つねられる」といった意味です。 要するに「身につまされる」は、相手のありさまが自分の体をつねるようであるといった意味になります。 同じように痛みを感じるようだということです。 「つまされる」は漢字表記しないが、無理矢理漢字表記すると「抓される」となります。 「抓」は「抓む」で「つまむ」と読み、「抓る」で「つねる」と読みます。
「身につまされる」って、違和感を覚える人もいるかと思います。 そのため「身につままれる」「身をつまされる」と言いたくなってしまうことが多いのですが、これらは誤用ですので注意しましょう。
「狐につままれる」の意味は「意外なことが起こり、ポカンとする」です。 本来は、意味が狐に化かされるです。それが転じて本当に起きたこととは思えないといった意味になります。 目の前で狐が化けたら信じられないですよね。意外すぎて茫然としてしまうことです。
「身につまされる」は基本的に他人が不幸や失敗をしたときに使います。 喜ばしいことを自分のことように喜ぶ場合には使いません。 相手が不幸によって悲しい気持ちや辛い気持ちになっているだろう、と自分もその気持ちになってしまう時に使います。
そもそも情緒的なつながりのある人とは、一緒に悲しんだり喜んだりしますよね。 家族や友人、恋人など関係の深い相手には感情移入して当たり前です。 その場合は「身につまされる」とは使いません。 普段深い関わりのない他人に対して同情をしたり自分に置き換えて辛い気持ちになった場合に使います。
「身につまされる」は「身につまされる話」「身につまされる思い」などといった形で使います。 だいたいが「話」「内容」「事件」など身につまされる相手の出来事そのものを修飾するか、「思い」「気持ち」など身につまされることになった自分の心情を修飾することが多いです。 「○○は身につまされる」「〇〇に身につまされる」といった使い方もします。
例文
「絆される」の意味は「人情に引かれて、自らそうしようと思ってしまうこと」です。 そもそも「絆される」は情愛の濃く通い合う間柄で使うので「身につまされる」とは大きな違いがあります。 「身につまされる」は相手からの直接的な説得はありません。 しかし「絆される」は相手から説得されたり熱弁されたりして、相手に合わせてしまう時に使います。
例文
「見るに忍びない」の意味は「あまりに気の毒で見ているのが辛い」となります。 相手がひどい状態であるために、気の毒で見ていられないことです。 「自分のことのように思う」といった意味合いはありませんが、感情移入をして気の毒に思っている点は類語となります。
例文
「ひとごと」は「人事」「他人事」とどちらでも表記することも出来ます。 「ひとごととは思えない」の意味は「自分に関係ないこととは思えない」となります。 本来、その出来事に自分は関わっていないのですが、通ずるものがあったり自分も経験したようなことだったりした場合に「自分と無関係とは思えない」といった意味で使われます。
例文
「同情する」の意味は「他人の身の上になって、自分のことのようにいたわる」です。 相手の不幸や苦悩を察して、哀れんだり気の毒に思う場合に使います。
例文
「哀れむ」の意味は「かわいそうだと思う」です。 相手のことを可哀想に思ったり、不憫に思ったりする際に使います。 漢字は「憐れむ」でも同じ読み方で同じ意味になります。
例文
「知ったこっちゃない」は「相手や物に関心がないこと」を表現する言葉です。 「知ったことか」「どうでもいい」といった意味合いで使われます。 口語的表現なので、文面で使われることはほとんどありません。
例文
「無関心」の意味は、「心にかけないこと・興味がないこと」です。 「関心」が「心にかけること」という意味がある言葉で、打ち消しの「無」をつけて「心にかけない」という否定の意味の言葉になります。 「無関心」は、「興味がない」という意味合いが強いです。 「好き」や「嫌い」ではなく「関心がない・興味がない」のです。 要するに、「好きか嫌いかという以前になんとも思ってない」ということです。
例文
「身につまされる」の英語表現は「sympathize deeply with...」です。 「sympathize deeply with...」で「...に深く同情する」という意味です。 「sympathize」の名詞は「sympathy」です。
Having been through the similar experience, I deeply sympathize with the boy in the situation.
