「恩着せがましい(おんきせがましい)」とは「相手に感謝を促す態度をとるさま」です。「ありがたく思う」という意味の「恩に着る」に使役の助動詞「せる」が組み合わさり、「ありがたがらせようとする」を意味する「恩に着せる」になります。それに「傾向がある」を意味する「がましい」が付いて、「恩着せがましい」です。
「恩着せがましい」の読み方は「おんきせがましい」です。 意味は「相手に感謝を促す態度であるさま」です。 頼んでもないのに手伝ったりしてきて「してやった」と感謝をされようとしてくる人のことを「恩着せがましい」と言います。 親切の押し売りをして「ありがとう」と言わせてくる人にネガティブな意味で使われます。
「恩着せがましい」は「恩に着せる」と「がましい」が組み合わさった言葉です。 「恩に着せる」は「ちょっとしたことを相手のためにわざわざしたように言って、ありがたがらせようとする」といった意味です。 「恩に着せる」の同義語には「恩に掛ける」があります。 「がましい」は「〜のようすである」「〜の傾向がある」といった意味の言葉です。 「がましい」を使った他の表現には「言い訳がましい」「未練がましい」「差し出がましい」「晴れがましい」などがあります。
「恩に着せる」と似た表現に「恩に着る」があります。 「恩に着る」の意味は「恩を受けてありがたく思う」です。 相手からの恩恵に対して、心から感謝することです。 「恩に着る」の同義語に「恩に受ける」があります。
「恩着せがましい」は人の言動に対して使う言葉です。 そのため人を表す言葉を修飾して使うことが多くなっています。
などなど、人を表す言葉なら何に対しても使うことが出来ます。
例文
また、恩着せがましいは言動に対しても使います。
などといった言い回しがあります。 例えば「恩着せがましい言い方」とは「こんなに手伝っちゃったよ〜」「あなたのフォローだけで1時間経っちゃった」「1人じゃ終わらなかったんじゃない?」などと、「やってあげた」ことを遠回しに言ってくることです。 「ありがとうね、あなたがいてくれて助かったよ」と言ってもらおうとしているのが丸わかりですよね。
例文
「恩着せがましい」は「恩着せがましく〜する」という形で副詞的にも使います。
などといった言い回しをします。
「おこがましい」は「生意気である、思い上がっていてしゃくにさわる」など身の程をわきまえないといった意味があります。 現代では主にこちらの意味で使われています。 また「ばかげている、みっともない」という意味があります。 本来はこちらの意味で使われていました。 漢字で「痴がましい」「烏滸がましい」「尾籠がましい」と3つの書き方があります。 「おこがましい」は、ビジネスシーンにおいて「おこがましいですが」「おこがましいようですが」などと使うと「自分の立場において、出過ぎた発言や行動」といったニュアンスを含み使われている言葉です。
例文
「親切の押し売り」の意味は「頼まれていないのに、他人を手伝ったり世話を焼こうとすること」です。 相手は必要だと思っていないのにやってくる人の言動に対して使います。 何か1人でやり遂げたいと思っているのに、突然手伝ってきたりする人っていますよね。 「1人でやりたいので大丈夫です」と言っているのに「2人の方が早く終るよ、遠慮しないで」とやり続けてくることを「親切の押し売り」と言います。 お裾分けと言っていらないものをたくさん渡して来たり、人の悩みに口を突っ込んできたりすることも「親切の押し売り」です。親切心からやっていることではありますが、実際には相手のことを考えられていない自分勝手な行動を指します。 だいたい「親切の押し売り」をする人は相手の迷惑には気付かず、自分は親切なことをしたと気持ち良くなっています。
「老婆心」の正しい読み方は「ろうばしん」です。 意味は「高齢者の女性が親切心がすぎて不必要なまでに世話を焼くこと」「必要以上に気を遣い、世話をやこうとする気持ち」です。 「老婆心」は「老婆心ながら」という形で、自分の気持ちをへりくだりながら相手に忠告するときに使います。 また、単に心配している旨を相手に伝えるときにも使います。 「老婆心ながら、心配しています」などと使います。これも「不必要かもしれませんが心配しています」と謙虚さを示す言い回しです。 「老婆心」は忠告をする時や心配をする時に使う言葉であるため、目上の人に使うことは出来ません。
例文
「お節介」は「おせっかい」と読みます。 意味は「不必要に他人の事に首をつっこむこと」「出しゃばって世話を焼くこと」です。 かえって迷惑になるような世話を焼くことなど、ネガティブなイメージが強い言葉です。
例文
「大きなお世話」や「余計なお世話」は「必要ないのに面倒を見てくること」に対して使います。 いらないお節介のことで、ネガティブな意味で使われています。 相手が世話をしようとしてきた時に、それを拒む際に使います。 人のことに心配したりして口うるさく言ってくる際に「大きなお世話だよ」と言います。 「余計なお世話」も「余計なお世話ですが」という形でクッション言葉として使うことができます。
