「ひいては」の正しい意味は知っていますか?ビジネスシーンでも見聞きしたことがある方も多いと思います。なんとなく意味はわかるけどしっかり意味と使い方を理解している人は少ないのではないでしょうか?今回は「ひいては」の正しい意味と使い方について解説していきます。
「ひいては」には3つのニュアンスがありますので、1つずつ解説していきます。
「ひいては」の1つ目の意味は「それから引き続いて」となります。 Aを実行すれば、A1、A2、A3 という事象が自動的に連続して起こる、というニュアンスです。 A、A1、A2、A3 は性質や方向性が同じものがきます。 例えば、「学校で思いやりを持って人と接することは、花子ちゃん、太郎くん、ひいては次郎くんとも友達になれるということだ」となります。 この例文の場合は、 A = 学校で思いやりを持って人と接すること A1 = 花子ちゃんと友達になれる A2 = 太郎くんと友達になれる A3 = 次郎くんと友達になれる となります。 花子ちゃんと太郎くんと友達になったら引き続いて次郎くんと友達になれることをあえて特記してるので、次郎くんは少し気難しい子であることがうかがえます。
「ひいては」の2つめの意味は「それが原因となって」です。 「AひいてはB」で、「Aという原因がBという結果や問題を生み出す」という意味になり、二つの事項・事象の因果関係を表します。 例えば、「人に優しくすることが、ひいては自分のためになる」「結婚式のためにダイエットすることが、ひいては健康に繋がる」などがあります。 A = 人に優しくする B = 自分のためになる A = 結婚式のためにダイエットする B = 健康に繋がる です。 AとBは一見相関性がないように見えるのがポイントです。 意外性があるときに、「ひいては」という言葉を使い、因果関係を示します。
「ひいては」の3つ目の意味は「それをおしすすめて」となります。 「AはB、ひいてはC」で「Aを進めていくと結果Bになり、最終的にはCになる」という意味です。 「AをおしすすめていくとCになる」わけなので、「AがCの原因」と考えることも可能です。 その意味では、2つ目と3つ目の意味は似ています。 しかし、3つ目は「Aという原因がBという結果を生み出し、それが発展していくと最後にはCになる」というニュアンスで、2つ目の意味よりもさらに一歩進行にしている意味合いが加わります。 したがって、Bには小さい事柄、Cには大きい事柄が入ります。 B → C 小さいもの → 大きいもの 狭い範囲 → 広い範囲 普通なこと → 特別なこと <ビジネスの場合> B → C 底辺 → 頂点 支社 → 本社 日本 → 世界 など 例えば「顧客からの信頼の欠如は、売上の低下ひいては株価の低下をもたらすだろう」などと使います。 A = 顧客からの信頼の欠如 B = 売上の低下 C = 株価の低下 となります。 売上が低下するよりも株価が低下することが上場企業にとっては致命的なので、BひいてはCの順番になります。
「ひいては」を漢字で書くと「延いては」になります。 「延」という漢字には、「延期」や「遅延」という言葉があるように「のばす、遅れる、まねく」といった意味があります。 「延いては」は当て字なので、「ひいては」と平仮名表記するのが普通です。
「ひいては」の語源は動詞「引く」です。 「引く」の連用形+接続助詞「て」が付いて「引きて」となります。その「引きて」が音変化して「ひいて」となりました。 「ひいては」は、「ひいて」に強調を表す助詞「は」がさらに付いた言葉となります。「ひいて」でも「ひいては」でも同じように使うことができます。 「ひいては」の語源は「引く」ですが、漢字がなぜ「延いては」なのかは明らかになっていません。 「延(エン)」という漢字は「のばす」という意味がありますので、「それが元となり次のことに影響を及ぼす」という「ひいては」の意味により近く、当て字として振られた可能性が高いです。
「ひいては」は敬語ではありません。 しかし「ひいては」は日常会話ではあまり使用しない堅い言葉なので、ビジネスシーンで目上の人に対して使っても問題のない言葉です。 もちろん「ひいては」を使う前後の文章を敬語表現にすれば、の話です。文章全体を敬語表現にして「ひいては」は使いましょう。
