「無い袖は振れない」は「実際に持っていなければ出したくても出せない」という意味です。袖のない着物はどうしたって袖を振れられないことが由来です。着物の袖は財布を入れておくところから、「金銭的な支援または借金の返済をしたいが資金が無いからできない」という意味で使うことが多いです。「無い袖は振れぬ」「無い袖は振れられぬ」「有る袖は振れど無い袖は振れぬ」とも。「無いものは無い」が類語です。
「無い袖は振れない」の意味は「実際にないものはどうしようもない」です。 主に金銭に関して使われています。「お金が無いのだから出しようがない」といった意味です。 単に意見や考えを出したいがないといった場合には使うことが出来ません。 「お金を出したい気持ちや助けたい気持ちはあるが、できない」というニュアンスが強く、「お金を出したい」「支援したい」という願望がなければ使えない言葉です。 金銭的な援助を頼まれたときや借金の返済に関しても使うことが出来ます。
「無い袖は振れない」の由来は「着物の袖にお財布を入れる習慣」です。 そもそも、袖のない着物は何をどうしようと袖を振ることは出来ないということから「実際に持ち合わせていないものは、どうすることも出来ない」といった意味になりました。 そして、昔は着物の袖にお財布を入れる習慣があったことから「袖が無い=お金が無い」といった意味を持つようになり、金銭的な援助を頼まれたときや借金の返済に関して使われるようになりました。 ちなみに「袖を振る」は恋愛で使われる言葉です。 これは別れを惜しんだり愛情を示す合図のことです。
「無い袖は振れない」は様々な言い方があります。 「無い袖は振れぬ」 「無い袖は振れられぬ」 「有る袖は振れど無い袖は振れぬ」 と言うことがあり、どれも同じ意味で使われています。 「有る袖は振れど」は「袖があるのなら振れるが」という意味です。
「無いものは無い」が「無い袖は振れない」の同義語となります。 ただ「無いものは無い」は金銭だけでなく、様々な事に対して使うことが出来ます。 物理的なものが無い場合にも使えますし、意見や考えなどが無い場合にも使えます。 「無いものは無い」も、本当はあってほしいと願っている場合や相手から求められた際に使います。 「早くマスクを売ってよ!」 「売りたい気持ちは山々だが、無いものは無いんです」 といったように使います。
例文
「鼻血も出ない」は「お金を使い切って所持金が全くない状態」を表す言葉です。 「出すものは全て出した」といった意味合いで、もはや鼻血すらも出ないくらい体の中から搾り取られたことを表しています。 ただ「お金がない」というわけではなく、スッカラカンであり無一文である状態です。 「逆さに振っても鼻血も出ない」と使われることもあり、「お金をポッケなどから落とすために逆さにして振ってみるが、お金どころか鼻血も出ないくらい何もない」ことを表します。
例文
単に「お金がない」というニュアンスを持つ言葉には、
などがあります。 「素寒貧」は元々中国に「寒貧」という「ものすごく貧しい」という言葉がありました。 そこに強調を表す接頭語の「素」がついた言葉です。 良くない言葉の強調で使われることが多く、「素寒貧」で「非常に貧しくなにもないこと、そういう人」を表すようになりました。 「おけらになる」の「おけら」は昆虫の螻蛄(おけら)のことです。 語源は諸説ありますが、螻蛄が前足を上げて広げている姿が、お手上げしている姿に似ていることから「賭け事に負けたり使い果たしたりして、お金が一切なくなることのたとえ」として使われています。
例文
「無きにしも非ず」は「なきにしもあらず」と読みます。 意味は「無いこともない」「必ずしもないとは限らない」です。 「絶対にある」とは言えないけど「無いことはない」という場面や、「ない」に限りなく近いが「絶対にない」と断言できない場面で使います。 「○○しも非ず」は、「必ずしも○○ではない」といった意味です。
例文
「無い袖は振れない」の英語には、
I can't give you what I don't have.
直訳:無いものはあなたにあげられない。
があります。 これは金銭に関わらず、幅広く使える表現です。
「金銭的に余裕がなくて〜できない」という意味の英語には「cannot afford」があります。
などと表現します。
I really want to help you out, but I can't afford it.
助けてあげたい気持ちでやまやまだが、無い袖は振れない。
いかがだったでしょうか? 「無い袖は振れない」について理解できたでしょうか?
他にも「袖」に関する慣用句は他にもたくさんあります。 例えば、
などがあります。