「それぞれ」とは「複数の人のひとりひとり」「複数の物の一つ一つ」という意味です。「それぞれ」は名詞ですが副詞的にも使います。「それぞれ」の詳しい使い方と類語を例文付きで解説していきます。
「それぞれ」の意味は「複数の人のひとりひとり。複数の物の一つ一つ」です。 人に対しても物に対しても使うことができます。
それぞれの漢字表記には「其々」と「夫々」があります。 どちらを使っても意味は同じです。 「其」と「夫」には「それ」といった指示代名詞の意味があります。 「其れ其れ」や「夫夫」などと表記されることもありますが、使い方に違いはありません。 ただ「それぞれ」は一般的にひらがなで使われることが最も多くなっています。
「それぞれ」は名詞なので
と使います。 「それぞれ」だけでも「それぞれに」という意味で使うことが可能です。 また「それぞれ」は副詞的に用いることも出来ます。
などと使うことが出来ます。
例文
「人それぞれ」は「人はみな異なり、様々な性質があるということ」を表します。 ひとりひとりが独自の考えや感じ方があり、価値観を持っているといった、哲学的な表現です。 「人それぞれ」を意味する四字熟語には
などがあります。
「それぞれ等しい」は数学で使う表現です。 主に、三角形の合同条件で用いられます。 2つの三角形が合同であることを示すための条件に「3組の辺がそれぞれ等しい」「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」があります。
「それぞれ」は「それ」を繰り返した重ね言葉です。 結婚式では、「繰り返す」ことは再婚や出戻りを連想させてしまうため、重ね言葉は忌み言葉として使用しないルールです。 新郎と新婦のことを「それぞれ」と表すのではなく「お互い」などと言うようにしましょう。
「一人一人それぞれ」はよく使われている表現です。 しかし「一人一人」と「それぞれ」は、同じ意味を持ち二重表現となります。 「一人一人が」「それぞれが」と、ひとつずつ使うようにしましょう。
感嘆詞の中の呼びかけに「それ」があります。 「それ」を繰り返した形が「それそれ」となります。 合いの手などでも「ソレソレ!」「ソレソレソレソレ!」は使われることがよくあります。
ビジネスシーンで用いれる「それぞれ」という意味を持つ敬語には「各位」があります。 「各位」の意味は「大勢の人を対象にして、その一人一人を敬って言う語」です。 複数人を相手にする際、一人一人に敬意を込めるために使います。 「各位」は案内状・お知らせ・改まった場所での挨拶など書き言葉で使われることが多くなっています。 「皆様」よりもかしこまった言葉となります。
言い回し
「方々」の意味は「人々の敬意を含んだ言い方」です。 尊敬の意が含まれた二人称となります。 「人々」という場面で敬意を含みたい場合に「方々」を使います。 ビジネスシーンやかしこまった席で用いられます。
言い回し
「皆様方」は「皆様」をさらに丁寧にした言い方です。 「皆様」とは「その場にいる全ての人々、何か関係がある全ての人々を敬っていう語」です。 多くの人たちに呼びかけたり、注意を喚起する場合に「皆様」を使うことが多いです。 「皆様」だけでも目上の人に対して使っても失礼に当たりません。 「様」は尊敬の意を表しているので、「皆様」と呼びかけた後は敬語が続きます。 ただ、より丁寧に表現したい場合は「皆様方」とします。「方」は相手を敬っていう語です。 「皆様方」は単体で用いることが出来ます。
「各々方」は「おのおのがた」と読みます。 二人称で「複数の人を敬っていう言葉」です。 「各々方」は近世、武士の用語であり現代ではほとんど使われておりません。 「各々」に関しては、このあとの同義語で詳しく説明していきます。
「各々」の意味は、「複数の中のひとりひとり、各自」「複数あるうちのひとつひとつ、各個」です。 複数の人がいるという前提で使われ、その中の個人を示し「あなた方が」「個人個人が」を表します。 ビジネスメールでも用いられることがありますが「各々」には敬意は含まれません。
例文
「銘々」の意味は「各自、ひとりひとり」です。 副詞的にも用いられます。 「銘々」は「面々」が変化したものであり、専ら人に対して使います。 「銘々」の「銘」には「名のある上等なもの」といった意味があり「銘柄、銘菓、銘酒」などと使われています。 そのため敬意が含まれる言葉ですが、ビジネスシーンではあまり使われていません。
「各自」の意味は「集団の中のひとりひとり」を指します。 人に対して使われる言葉です。 「各自」の「自」は「自ら、自分自身で」といった意味で自分から行動することを表しています。 そのため「各自」は「自分から何か行動をする」場合に用いられることが多いです。 「各自持参」「各自負担」「各自の判断」などと使われています。
