「言外」は「言葉で表されていない部分」を意味します。「げんがい」と読みます。直接言葉に表現はしてないが、推測可能な本音・本心のことを表します。「言外に示す」「言外に匂わす」などと使います。「言外」の類語には「行間(を読む)」があります。
「言外」の読み方は「げんがい」です。 「ごんがい」と読まれることが多いですが、間違いですので注意しましょう。
「言外」の意味は「言葉で表されていないところ」です。 直接言葉に出してはいないけど、その裏にある意味や本音のことを表します。 例えば電話をした際に「○○さんいますか?」と言った場合、これは「○○さんに電話をかわってください」といった意味になりますよね。これが「言外」です。 言葉のまま受け取ると「いるかいないか」しか聞いていないので「います」もしくは「いません」の返答で終わる質問です。 ですが、ほとんどの人が「いますよ」といって電話をかわったり、「今いません、何か伝えておきますか?」とこたえるでしょう。 日本ではこういった「言外」が多くあります。
「限外」は同じように「げんがい」と読みますが、意味が異なります。 「限外」の意味は「制限された範囲の外」です。 「制限外」とも言われ、限度以上であることを表します。 「限外ろ過」「限外顕微鏡」など専門的に使われることが多くなっています。
「言外の意味」は「言葉で表されていないが、推論できる意味」を表します。 「暗示」や「含意」などと近い部分があり、相手が言葉ではっきり表現はしていないが何か考えていたり思ったりしている部分です。 例えば誰かが「暑くない?」と言った場合、言葉の意味のままだと他の人に暑いかどうか聞いていることになります。 ただ、なぜ「暑くない?」と聞いたのか考えると「暑いから窓開けたい」「暑いからエアコン付けたい」といった気持ちが隠されていることになります。これが言外の意味です。 この言外の意味がわからないと「空気が読めない」などと言われてしまうわけです。
例文
「言外」は「言外に」の形で副詞的に使います。 その中でも「言外に匂わす」「言外に匂わせる」が最もよく使われる表現です。 これは「ほのめかす」といった意味です。 昨今では単に「匂わせ」と表されることもありますよね。 SNSなどでも「今日はありがとう、幸せ」と男性の手ではないか?と思われる写真付きで誰かが更新すると「彼氏出来たのかな?」などと感じる人も多いかと思います。 この「彼氏できた」とは言っていませんが、言外に匂わせて彼氏ができたことをほのめかしているわけです。 明言せずに、それとなく思わせることを「言外に匂わす」と言います。
例文
「言外に示す」は「言葉や行動の裏に意味を持たせること」です。 「言外に匂わせる」よりも、はっきりと言葉の裏に意味を持たせることを表します。 例えば何かを断る際に「忙しくて時間がなくて」と言うことで、相手にははっきりと「行けない」といった意思表示をしています。
「言外に滲む」の意味は「言葉以外の部分に表れる」です。 自らほのめかしたり示すわけではなく、にじみ出てくる様子を表します。 本音や匂わせたいことを、無意識の内に相手に伝わってしまうことを「言外に滲む」と言います。 「にじませる」の場合は「匂わせる」と近くなります。
「言外にほのめかす」もよく使われる表現ですが、厳密に言うと二重表現となります。 というのも、「ほのめかす」には「それとなく言葉や態度に表す」といった意味です。 はっきり言葉にしていないのに本心などが表に出てしまう事を言います。 そのため「言外」が「ほのめかす」という言葉に含まれています。 「言外を匂わすこと」が「ほのめかすこと」とほぼ同義ですので、「言外をほのめかす」だと二重表現となりくどい言い方になります。
「言外に言う」は意味的に矛盾しているため誤用です。 「言外」は「言葉に表さない部分=言わないこと」ですので、「言わないことを言う」というのは矛盾しています。 「言外に匂わす、滲む、あらわれる」などとは使いますが「言外に言う」とは使いません。
「言外にある趣」のことを「余情」「余韻」と言います。 そのため「言外の余情」は二重表現で間違った表現となります。 「余情」とは和歌における美的理念のひとつで、直接的な言葉では表現されない繊細なしみじみとした味わいのことです。 言葉に表さない良さを表したいときは「言外にある趣」もしくは「余情」と言いましょう。
「言外」を含む四字熟語はありません。 「言外無用」は無用です。 正しくは「他言無用」「口外無用」です。 これは「内密な話を他人に漏らしてはいけないこと」です。 誰にも話してはいけない時に「他言無用です」と使います。 ちなみに「問答無用」はあれこれと話し合いをしても役に立たなかったり、これ以上議論を進めることに何の利益もないことを指します。
「行間を読む」は「ぎょうかんをよむ」と読みます。 意味は「文字で直接表現されていない、筆者の本当の気持ちや意向を感じ取ること」です。 「行間」は「行と行の間」、「読む」は「隠されている意味や意図を推測すること」を表します。 「行間を読む」は文章だけではなく、会話において使うことができます。 文字では書かれていない部分や、言葉では言い表せていない部分を汲み取る場合に用います。相手の言い方や顔つきから、本当の気持ちや意図を読み取ることが「行間を読む」となります。
例文
「空気を読む」の意味は「その場の雰囲気や様子などから、状況を判断すること」です。 その場では、自分はどんなことをしたら良いのか、相手が望んでいることは何かなどを読むことです。 例えば、A案とB案のどちらにするか全員で決めている場合に、自分はA案に賛成していたが、他の人はB案に賛成していたとします。意見が割れるとまた話し合う事になり、時間が長引くためしばしばB案にすることに決めた。 これが「空気を読む」ということになります。
例文
「論外」の意味は「わざわざ論ずるまでもないこと」です。 以ての外で話にならず、論じる価値もないことを表します。 人に対しても物事にたいしても使います。 主に「彼の発言は論外だ」などと使います。 類語には「話にならない」「愚問」などがあります。
「含意」の意味は「表面にあらわれない意味を含むこと」です。 ひとつの表現が結果としてあることを意味することです。 「含意を読み取る」などと使います。 主に会話において、言葉としてはっきり表さないけど含まれる意味を指します。
「暗示」の意味は「物事を明確にはせず、手がかりを与えてそれとなく示すこと」です。 物事を直接的に示すのではなく、間接的にそれとなく示すことを指します。 言葉よりも、事柄や現象などに対して使うことが多くなっています。
「ほのめかす」の意味する英語には、
などがあります。
It's hard to catch her implied meaning.
彼女の言外の意味をくみ取るのは難しい。
「言い表されていない」の意の
などでも「言外」を表すこともできます。
「read between the lines」で「言外の意味を汲み取る」「行間を読む」という意味になります。
Reading between the lines, I think she is not happy with the situation.
言外の意味をくみ取れば、彼女はこの状況を喜ばしく思ってないと思う。
いかがだったでしょうか? 「言外」について理解できたでしょうか? ✔読み方は「げんがい」 ✔意味は「言葉で表されていないところ」 ✔「言外に匂わす/匂わせる」はほのめかす ✔類語は「含意」「暗示」