「以降」の読み方は「いこう」です。「◯◯以降」とした場合の範囲は「◯◯を含みその後ずっと」を表します。「以降」も類語には「以後」「以来」などがありますが、ニュアンスに違いがあるので注意が必要です。
「以降」の読み方は「いこう」 ちなみに「以降」の漢字は「已後」とも書きます。
「以降」は「ある時から後」を表します。 「◯◯以降」の範囲は「◯◯を含みその後ずっと」となります。 「以降」の「以」という字は「以て(もって)」とも読まれます。「本日をもって」などの「もって」が「以て」です。 意味は「理由」「手段」「動作が行われる時点」となります。 「降」という字は「降る(くだる)」とも読まれます。 意味は「時が過ぎる」「時間を経る」となります。 その二つが組み合わさった「以降」は「ある時点からその後」という意味になります。 例えば、今日以降は今日を含み、明日、明後日…となります。 4月以降であれば4月、5月、6月…といつまでという指定がない限りはずっととなります。 今週以降、来週以降などとも使います。 ただし日曜日を今週に含ませるのか来週に含ませるのかの問題があるため、注意が必要です。
ビジネスシーンでは「以降」を使わず「○から△まで」と数字などで範囲を明記するべきです。 「○から」は○を含み、「△まで」も△を含みます。 「以降」を使う場合でも、「以降」は堅い語ですが敬語ではないので、他の敬語表現と併用する必要があります。 「○時以降にご連絡いたします」「○月以降の再開となりますので、ご理解の程よろしくお願いいたします。」などと使いましょう。
例文
また、「以降」という言葉は履歴書でもよく見かけます。 「高校卒業以降の学歴を全て書いてください」などとあります。 「◯◯以降」は◯◯を含むので、 平成△△年 □□高校卒業 平成△△年 ■■大学入学 ・ ・ ・ と高校卒業からの学歴を続けて書いていきます。
「以後」は「その時点から後」「これから先」を表します。 「以」は「ある時・所を起点としてそれより」、「後」は「時間的にあとの方。のち」を意味します。 「以後」は、基準となっている日時・年齢・時期・事柄を含んだその後からを表します。 「15時以後」「16日以後」「それ以後」などと使います。 「以降」とほぼ同義ではありますが、「以降」はある時点からの時間経過そのものを示すニュアンスが強く、「以後」はある時点から後に起こった事象に注目するニュアンスが強くなっています。 そのため「以後、気をつけます」などの表現は後に重きが置かれているからこそ適切となります。 「以降、気をつけます」は不自然な表現となります。
「以来」は「ある時点より後」という意味ですが、「ある時からこのかた」といった意味合いが強いです。 基準となる時点・時期を含んでその時から(今に至るまでずっと)となります。 「卒業以来」「入社以来」といったように、「○○以来」と使います。 そのため過去のことにしか使えません。 「今日以来」などと今現在を起点にし、未来を指すことはできません。 「今より後」「これから先」といった意味もありますが、古い言い方となります。
「その後」は「それよりも後」を表します。「そのご」と読みます。 「その後」は「ある出来事があった後のこと」を広く表します。 例えば「その後どうなりましたか?」と使った場合「あの出来事の後はどうなりましたか?」といった意味になります。 「その」で、聞き手が当面している出来事を指します。 そのため「以後」や「以降」のように「○○その後」と使うことはありません。 「トラブルその後は」とは使わず、「話していたトラブルの件、その後はどうなりましたか?」などと使います。
「より後」も「それよりも後」を表します。 「○○より後」と使い、「○○よりも後のこと」「○○より順番が後であること」を広く表しています。 そのため「○○」は含みません。 例えば「ディズニーシーっていつ開園したんだっけ?」「確かユニバーサルスタジオジャパンより後だよね」と使います。 数字を用いて「今日連絡するの19時より後になる」「それ見に行けるのは15日より後になる」などとも使います。
「今後」は、「今から後」「この後」を表しています。 「今」は「現在、過去と未来との境」、「後」は「時間的にあとの方、のち」を意味します。 現在を含んでその後を表します。 「今後もよろしく」とした場合は、「現在からその後も引き続きよろしく」といった意味になります。 いつから、といった基準になる日時や時期などは明記されず起点が現在であるという点が他の言葉とは異なる点です。 またビジネスシーンでは「今後とも」とよく使われています。 「これからもずっと」という継続のニュアンスのほかに、「その次もまた同じように」という反復のニュアンスも含まれます。 「今後とも」は、「このまま終わるのではなく、その先も関係を築いていきたい」といった意思表示の言葉になります。