「ひいては」の品詞は厳密には副詞です。 「A、ひいてはB」のように読点(とうてん)を使って区切りをつけます。(読点を使わなくてもよいです) しかし、「ひいては」は接続詞的に使うのも許容されます。 「ひいて」の形では接続詞的に使うことができませんが、助詞「は」が付くて接続詞として使用することも可能になります。 つまり、「A。ひいては〜B」のように句点で区切り、文頭で使うことも可能です。 例えば「私は自分自身のために一生懸命働いた。ひいてはそれが家族のためになった」などと文章を作ることも可能です。 繰り返しになりますが「ひいては」は厳密には副詞なので文頭で使うのを避けるべきだと主張する人もいます。ビジネス文書や論文では文頭で使用するのは避けておいた方が無難でしょう。
「ひいては」は堅い言葉なので書き言葉で使われることが多いのは確かですが、話し言葉で使われることもあります。 話し言葉といっても日常会話での使用頻度は低く、ビジネスでのスピーチなどで使われることがほとんどです。
「ひいては」は多用すると不自然な文章になってしまうので注意です。 一つの文章に使う「ひいては」は回数は一回にとどめておくべきでしょう。 例えば「自分自身のために一生懸命働くことが、自分のためひいては友人のため、ひいては家族のためになる」などの文章はくどく不自然です。 この場合は、「自分自身のために一生懸命働くことが、自分のため、友人のため、ひいては家族のためになる」と読点を使い、「ひいては」は一回のみ使うようにしましょう。
上記でも説明した通り、「ひいては」は堅い言葉なのでビジネスでよく使用されます。
「ひいては」は大学の論文などでもよく使われる言葉です。 「〜です。そのため」などと冗長な文章を「ひいては」でまとめると、文章全体がフォーマルになるため論文ではよく使われます。 大学の論文で使用する場合も「ひいては」は漢字表記にしないのが一般的です。場合によっては減点対象になりうるので気をつけましょう。
「ひいては」と「しいては」という言葉を混同している人がたまにいますが、「しいては」という言葉は存在しません。 「しいては」ではなく「しいて」「しいて言えば」が正しい日本語です。 「しいて」の漢字は「強いて」となります。 「敷いていえば」は誤りなので気をつけましょう。
「強いて」の意味は「あえて」「無理に」「無理矢理」です。 「困難・反対を押しきって、物事を行うこと」といった意味で使います。 「ひいては」とは意味が異なるので間違わないように注意しましょう。
「さらには」の意味は「その上」です。 「さらには」も、副詞「さらに」+ 強調を表す助詞「は」が付いて言葉です。 「さらには」の意味は「ひいては」と同義で、置き換えることが可能です。 「さらに」「さらには」も厳密には副詞ですが、接続詞的に使うことが可能です。
「さらには」の漢字は「更には」となります。 こちらも当て字なので、「さらには」は平仮名表記が一般的です。
「ひいては」の類語はかなりたくさんあります。
「ひいては事を仕損じる」と使っている人がしばしば見受けられますが、誤用ですので注意してください。 正しくは「急(せい)いては事を仕損じる」です。 「急いては事を仕損じる」とは「焦ってやると何事もうまくいかないので、冷静沈着に物事にあたるべき」を意味することわざです。
お笑い芸人のネタで「ひいてはご法度」を聞いたことがある人もいると思います。 「ご法度」は「一般的に禁じられていること」「してはならない」という意味です。 「ひいてはご法度」は「絶対に禁じられていること」という意味になります。 あまり使われる表現ではありません。
「ひいては」の英語表現は色々考えられます。
など、A => B という風に広がりを表現すれば、どれも「ひいては」というニュアンスを意味することになります。 例文を見ていきましょう。
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「ひいては」は原因と結果の因果関係が、大きく・広がっていることを表しているときに使います。 「ひいては」は話題の範囲を大きく広げてたいと思っているときに使いがちな表現です。 例えば、「このプロジェクトは日本、ひいては世界で注目されるだろう」と言った場合は、話題を日本から世界へ拡張することができます。 「ひいては」は話の内容が「良い方向にも悪い方向にもなる可能性を持っている」ということを仄めかす効果があるので、上手に使うと話を発展させることになります。 また、「ひいては」を使うことで、自分の洞察力や視野の広さを伝えられるため、印象を向上させることができるでしょう。