「帰社」は電話対応や口頭でも用いられる言葉で、意味は「出先から会社に帰ること」です。出張や営業に行った後、会社に戻ってくることを指し「帰社報告」「帰社時間」などとも使われています。「退社」は「勤務時間が終わり会社から出ること。勤めていた会社をやめること」、「退勤」は「勤務時間が終わって勤め先を出ること」、「退職」は「今まで勤めていた職場をやめること」を意味します。
「帰社」は「きしゃ」と読みます。 「帰」は音読みで「キ」、訓読みで「かえる、かえす」です。 意味は「かえる」「あるべき所に行き着く、落ち着く」「嫁ぐ」「贈る」です。 「社」は音読みで「シャ、ジャ」、訓読みで「やしろ」です。 意味は「土地の神」「人々の集まり、団体」「会社の略」です。
「帰社」の意味は「出先から会社に帰ること」です。 会社以外の場所で取引や営業など仕事をした後に、自分の会社に戻ってくることを「帰社」と言います。 会社から帰ることこではありませんので、注意しましょう。
「帰社」と同じ読み方に「貴社」があります。 これは相手の会社を敬った言い方です。 しかし「貴社」は書き言葉にのみ使われる言葉です。 口頭では「御社」を使うようにしましょう。 また「貴社」以外に「帰社」と似た音を持つ二字熟語に「帰所(きしょ)」があります。 「帰所」の意味は「つまるところ」「結局」です。 「帰する所」の略であり「行き着くところ」「最終的に至る内容」といった意味の表現です。 さらに、事務所や施設などに帰ることを「帰所」と言うことがあります。 「所」が付いていたり、「社」が付かない職場で使われることが多いです。
「帰社」と同じ意味の漢字二文字の熟語はありません。 同じ意味で使われている言葉には「帰り」「戻り」があります。 「帰りは○時になります」 「B社との取引後に戻り、会議に参加します」 などと使われています。
「帰社」を含むビジネス用語はたくさんあります。 それらをひとつひとつ紹介していきます。
「帰社報告」とは「帰社したことを報告すること」です。 主に「ただ今戻りました」などと上司に報告をします。 帰社報告をしないと、まだ出先なのかすでに会社に戻っているのかが分かりません。 出張や営業、他社や自社以外で取引や商談をして戻ってきた際には、必ず帰社報告をしましょう。
「帰社時間」とは「出先から会社に戻る時間」です。 「帰社時間は15時になります」などと使います。 帰ってくる時間の目処が立っている場合は、帰社時間を事前に伝えておく必要があります。 また、出先にいる人の戻る時間を知りたい場合は「Aさんの帰社時間を教えてください」などと使います。
「帰社時」とは「帰社した時」です。 出先から戻ってくるタイミングのことを指します。 「その件については、帰社時にお伝えします」とした場合、「出先から戻ったらすぐにお伝えします」ということになります。 帰社してから時間が経つ場合は「帰社時」とは使えません。 あくまで、帰社したその瞬間のことです。
「帰社中」とは「帰社している最中」です。 出先から会社に戻っている間のことを指します。 「今、帰社中です。あと10分ほどで戻ります」などと使います。
「帰社日」とは、主にSES(客先駐在型)企業で使われている言葉で「顧客や取引相手の会社で駐在して仕事をしている社員が、自分の会社に出勤する日」を指します。 主にエンジニアなどに多く、月に1回など決められていることが多いです。 数日出張していた社員が会社に戻る日ではないので注意しましょう。
「一時帰社」とは「出張や営業中に少しの間だけ会社に戻ること」です。 要するに、一度会社に戻ったあと、再度外で仕事をすることを指します。 例えば午前中はA社で取引をして、一度会社に戻ってから、午後にB社に行くことが「一時帰社」となります。 営業中に資料などを取りに戻ったり、誰かと話さないといけない、また次の営業先に行くまでに少し時間がある時にも「一時帰社」をすることが多くなっています。
「不帰社」の意味は「帰社しないこと」です。 会社によっては「NR」と書くこともあり、これは「No Return」の略です。 「直帰」も同義となります。 外出先での仕事が終わるのが退勤時間以降である場合に、会社に戻らずにそのまま帰宅することを表します。 ちなみに「不帰」だと死ぬの意味になるので略さないように注意しましょう。 「不帰の客になる」という言い回しで使われます。