「この方」は「このかた」と読みます。 意味は「過去から現在までの間」「今の今まで」となります。 主な言い回しは「生まれてこの方」で「生まれてから今の今まで」といった意味です。
「爾来」は「じらい」と読みます。 意味は「その後、それ以来」です。 「爾」は「それ」といった意味を持ちます。 先に述べたことを受けて、その状態を指す言葉です。
「以」は「ある時・所を起点としてそれより」、「前」は「ある時点よりもまえ」を意味します。 「以前」は「その時よりも前、ある時点より前」を表します。 「1月15日以前」といった場合、「1月15日」は含みます。 ただ「以」という言葉は、基準の数値を含むのが一般的ですが「昭和時代以前」や「第二次世界大戦以前」などとした場合は、「昭和時代」や「第二次世界大戦」を除いたそれより前を表すこともあります。 「〜より過去において」という意味になります。 その場合の意味は「ある状態や時期に達する前までの段階、ある段階レベルまでまだ至っていないこと」となります。
例文
さっそく例文をみてみましょう。
Don't watch TV after ten.
10時以降テレビは観てはいけません。
I won't be home from next Monday on.
来週の月曜日以降は家にいません。
I haven't seen him since last year.
昨年以降、彼とは会っていない。
「以内」の読み方は「いない」です。 「基準とする値を含めて、距離や時間、数量がそれより小さい範囲」を指す言葉です。 「以」は「〜より」という意味があり「内」には「一定の範囲の中」という意味があります。 例えば「開封後3日以内にお召し上がりください」と書いてある商品があったとします。 この基準値は「3日」となります。 つまり、「開封をしてから3日目までに食べてください」という意味になります。 「以内」は、基準値を含むので開封してから3日目までは食べてOKということです。 「以外」の読み方は「いがい」です。 「以外」は「以」という漢字が使われていますが、「◯◯以外」は◯◯だけ含まない表現です。 「以」は「ある場所を起点としてそれより」、「外」は「一定の考えからはずれること」を意味しています。 例えば、「いちご以外の果物であったらメロンが好き」「ホラー以外だったら何でも見る」などと言います。 これは「いちごを除いた中で一番好きな果物はメロン」「ホラーではなかったら見る」という意味です。 このように、ある事柄を取り除いた、他のものということを表す場合に「以外」を使います。
例文
「以上」は「いじょう」と読みます。 「基準値を含み、それ以上の範囲」を指す言葉です。 例えば、「5000円以上ご購入で、送料無料となります」ならば「5000円を含んでそれよりも多くお買い物いただけると、送料が無料になります」ということを表します。 この場合は、5000円でも送料が無料になります。 「以下」は「いか」と読みます。 「基準となるものを含めて、それより少ない」を指す言葉です。 例えば「12歳以下のお子様のご利用が可能となっています」という文章だと、「0歳〜12歳までの子供が利用できる」という意味になります。 また文章で「以下の通り」などと使うこともあります。 文章で使用する場合の「以下」の意味は「それよりも後、その文章から後に述べること」です。 「以下、省略」という表現は「以下の文章は省略します」といった意味になります。 「以降、省略」だと不自然となるので注意しましょう。
「未満」は「みまん」と読みます。 「ある一定の数に達しないこと」を表しています。 「未」は「まだ〜ないこと」、「満」は「足りないこと」を表します。「未だ満たない」と書くように、「ある数字に達していないこと」という意味になります。 例えば、「身長140cm未満は利用禁止」ならば「身長が139cmまでの子は利用できない、140cmの子は利用できること」を表します。 このように、「未満」は基準となる数値を含みません。
「上下」があるなら「左右」もあるのでは、と思う方もいるかも知れませんが、「以左」「以右」という日本語はありません。
いかがだったでしょうか? 「以降」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「いこう」 ✔範囲は「○○以降」で「◯◯を含みその後ずっと」 ✔ビジネスでは「◯から△まで」と範囲を明記すべし ✔類語は「以後」「以来」「その後」など