ビジネスで使われる言葉に「ブリーフィング」というものがあります。元々は軍事用語でしたが、今では医療や建築などでも使われています。 今回はその「ブリーフィング」について詳しく説明していきます。ビジネスにおける正しい意味と使い方、その他航空用語、医学用語、建築用語、政治用語としての意味と使い方も紹介します。類語や対義語、英語「briefing」の意味も解説します。
「ブリーフィング」の意味は「簡潔な報告や指令のこと、また簡単な状況説明のこと」です。 簡単にまとめた状況報告のことを指します。ビジネスシーンでは、要点を伝えるための簡単な打ち合わせや状況説明といった意味でも使われています。 ただ綿密な打ち合わせのことを「ブリーフィング」と使っている場合もあるため、会社や場面で何について使っているのかを把握するようにしましょう。 また報道機関などに対する簡単な事情説明のことも「ブリーフィング」と言います。 また「エレベーターブリーフィング」という言葉があります。 元々は上司や取引先などとエレベーターで乗り合わせ、その短い時間で相手に要点を伝え必要な承認を得たり判断をしてもらうことです。 なかなか時間やアポが取れない相手や、取引先の上司などに直接アプローチして一気に進めたい時に、唯一フリーとなる移動時間を狙った手法でした。 そこから、短時間で相手に伝えられるよう要点をまとめ、簡潔で印象な説明をする方法を「エレベーターブリーフィング」と使われています。 また「エレベータートーク」と言われることもあります。 商談やプレゼンで、だらだらと話が長いと相手に内容が伝わらずに時間だけが過ぎ相手は疲れてしまいます。 また忙しい相手には、何がしたいのかも伝えられないまま終わることもあります。 エレベーターブリーフィングは仕事上でとても効果的であり、手法としてよく用いられています。
「11時からブリーフィングを行います」 「明日のブリーフィングには部長たちにも参加してもらいます」 「エレベーターブリーフィングで攻めるといっても、1分ほどで相手に要点を伝えるのはなかなか難しい」 「いつどこで誰と遭遇するか分からないから、エレベーターブリーフィング出来るようメモを持ち歩いている」
元々「ブリーフィング」は軍隊用語として使われていました。 出撃前の作戦会議や出撃するための説明や指示のことで、「直前の打ち合わせや説明」のことを指します。 それが航空用語でも使われるようになり、出発前にパイロットやスタッフが最終確認や打ち合わせのことを「ブリーフィング」といいます。 飛行中の注意事項のほか、天候や搭乗客などについて確認を行います。
「ブリーフィングをいくらしても、出撃前の不安と緊張は拭えない」 「ブリーフィングを怠った結果、飛行中にトラブルが発生した」 「パイロットにとって大切なことの一つに、綿密なブリーフィングがある」
医学用語での「ブリーフィング」も「事前確認、打ち合わせ」の意味で用いられています。 例えば手術前や、災害現場に向かう前などに医者や看護師などチームで事前確認を行います。 命に関わることもあるため、医療現場では綿密なブリーフィングが行われることもあり、「簡単な説明・報告」の意味ではあまり使われません。 また医療では「デブリーフィング」という言葉もよく使われています。 これについては下で詳しく説明しています。
「本日の摘出手術の最終ブリーフィングを11時より開始します」 「明日の災害現場での救護活動に向けてのブリーフィングがようやく終わった」
建築における「ブリーフィング」は計画や設計をするために事前に要求条件書を作成することです。 いきなり図面を買いたりイメージ図だけで、そのまま設計に進んでしまうとゴールや焦点が定まらずに無駄な作業が増えてしまいます。 そういった時間やコスト、またストレスの軽減をするために設計を進める前に条件書を作成しゴールや焦点を定めます。 作成された条件書のことは「ブリーフ」と呼びます。 また、「ブリーフィング」のことをプログラミング、「ブリーフ」のことをプログラムとも呼びます。
「今日中にブリーフィングしてください」 「ブリーフと異なる部分がありますが、どちらで進めますか?」 「主任のブリーフィングの早さと正確さを見習いたい」
政治において「インテリジェンス・ブリーフィング」とは情報説明のことです。 これは主に、大統領などがNSA(国家安全保障局)やCIA(中央情報局)からから受ける国際情勢の説明のことを指します。
「トランプ氏はインテリジェンス・ブリーフィングで得た秘密情報を口外したり政治目的に利用するのではないかと懸念されていた」
アメリカのバッグブランドに「ブリーフィング」があります。 ミリタリズムを追求されたもので、充分すぎる機能とデザイン性を兼ね備えた高品質のバッグです。 ビジネスマンにとても人気のブランドです。 紹介ムービーをよければご覧ください↓
カタカナ語「ブリーフィング」は英語「briefing」が語源です。 英語「briefing」もカタカナ語「ブリーフィング」と同じように使うことができます。 主にビジネスシーンで「簡単な状況説明」という意味で使います。または「簡単な状況説明をするミーティング」という意味で使う場合もあります。
We all had to attend a briefing.
