「強請る」の読み方は「ねだる」「ゆする」「たかる」「もがす」があり、それぞれ意味が違います。最も一般的な「ねだる」の意味は「甘えて、欲しい物を要求する」です。ちなみに「強請」は「きょうせい」ではなく「ごうせい」と読むのが正式です。語源は江戸時代の芸妓が客の心に揺さぶりをかけることからきています。
「強請る」は「ねだる」と読むのが一般的で、その場合の意味は「甘えて、欲しい物を要求する」です。 相手の好意に甘えようとする意味合いが強くなっています。 例えば、子供がおもちゃを欲しがって「これ買って〜」というような状況で使います。 この場合は「子供が親におもちゃを強請る」と使います。 「ねだる」は古語では「あざむきだます」「無理な請求をする」という意味がありましたが、現代ではこの意味で使うことはほとんどありません。 「強」という字が使われているため、強要する意味を連想しやすいですが「甘えて」といった意味合いが強い言葉です。
「強請る」は「ゆする」「たかる」「もがる」とも読みます。 それぞれ意味が異なり ゆする:他人を脅して金品を取り上げる、揺り動かす たかる:脅したり泣きついたりして金品を取り上げる、食事などをおごらせる もがる:言いがかりをつけて金品を要求する、逆らう となっています。 ちなみに漢字は、 「ゆする」は「揺する」 「たかる」は「集る」 「もがる」は「虎落る」 とも書きます。意味は変わりません。 「ねだる」には「強請る」しかありませんので、振り仮名がない場合は基本的に「ねだる」と読みます。
「ねだる」「ゆする」「たかる」「もがる」に「強請」という漢字を使うのは全て当て字です。 「強請」の意味は「無理に求めること」です。 「強請」は慣習的に「きょうせい」と読むことが多いですが、本来は「ごうせい」と読みます。 「強」を「ごう」と読む他の熟語には「強羅(ごうら)」があります。 「強羅」は箱根町のある地名です。
「強請る」の語源は、江戸時代にあります。 これは芸妓が使っていた言葉で、遊び慣れていない客は表面的に真面目そうな態度をしているため、芸妓は客が自分を好いているのか分かりませんでした。 そこで客の心を探るために、客の言葉や態度にわざと言いがかりをつけて客の心に揺さぶりをかけていました。 その揺さぶりが「ゆする」の原義です。 元々は「相手の心に探りを入れる」といった意味でしたが、「相手の心を動揺させる」の意味だけになってしまい「甘える」「無理強いする」といった意味合いが強くなりました。
「強請る」は意味にも「甘えて」が入っているように、甘える状況で使います。 「強請」の意味の持つ「無理に求める」というよりも「甘えてお願いする」意味合いの方が強くなります。 主な言い回しは
となります。
例文
「強請られる」とした場合は受動態となります。 「ゆすられる」「ねだられる」といった読みになります。 他人に何かを無理に要求された時に使います。
「御強請り」は強請りの美化語となります。 「強請り」の意味は「ねだること」です。 「御強請り」はそこに接頭辞の「御(お)」をつけたものです。 「おもちゃの御強請りをする」「お小遣いを御強請りする」といった使い方をします。
「無い物強請り」は「ないものねだり」と読みます。 意味は「無いものや実現できないことを望むこと」です。 特に自分に無いものを欲しがったり、到底実現できないことを望んだりすることを「無い物強請り」と言います。 そのためちょっと努力をすれば手に入ったり実現出来ることをねだる場合には使いません。 例えば「目が大きかったらな」「背が高く生まれていたらな」なども無い物強請りです。 また目が大きい人は「鼻が高ければな」と思い、背の高い人は「背が低くて可愛いのいいな」と思ったりします。 お互いに持っていないものを言い合ったりした時に「無い物強請りだよね〜」なんて話すこともありますよね。
「強請場」は「ゆすりば」と読みます。 意味は「歌舞伎で強請(ゆすり)を演じる場面」です。
「強請り集り」は「ねだりたかり」と読み、損害賠償などを要求する国や政府を批判する時に使われる表現です。
などと使ったりします。
「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん」は、アニメ『交響詩篇エウレカセブン』に出てくる明言です。 この作品の中で最も有名な台詞となっています。 意味は「自分が求めるものは、勝ち取れ!そうすれば手に入る」となります。
「せがむ」の意味は「無理に頼む、しつこくねだる」です。 「せがむ」に漢字はありません。 「せがむ」は自分の要求を無理に通そうとする意が強く、「ねだる」は相手の好意に甘えようとする意が強いです。 脅したり奪ったりする意味はありませんが、無理を言って強く要求することを指します。
例文
「せびる」の意味は「無理にねだる、強いて頼む」です。 「せがむ」とよく似た意味を持ちます。 ですが、「せがむ」と「せびる」であったら「せがむ」の方が甘えからくる無理なお願いとなります。 また「せびる」は主に金品や品物を無理矢理もらおうとする意味合いが強いです。 「せがむ」は金品や品物に限らず何かをお願いする意味合いが強いです。
例文
「無心する」は「むしんする」と読みます。 意味は「無遠慮にねだって得ようとすることです。 主に「金に無心する」と使い、親に小遣いをたかることを指して使われます。 「無心」の意味は「邪念がないこと」「あつかましく金品や品物を人にねだること」です。
例文
「強請る」に最も近い英語は「coax」です。 「coax」は「甘言(かんげん)をいって、ねだる」という意味です。
She coaxed her father into taking her to school.
彼女は学校に送迎してもらうよう父にねだった。
「熱心に請う」「物乞いする」を意味する英語には「beg」があります。
A homeless man begged me for money.
ホームレスの男性が私にお金をせびってきた。
「nag」は「がみがみと〜してくれとせがむ」という意味です。
My mother always nagged me to clean up my room.
母はいつも部屋をかたせとがみがみ言う。
いかがだったでしょうか? 「強請る」について理解出来たでしょうか? ✔主な読み方は「ねだる」 ✔意味は「甘えて要求する」 ✔他にも「ゆする」「たかる」「もがす」とも読む ✔類語は「せびる」「せがむ」など