「帰社会」とは「社員が集まり顔を合わせて、話し合いをしたり現状報告をしたりする会合」です。 これは「帰社日」に行うことが多くなっています。 そのため、SES企業が主に使います。各々現場に出向いているエンジニアたちが全員会社に集まって課題や活動について話し合ったりします。 社会に帰ることではありません。
帰社時に使う挨拶は、
などが一般的です。 主に会社に戻って全体に対して「おはようございます」「お疲れ様です」と同様に使うため丁寧語でOKです。 「帰社いたしました」と謙譲語を使ってもいいですが、社内ではクドい可能性あります。 ただ役員など、かなり目上の相手に報告をする場合は「ただいま○○より帰社いたしました」と使いましょう。
例文
他の社員が帰社した時の挨拶は、 上司なら ・おかえりなさい 社長や役員なら ・おかえりなさいませ 同僚・部下をなら
などが一般的です。 「ご苦労さまです」は目上の相手に使えない言葉なので注意しましょう。
社外の人や上司の帰社予定を聞く場合は、相手の動作に対して尊敬語を使いましょう。 この場合「お帰社」とは言わず、
を使います。 「お戻りは何時頃になりますでしょうか?」などと尋ねましょう。
例文
自分の帰社予定を伝える相手が社内なら丁寧語、社外なら謙譲語を使うようにしましょう。 社内で使う場合(丁寧語)
社外で使う場合(謙譲語)
例文
社内の人間の帰社予定を取引先などの外部に伝える場合は、謙譲語を使いましょう。 たとえ上司などの帰社予定であっても、外部には謙譲語を使います。 主な言い回しは
などとなります。 社外の方の帰社予定を社内に伝える場合は、尊敬語を使いましょう。 目上の人である社外の人の動作には尊敬語を使います。 主な言い回しは
などとなります。
「退社」は「たいしゃ」と読みます。 意味は2つあります。 1. 勤務時間が終わり、会社から出ること 2. 今まで勤めていた会社をやめること です。 2つの意味があり紛らわしいため、会社をやめることは「退職」と言う場合が多くなっています。 「退職」には「勤務時間が終わり、会社から出ること」といった意味はありません。 1の意味で使う場合は、なるべく「○時に退社しました」「定時で退社します」などと、時間をつけると意味が伝わります。 「○○さんは退社しました」と使ってしまうと「え?!辞めたの!?」となってしまうため、気を付けましょう。
「退勤」は「たいきん」と読みます。 意味は「勤務時間が終わって勤め先を出ること」です。 「会社をやめること」といった意味はありません。 「退勤時間」などと使います。 対義語は「出勤」となります。
「退職」は「たいしょく」と読みます。 意味は「今まで勤めていた職場をやめること」です。 会社側が一方的に雇用契約を解約する場合は「解雇」となります。 それ以外で会社を辞める場合は「退職」です。 また自分から会社を辞めることを「辞職」とも言います。
「直帰」は「ちょっき」と読みます。 意味は「出先から会社に戻らず家に帰ること」です。 「直帰」はビジネスシーンで使われる言葉です。 「不帰社」のところでも説明しましたが、会社によっては「NR」と書くこともあり、これは「No Return」の略です。
「帰宅」は「きたく」と読みます。 意味は「自分の家に帰ること」です。 これは会社からだけに限らず、買い物に行った先や遊びに行った先から家に帰ることも「帰宅」と言います。 そのためビジネスシーンではあまり使われません。 帰宅している人に対して、上司や社外の人が用事があると言われた場合に「○○はすでに帰宅しています」と言うと軽い印象を与え、社会人として言葉を知らないなと思われてしまいます。 この際は「○○は本日すでに退社しております」と使うようにしましょう。
「帰社」の英語は、
などがあります。
I will check as soon as I return to the office.
帰社し次第、確認いたします。
「直帰」を意味する英語に「NR」があります。 「No Return」の頭文字をとったものです。
いかがだったでしょうか? 「帰社」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「きしゃ」 ✔意味は「出先から会社に帰ること」 ✔「帰社報告」「帰社時間」などと使う ✔帰社したときの挨拶は「ただいま帰社しました」など ビジネスシーンでよく使われる言葉です。 しっかりと覚えておきましょう。