例文
「各人」は「かくじん」と読みます。 意味は「それぞれ、一人一人、一人の人間、個人」で人に対して使います。 ものや事物に対しては使いません。 「各人」は話し言葉というよりも、書き言葉として使うことが多いです。
例文
「面々」の意味は「多くのものの中の一人一人」を表します。 あるグループを構成している人たちやどこかに属している特定の人を表す場合に「面々」を使います。 例えば、「出席している面々」だったら「出席している人たち全員、出席している一人一人」という意味になります。 「面々」は敬意が含まれていないので、目上の人に使ってしまうと失礼にあたります。 ただ「そうそうたる面々」「名だたる面々」とすると、「その分野の優れた人たち」といった意味になるため目上の人たちに使っても失礼にはなりませんが、ビジネスシーンで用いられることはほとんどありません。
例文
「個々」の意味は「ひとりひとり、ひとつひとつ」です。 人に対しても物事に対しても使うことが出来ます。 多数を指したり、多数の中の「個」であるということを強調して使われます。 例えば「個々の意見を聞く」とした場合は、「多数いるひとりひとりの意見を、ひとつの意見としてすべて聞く」といったニュアンスが含まれ、「個」を強調しています。
例文
「別々」の意味は「それぞれが別であること、別れていること」です。 一緒ではないことを表します。 人に対しても物事に対しても使うことができます。
「ずつ」は「同じ量の物事をいくつか、または何回かに割り当てること」を表します。 数量や程度を表す言葉のあとに付き、均等であることを表します。 「1人1つずつ取る」であれば、全員が1つを手にするということになります。 また「ずつ」を「づつ」と書いても同じ意味となり間違いではありません。 ただ文化庁発表の現代仮名遣いに関する内閣告知では「ずつ」を本則としているため、学校などテストによっては「づつ」では間違いになってしまうこともあります。 「づつ」を絶対に使ってはいけないわけではありませんが「ずつ」を基本的に使うといいでしょう。
「様々」の意味は「おのおの異なっているさま」です。 「様」は「ありさま、かたち」を意味します。 「様々」はただ種類がたくさんあることだけでなく、それぞれのものが違っていることを表す場合にも使います。 「様々の◯◯」「様々な◯◯」「様々◯◯する」と使います。他にも、「人様々」「皆様々」と名詞に直接付けて使うこともできます。 「様々」は文章で使われることが多いので、話し言葉として用いるとやや堅い印象を与えてしまいます。
「すべて」の意味は「全部、みんな」です。 ひっくるめてどれもこれも、一切合切であることを表しています。 「一つも残らず」「ことごとく」と副詞的にも使われます。 物事に対して使われる事が多いですが「ここにいる全ての人」などと、人に対して使うこともあります。
「まちまち」の意味は「それぞれ異なっていること」です。 物事や意見などが、ばらばらでまとまりのない様子を表します。 「社員の意見はまちまちである」「反応はまちまち」などと使います。
「それぞれ」の英語は「each」です。
の3つの品詞があります。 「apiece」という副詞でも「それぞれ」という意味になります。
Each girl has a cat.
少女たちはそれぞれ猫を飼っている。
The apples cost 50 cents apiece.
りんごはそれぞれ50セントした。
Everyone has their own likes and dislikes.
皆それぞれ好き嫌いがある。
上記の最後の例文のように「everyone」と「own」を組み合わせても「それぞれ」のニュアンスを表現することが可能です。
「それぞれ」を意味するよりフォーマルな英語には「respective」があります。 「respective」は形容詞で、「respectively」とすると副詞です。
Every student went back to respective classes.
全生徒はそれぞれのクラスに戻った。
The apple and orange cost 20 and 40 cents respectively.
りんごとオレンジはそれぞれ20セント、40セントとする。
いかがでしたか? 「それぞれ」の意味と使い方はご理解いただけたでしょうか? 最後に「それぞれ」についてまとめておきたいと思います。 ✔「それぞれ」の意味は「複数の人のひとりひとり。複数の物の一つ一つ」 ✔「それぞれ」は名詞だが副詞的にも使う ✔「それぞれ」は重ね言葉なので結婚式ではNG(忌み言葉) ✔「一人一人それぞれ」は二重表現 ✔「それぞれ」の英語「each」