例文
「ありがた迷惑」の意味は「他人からの行為が本来はありがたいものでも、自分の現状的にありがたくないもの」「気遣いしてくれることはありがたいが、行為そのものはありがたくない」といった意味です。 親切や好意でしたことでも、受ける側にとってはかえって迷惑であることを表します。
「謙遜」は「けんそん」と読みます。 意味は「控え目な態度で振る舞うこと。へりくだること」です。 自分の能力や価値などを低く評価すること・控え目に振る舞うことを表します。 「謙」も「遜」も「へりくだる」という意味を持ちます。 「へりくだる」とは「他を敬って、自分を控え目にする」という意味を持つ言葉です。 たとえ相手に親切なことをしたとしても「いえいえ、大したことしていません」といったようなことを言う人は「謙遜な人」となります。 「謙遜する」や「謙遜な◯◯」といったように、動詞としても形容動詞としても使います。
例文
「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の意味は、
となります。 「慇懃」は「極めて礼儀正しいさま」を意味します。 一方で、「無礼」は「礼儀をわきまえないこと」「失礼」「ぶしつけ」を意味します。 これらの言葉が合わさった「慇懃無礼」は、「丁寧な口調だけどもかえって嫌味にように感じる」という二つの言葉の意味を併せ持ちます。
「恩着せがましい」の英語は、
です。 「patron」は「支援者」の意味で、日本語でも「パトロン」といいますよね。 その動詞形が「patronize」で「支援する」という意味です。 それにingが付いて「patronizing」です。 「patronizing」とすると「助けてくれる」というポジティブな意味ではなく、「人を見下すような。恩着せがましい」というネガティブな意味になります。 「condescend」も「わざと親切にする」という意味があります。 それにingが付いて「condescending」です。
He is so patronizing, isn't he?
彼って恩着せがましいですよね?
「恩を仇で返す」は「おんをあだでかえす」と読みます。 意味は「感謝するべき相手に対して、害を与えるような仕打ちをすること」です。 親切にしてくれた人に恩返しをするのではなく、相手に害するような振る舞いや言動をすることを指します。
「恩を知る」の意味は「今の自分は誰のおかげなのかを考える」です。 これは仏教における言葉で、お釈迦様の教えと言われています。 そもそも「恩」という漢字は「因」と「心」で出来ています。 これは「原因を知る心」ということであり、「おかげさまで」といった気持ちを表しています。 誰がどんなことをしてくれているのか、を考えることで周りに感謝をすることが出来ます。
「恩を売る」の意味は「相手からの見返りで自分の立場が有利になることを期待して、人に恩を施す」です。 要するに、見返りや利益をもらえることを目的として、人を助けたり優しくすることであり、心からの親切で行っているわけではないということです。 そういう人の多くは、恩着せがましいことを言って相手からの恩返しを受けようとしてきます。
「恩の腹は切らねど情けの腹は切る」の意味は「恩返しのために死ぬ人はいないが、人情のために死ぬ人はいる」といった意味です。 人はもらった恩よりもかけてもらった人情や義理の方が強く感謝をしたり心に残ったりするということです。 その部分に関しては詳しく後述しています。
「恩の主より情けの主」の意味は「恩を受けた人よりも情けを受けた人の方をありがたく思う」です。 「恩の腹は切らねど情けの腹は切る」と通ずる意味合いがありますが、情けをかけられたことは嬉しくいつまでも覚えているものだということです。 恩恵を受けることというのは実感しにくく、また有り難いと思い続けることが難しいことを表します。 例えば仕事で行き詰まった時に、仕事を半分やってくれた人よりも親身になって相談に乗ってくれたり心配してくれた人の方に感謝をするといったことです。 どちらもありがたいことですが、形に残らない思いやりの方が心に残ることを表しています。
いかがだったでしょうか? 「恩着せがましい」について理解出来たでしょうか? ✔意味は「相手に感謝を促す態度であるさま」 ✔人や言動に対して使う「恩着せがましい人」「恩着せがましい言い方」など ✔副詞的に「恩着せがましく〜する」とも使う ✔類語は「おこがましい」「親切の押し売り」など 恩着せがましい人の特徴と心理に関しては下記の記事でまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。