全員ブリーフィングに参加しなければならなかった。
カタカナ語「ブリーフィング」の語源は英語ですが、英語「briefing」の語源はラテン語になります。
↓ ビジネスパーソンにおすすめの英会話教室・オンライン英会話に関してまとめましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
一般的なビジネスシーンで使われている「ブリーフィング」と「ミーティング」の違いについて説明します。 ブリーフィングは 指示や報告のための短い会議 のことで当事者や上司が一方的に行うものです。 ミーティングは 特定の課題について議論したり意思決定をする会議 のことで、当事者同士やチームが意見などを出し合い、相互で行うものです。 さらに、「ブリーフィング」は何か決まっている事項を実行する直前に、当事者間で注意事項や重要事項の最終確認を行うことも指します。 それに対し「ミーティング」は何か実行するために決めていく打ち合わせのことです。 要するに、「ミーティング」を重ねて決まったものを、実行するにあたり「ブリーフィング」するといった形になります。
状況説明は、その場やある場面の有り様を説明することです。 結果や意見などではなく、どういった状況であるかを説明します。 例えばどの段階まで進んでいるか、誰が何をしているか、などを明確に伝えます。
概要説明は、全体の要点をまとめて説明することです。 全てを事細かく説明するのではなく、相手が分かりやすいように『目的やそれまでの流れ、課題など大切な部分をまとめた大体の内容』を説明します。
近状報告は最近の状態や進捗状況を報告することです。 ビジネスでは「近況」ではなく「近状」を使います。「近況」は個人的な生活に対して使うものですので、ビジネスシーンで「近況報告」などと使うのは注意しましょう。
事前説明とは、何かを行う前や事が起こる前に説明することです。
本来「デブリーフィング」は結果の報告、事実確認といった意味になります。 これも元々軍事用語であり、実行直前に行う「ブリーフィング」とは反対に、実行後に行うものでした。
心理・医療・看護における「デブリーフィング」は、患者の身に起きたた出来事や経験を振り返ることで克服を促していくことです。 特に急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を緩和する効果が認められることがあり、災害や障害によって精神的ショックを受けた人に向けて行われいます。 例えば災害現場などで、発生の一週間以内に自らの体験談を話し合うことでお互いの状況や気持ちを共有し、また話すことでストレス発散となり症状の緩和につながるというものです。 しかしこのデブリーフィングは賛否両論があり逆効果となるのではないか、といった意見もあるようです。
また、医療の現場でシミュレーシュン教育というものが行われています。
シミュレーション教育とは、模擬的な状況下で学習者として個人もしくはチームで医療を経験することで、最善の医療を実施するために専門的な知識や技術、そして態度を教育することです。
そして、シミュレーション教育をした後にシミュレーションにおける自身の行動を振り返ることで、学習者が課題を発見し学習意欲を引き出すためにデブリーフィングを行います。
ここでの「デブリーフィング」は主に「振り返り」のことで、個人もしくはチームで確認し合う作業です。
「デブリーフィング」と似た意味を持つ言葉に「フィードバック」があります。 この2つの意味に違いはあるのでしょうか? デブリーフィングは、「結果の報告、事実確認」です。 フィードバックは、「評価や意見を当事者に伝えること」です。 ビジネスにおいて、「デブリーフィング」は「フィードバック」を元に行われます。 ビジネスでの「フィードバック」は利用者が製品やサービスの評価や意見を制作側に伝えることや上司などが部下の働きを評価し伝えることです。 場合によっては、デブリーフィングも含めてフィードバックとして行う職場もあります。
「ブリーフィング」について理解できたでしょうか? ✓簡潔な報告や指令のこと、また簡単な状況説明のこと ✓元々は軍事用語で「直前の打ち合わせや説明」のこと ✓対義語は「デブリーフィング」で「結果報告や事実確認」のこと