「ステークホルダー」という言葉を聞いたことはありますか?国民として、社会人として、自分にも当てはまる言葉です。今回は企業における「ステークホルダー」の正しい意味と使い方、そして「ステークホルダーマネジメント」などについて解説します!
「ステークホルダー」の意味は「企業など経営において利害関係を有する者」となります。 日本語では利害関係者(りがいかんけいしゃ)といわれています。 利害関係者というと、金銭的な利害関係の発生する顧客や株主と考えがちですが、企業活動を行う上で関わるすべての人のことを言います。 具体例は、
など企業の経営・活動に関する人すべてが含まれています。
「ステークホルダー」は「stake」と「holder」という英単語から出来ています。 「stake」は元々「杭(くい)」という意味を持ちます。 語源となった説話は、アメリカの西武開拓時代の移住民によるとされるものです。 アメリカを開拓する時に、移住してきた人たちは開拓した土地の周りに杭(=stake)をいくつも打ち、自分たちが杭の保有者(=holder)すなわち土地の所有者であることを主張していました。 そこから「stake」という言葉に「権利」「所有権」などの意味が含まれるようになっとされていますが、そのため1970年代まで「ステークホルダー」のことをアメリカでは「権利の主張をしてくる者」と否定的な意味で使われていました。
「利害関係者」といった意味になったのは、1963年にSRIインターナショナル部のメモ書きで初めて用いられました。 そのときステークホルダーは「グループからの支援がなければ、当該組織が存続し得ないようなグループ」と定義されていました。 しかし1970年を過ぎて社会運動が盛んに展開されるようになると、概念の捉え直しをされました。 その時、R.E.フリーマンの「戦略的経営:ステークホルダーアプローチ」という本においてはじめて体系的に展開されました。 そしてフリーマン氏は「企業には株主以外に責任を持つグループが存在する。それは企業行動に利害を持つグループのステークホルダーである」(ステークホルダー理論)と説きました。
「ステークホルダー」はビジネスシーンでは、よく使われている言葉です。 一般的にはあまり使われません。 広い範囲を指す言葉であり、「ステークホルダー」に含まれる個々を「ステークホルダー」と指すことはほとんどありません。 主に、企業のあり方や今後の活動など、企業理念や企業方針についての会議の際によく出てくる言葉です。 会社においての利害関係者全般を指す言葉であり、日頃の業務やひとつひとつのプロジェクトの話よりも、企業全体のことなど規模が大きい話をする時に使われます。 しかし、企業によっては示しているステークホルダーの範囲が若干異なる場合があります。 直接的に利害関係が発生するステークホルダー、主に「顧客・社員・株主・取引先」などだけを指していることがあります。 それは企業の考え方そのものであったり、話の内容や流れでそういった範囲を差していることがありますので、文脈や内容によって把握するようにしましょう。
日本で「ステークホルダー」が注目されるようになったのは「コーポレート・ガバナンス」が注目・期待されたことにありました。 コーポレート・ガバナンスとは、ステークホルダーによる企業統治のことであり、企業による独占的支配や不正行為の防止のため監視をし、健全で効率的な経営をするための仕組みのことです。 1990年代のバブル経済崩壊やワンマン経営による業績悪化や不正などが発生により日本でも急速に「コーポレート・ガバナンス」に注目が集まりました。 そして2003年に商法改正により米国型のマネジメント(=企業の業務執行をする機能)とガバナンス(=経営者の業務執行の活動を監督する機能)を分離するための委員会等設置会社が認められるようになりました。 また、「コーポレート・ガバナンス」と同じように重視されているものが「CSR(企業の社会的責任)」です。 CSRとは、企業は、利益追求や法令遵守だけでなく、あらゆるステークホルダー(の多様な要求に対し適切な対応をとり地域社会への貢献を行うなど義務があることを示しています。
現在では「ステークホルダー」のことを考えた経営理念や、企業運営をする会社も多くなってきています。 また、経済社会のグローバル化に伴い「ステークホルダー」の範囲は領域的にも広くなってきています。 これからの企業や経営は、さらに「ステークホルダー」との関係性がとても大事になっています。 そのため、「ステークホルダーマネジメント」がとても重要となります。 「ステークホルダーマネジメント」とは、ステークホルダーとの関係を計画的に管理していくことです。 顧客や株主、地域社会や行政などとの関係の良好のための計画はもちろんのこと、企業の社員や従業員同士の関係も良好を保っていくことがとても大切です。 「ステークホルダーマネジメント」のひとつに「ステークホルダー分析」というものがあります。 どのステークホルダーとの利害関係を考慮すべきか判断する分析のことです。 このように、企業は常にステークホルダーのことを考えて経営していかなくてはなりません。 社会人であり、地域住民である自分自身も「ステークホルダー」であるということです。 「ステークホルダー」のことをしっかりと考えられるよう、理解と把握をしていきましょう!
「ステークホルダー」のうち株主のことを「ストックホルダー」や「シェアホルダー」と呼ぶことがあります。 この二つの一般的な使い分けは、単に株を有している人のことを「ストックホルダー」と呼び、議決権を有する株を有している人のことを「シェアホルダー」と呼ぶようです。 また、「ステイクホルダー型企業」や「ストックホルダー型企業」と呼ばれることがあります。 会社のステイクホルダー全体の利益バランスを考えるのが「ステイクホルダー型企業」で、株主最優先で考えるのが「ストックホルダー型企業」となります。 たとえば、会社の業績が悪化した際に、賞与カットと株主配当中止で乗り切るのが「ステークホルダー型」で、リストラをして株主配当の原資を確保するのが「ストックホルダー型」となります。
「ステークホルダー」は英語では「stakeholders」となります。 会社の利害関係者は、基本的に複数いるので複数形で書くのが一般的です。 そもそも日本語の「ステークホルダー」は英語が由来なので、同じ意味で使います。 利害関係者の中でも重要人物のことを英語で「key stakeholder」と表現します。 例文です。
Corporate executives need to think about the whole business and how it creates value for customers and stakeholders.
会社役員は、ビジネス全体が顧客とステークホルダーにとってどのような価値になるのか考える必要がある。
The proposal faces opposition from members of key stakeholders, including John Doe.
ジョン・ドーなどを含む主要利害関係者からその提案は反対された。
科学的に正しい英語勉強法
こちらの本では、日本人が陥りがちな効果の薄い勉強方法を指摘し、科学的に正しい英語の学習方法を紹介しています。読んだらすぐ実践できるおすすめ書籍です。短期間で英語を会得したい人は一度は読んでおくべき本です!
正しいxxxxの使い方
授業では教わらないスラングワードの詳しい説明や使い方が紹介されています。タイトルにもされているスラングを始め、様々なスラング英語が網羅されているので読んでいて本当に面白いです。イラストや例文などが満載なので、この本を読んでスラングワードをマスターしちゃいましょう!
転職する職場で英語が必須な方や海外での就職を検討している方など、本気で英語を学びたい人にオススメの英会話教室、オンライン英会話、英語学習アプリを厳選した記事を書きました!興味のある方はぜひご覧ください。↓
「ステークホルダー」について理解できたでしょうか? ✔利害関係者のこと ✔企業によっては範囲が異なることがある ✔ステークホルダーの中でも株主のことだけを「ストックホルダー」「シェアホルダー」と呼ぶ ✔企業経営において「ステークホルダー」は欠かせない 国民として、社会人として「ステークホルダー」の知識はとても大切になります! 様々な会社がきちんと「ステークホルダー」のことが考えられているのか、とても興味深いですね。 得た知識を元に、自国の企業のあり方についても勉強してみてください。