「同じ穴の狢(おなじあなのむじな)」とは「一見関係なく思えるものが、実は同類であること」という意味します。主に悪人に使う。「同じ穴の狸(たぬき)」「同じ穴の狐(きつね)」「一つ穴の狢」とも。「狢」とはアナグマやタヌキなどの総称で、人に化け悪事を働くタヌキたちが厳密には種類が違うが、同じ穴に生息しており似たようなものだ、という考えが由来です。
「同じ穴の貉」は「おなじあなのむじな」と読みます。 「狢」は「貉」と書くこともありますが、主に「狢」が使われています。
「同じ穴の狢」の意味は「一見関係なく思えるものが、実は同類であることのたとえ」です。 主に悪人について言われています。 「狢」とは主に「アナグマ」のことを指しています。 時代や地方によってはタヌキやハクビシンを指したり、区別せずアナグマやタヌキなど「穴を掘ったり穴の中で生活したりする動物」をまとめて指すこともあります。 「同じ穴の狢」においては、アナグマやタヌキなどをまとめて指しています。
「同じ穴の狢」語源は、動物の生態から来ています。 タヌキは穴掘りがとてもうまく、掘った穴を住処にしています。 ムジナ(アナグマ)や穴掘りが苦手なタヌキは、そのうまく掘られた穴に住み着くことがあります。 このようにタヌキやムジナなどの違う種類の動物が一つの同じ穴にいることから「同じ穴の狢」と呼ばれるようになりました。 そして、タヌキもムジナも人を化かし「どちらも悪いことをする」ことから、「別の種類であるが、実はどうちらも悪事を働く同類」という意味になりました。
「同じ穴の狢」は他にも言い方があります。 「一つ穴の狢」「同じ穴の狐(キツネ)」「同じ穴の狸(タヌキ)」です。 全て同じ意味を持っています。 先ほどはアナグマとタヌキで説明しましたが、この中にキツネも含まれることがあります。 キツネも巣穴を掘って生活し、人を化かすこともあることから、「同じ穴の狢」に含まれることがあります。
「目くそ鼻くそを笑う」は「相手と同じ欠点を持っているのに、相手の欠点を嘲笑う」ことを表します。 これは目ヤニが鼻くそのことを汚いと言って笑っていることです。 実際は目ヤニも鼻くそも同じ成分であることから「相手を馬鹿にしたものの自分も似たり寄ったりであることのたとえ」として使われています。 「あの人ってすぐ人の悪口言うよね」と言っている人が、今まさに人の悪口言ってるじゃん!って時ありますよね。 こういった際に「目くそ鼻くそを笑うだな…」と使います。
「五十歩百歩」は「違いはあるが似たり寄ったりであること」のたとえとして使われる言葉です。 ちなみに正しい読み方は「ごじっぽひゃっぽ」です。 「ごじゅっぽ」ではないので注意しましょう。 語源は、「戦場で五十歩逃げた人が百歩逃げた人を臆病だと笑ったが、逃げた歩数に違いはあるにせよどちらも逃げたことには変わらない」ということから来ています。 これは孟子が王様に真の善政を説く際に使った寓話です。 倍の差があるといった意味で使ったり、優れたものを比較する時に使うのは誤用です。 A「Bくんテストの点数12点だって」 B「そういうAくんだって15点じゃないか」 C「…五十歩百歩だな」 などと、どちらもよろしくないという悪い場面で使います。
「どんぐりの背比べ」は「どれも似たり寄ったりであることのたとえ」として使われます。 これも悪い場面で使われる事が多く、抜きん出たものがいない際に用いられます。 「今回の立候補者はどんぐりの背比べで、誰にも投票したくないな…」などと使います。 先ほどのテストの点数の場面でも使うことが出来ます。 A「Bくんテストの点数12点だって」 B「そういうAくんだって15点じゃないか」 C「…どんぐりの背比べだよ」 などと使います。
「同じ釜の飯を食う」は「苦楽を分かち合った親しい仲間であることのたとえ」として使われる言葉です。 生活を共にしたり、仕事を一緒にしたりした仲間と、様々な苦難を乗り越えたり喜びを感じた間柄を表します。 「合宿や練習で同じ釜の飯を食うことで築いたコンビネーション」「同じ釜の飯を食った仲」などと使います。
例文
「同じ流れを掬ぶ」は「おなじながれをむすぶ」と読みます。 「縁のつながった者同士であることのたとえ」として使われています。 これは、同じ川の水を掬って(すくって)飲むことが転じています。 浅からぬ因縁があることを表します。 日常会話などではほとんど使われることはありません。
例文
「同じ轍を踏む」は「おなじてつをふむ」と読みます。 「前の人が起こした失敗を再びすることのたとえ」として使われる言葉です。 「轍」とは「わだち」でタイヤが通った跡を表しますが、「先例」といった意味で比喩的に使われる場合は「てつ」と読みます。 転倒した前の車のわだちを沿って進み、同じように転倒することからきています。 元々は「前車の轍を踏む」「前轍を踏む」と言う表現が使われていました。
例文
「偕老同穴」は「かいろうどうけつ」と読みます。 意味は「夫婦が仲睦まじく添い遂げること」です。 これは、夫婦が死ぬまで仲睦まじく歳を重ねていき、死後は同じお墓に入ることから転じています。 「偕」は「ともに」という意味で「同穴」は「同じ墓の穴」ということになります。 日常会話ではあまり使われていません。
例文
「類は友を呼ぶ」の英訳として「Birds of a feather flock together.」をよく見かけます。 しかし「Birds of a feather flock together.」は基本的に悪い意味で使います。 ここから転用して「birds of a feather」で「同じ穴の狢」という意味になります。
There are all in the same gang.
彼らは皆同じギャングの一部だ。
と表現しても、「同じ穴の狢」を表現することができます。
いかがだったでしょうか? 「偕老同穴」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「おなじあなのむじな」 ✔意味は「一見関係なく思えるものが、実は同類であること」 ✔「一つ穴の狢」「同じ穴の狐」「同じ穴の狸」とも ✔語源は動物の生態