私も似た経験をしてきたので、その状況下の少年が身につまされる。
They all shed tears out of sympathy at her struggle as a rape victim.
性的暴行被害者としての彼女の苦悩には身につまされて彼らは皆涙した。
「touch me deeply」でも「身につまされる」を表現することができます。 直訳すると「私を深く触る」ですが、これは「私の心の奥深くに触れる」という意味になります。
The boy's sufferings touch me deeply.
その少年の苦労が身につまされる。
「身に余る」の意味は「評価や役割が過度であり、自分にはふさわしくないと思われるさま」です。 よく「身に余る光栄」などと使いますよね。 これは、自分にとって身に過ぎるほど嬉しいこと、といった意味合いになります。 主に謙遜として使われることが多いです。
例文
「我が身」の意味は「自分自身」です。 「明日は我が身だ」とよく使いますよね。 これは、良くないことがいつ自分自身にふりかかってくるか分からないことを表した言葉です。
例文
「身の上」の意味は「人の境遇」「その人に関わること」です。 その人が置かれている状況すべてを指して使います。 家庭環境や経済状態、人間関係や社会的地位すべてを指します。
例文
「身に当たる」は「自身に関わり合う」「自分でする」といった意味も持ちますが、「身につまされる」と全く同じ意味で使われることが多くなっています。 「身につまされる」を「身に当たる」と言い換えても同じ意味となります。
例文
「身に染みる」の意味は「しみじみと深く感じる」「秋の冷気が強く感じられる」といった意味です。 特に「優しさが身に染みるよ」などと、相手からの善意や厚意に対して「深く感じ感銘する」ことを表して使います。
例文
「身が引き締まる」の意味は「緊張や真剣な気持ちによって体に力が入る」ことです。 主にスピーチなどで使われることが多く、結婚式や昇進した時など、新たなスタートを切る時の挨拶の常套句となっています。 その場合は「身の引き締まる思いです」とも使うことが多くなっています。
例文
「身に入る」は「みにいる」と読みます。 意味は「痛切に感じる」です。 心をその事に深く入れること、熱意を込めることを表しています。
例文
「身が入る」は「みがはいる」と読みます。 身に入るは「いる」でしたが、この場合は「はいる」となります。 意味は「熱中する、一生懸命になる」です。 集中出来ない時などは「身が入らない」と使います。
例文
「身に覚えがある」の意味は「自分自身で行ったという記憶がある」です。 過去の自分の言動に対して記憶がある場合に使います。 記憶がない場合は「身に覚えがない」「身に覚えがありません」と使います。 よく政治家などが、自分の不祥事を知らんぷりして「身に覚えがありません」などと使っていますよね…。
例文
「身を粉にする」の意味は「労苦をいとわないで一心に仕事をすること」です。 まるで身体がこなごなに砕かれたようになるくらいまで働くといった比喩表現です。 ボロボロになって働くことを表しています。
例文
「身を立てる」の意味は「社会的に高い地位について名声を得る」「生計を成り立たせる」です。 出世することや生計を営むことを表して使います。
例文
「身になる」の意味は「身体や心のためになる」です。 その人の役に立つといった意味合いもあります。 また「その人の立場になって考える」といった意味もあります。 「Aさんの身になって」という場合は「Aさんの立場で考えて」となります。
例文
「身から出た錆(さび)」は「自身が起こした悪い行いのために、自らが苦しみや災いを受けること」です。 悪い振る舞いや過ちは、自分の首を絞めることを表します。 「身から出た錆」は悪い結果を表すので、良い結果の場合には使えません。 「自業自得」と似た意味を持ちます。
例文
いかがだったでしょうか? 「身につまされる」いついて理解できたでしょうか? ✔意味は「他人の不幸などが、他人事ではないと思われる」 ✔語源は「身に爪される」で「体がつねられる」 ✔情緒的な繋がりのない他人の不幸や失敗に対して一時的に同情する場面で使う ✔類語は「絆される」「見るに忍びない」 「同情した〜」と使うよりも「身につまされました」と使った方が、社会人としての説得力もありますよね。 しっかりと覚えておきましょう。