「与件」の読み方は「よけん」で、意味は「研究の前提で与えられる、議論の余地がない事実」です。意味に敬語は含まれません。今回はそんな「与件」の使い方を例文付きで詳しく解説していきます。「予見」や「要件」との違いや、「所与」を含む類語の説明をしていきます。さらに英語も解説しますので是非参考にしてみてください。
「与件」の読み方は「よけん」です。 「与」は音読みで「ヨ」、訓読みで「あたえる、くみする」と読みます。 「件」は音読みで「ケン」、訓読みで「くだり」と読みます。
「与件」の意味は「与えられる条件のこと」です。 「推理・研究の前提で与えられた異議なく受け入れられる事実や原理」を指します。 「与」は「相手のものになるものをあげること」を意味します。 「件」は「事柄、物事」を意味します。
「与件」は堅い語でビジネスシーンでしか使用しませんが、この言葉自体は敬語ではありません。 敬語で用いる場合は、前後の文章を敬語にする必要があります。
広告デザインなどクライアントから業務をもらう時に使ったり、自社でマーケティングを実施するときに使います。 主に案件がスタートをする際の「前提とする条件」「踏まえなければいけない事柄」などのことを指します。 言い回しには、
があります。
例文
他にも「与件」は
などとも使われています。 これは様々な「与件」がまとめられていたり、「与件」の詳細を記した文書などを指して使われています。 「事前に、与件書の確認をお願いいたします」などと使います。
「与件的」「与件化」は意味不明な日本語です。 「的」は「そのような性質をもったものの意」「それについての、その方面に関わる、などの意」「そのようなようすの、などの意」といった意味を持ちます。 もし「与件的」とした場合「与件のようなもの」「与件のようなようす」となります。 「化」は「化する」という意味で「形や状態などが変わること」です。 もし「与件化」とした場合、何かが「与件に変わること」を指します。 「与件」の意味を考えると、「与件的」「与件化」はおかしな日本語となります。
「与件」は経済用語としても使われています。 意味は「問題を解決するために提供される条件」です。 また、条件だけではなくて情報や物事なども当てはまります。
「感覚与件」は「感覚器官を通して与えられる、直接的な経験のこと」です。 解釈や判断を加えられる以前の、加工されていない直接的な意識内容のことで、具体的には色・形・音・匂い・味などを指します。 論理実証主義においては、経験的知識を検証する際の基盤となっています。
建築用語では「設計与件」と使われています。 これは「設計に向けての条件」を指します。 例えば、家を建てるのにあたり「間取り(必要な部屋数)」「動線」「個別の条件(クローゼットの広さや扉の形状など)」を聞き出す必要があります。 これらを「設計与件」と言います。
「所与」は「与件」と同義語になります。 「所与の条件」=「与件」です。 意味は「他から与えられること」「解決されるべき問題の、前提として与えられるもの」です。 「所与」はラテン語「datum(複数形data)」の訳語です。 ラテン語「dare」の完了分詞中性単数形です。「dare」の意味は「与える」です。
「予見」も「よけん」と読みます。 意味は「物事がまだ現れていないときに、あらかじめ推察してその事を知ること」です。 例えば、「自分の将来を予見する」といった場合は「今の状況から、未来に何が起こるか予測すること」を意味します。 「予見可能性」という言葉があります。これは「危険な出来事や被害が起きる可能性を、前もって察知できたかどうか、ということ」を意味します。 使い方は、
などとなります。
例文
「要件」は「ようけん」と読みます。 意味は「重要な条件」「大切な用事」です。 また「必要な条件」といった意味でも用いられます。 欠くことのできない条件・物事を実現させるために必要な事項を表します。 使い方は
などとなります。 「業務与件」「システム与件」と使われていることがありますが、こういった言葉はありません。 おそらく「業務要件」「システム要件」の誤用として用いられています。
例文
「前提条件」の意味は「ある物事が成り立つために、予め満たされていなければならない条件のこと」です。 「与件」とほぼ同義語で言い換えが可能です。 ビジネスシーンでは「もう一度行ってもいいが、前回よりも良い結果を出すことが前提条件とする」などと使います。 一般的にも「結婚を前提条件としてお付き合いする」「今度奢るのを前提条件として手伝ってもらう」などと使います。
「制約条件」は「ある物事を行う際に、変更できない条件」のことを指します。 法律や予算なども「制約条件」にあたります。 また、顧客や組織から与えられた条件なども指します。 ビジネスシーンで言えば「この予算以内で済ませる」などや取引先と交わした「契約条項」なども「制約条件」となります。 他にも、例えばオリンピックであれば開会式の日程を変更することはできませんよね。 そういった条件を「制約条件」と言います。
「案件」の意味は「処理されるべき事柄」「議題とされる事案」になります。 ビジネスでは「現在、問題として取り上げている事柄」「今後、調査や解決をするべきである事案」を指します。 「案件」は問題の中身ではなく、問題そのものを表しています。 ビジネスシーンでもよく「案件」という言葉を使いますが、主に現在問題として取り上げている事柄を指すことが多くなっています。 ちなみに「案件を開始する上での前提条件」が「与件」となります。 「クライアントから与件がきた」という表現は本来正しくなく、正確には「案件がきた」です。 ただ、案件には常に与件が伴っているので、業界によっては「与件がきた」と表現する場合もあります。
対義語は「自社企画」となります。 「自社企画」は、そのまま「自社で企画をすること」です。 他社や取引先などを介さず、1から全て自社で商品やサービスの企画をします。 そのため他社など他から与えられる「与件」ではなく、すべて自分たちで決めていくという点が「自社企画」は対義語となります。
「仕事依頼」という意味の「与件」の英語は「job request」です。 「提案」という意味の「proposal」を使って表現することもできます。
We've received a job request for digital marketing.
デジタルマーケティングに関する与件があります。
科学の分野で使う「与件」は「given condition」です。
いかがだったでしょうか? 「与件」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「よけん」 ✔意味は「研究の前提で与えられる、議論の余地がない事実」 ✔経済用語では「問題を解決するために提供される条件」 ✔