「すべからく」といった言葉を知っているでしょうか。よく「すべて」という意味で誤用されていますが、それは間違いです。普段あまり使われない言葉ですが、正しい日本語をしっかり覚えましょう!今回は「すべからく」の本来の意味や使い方を漢字の語源から詳しく解説していきます。
すべからくは漢字で、須くと書きます。 送り仮名は「く」のみです。 「須らく」と送り仮名を「らく」にするのは誤用になりますので注意しましょう。
「すべからく」の意味は当然、なすべきこととして、ぜひともです。 「当然しなければならない」といった意味を表す言葉です。
「すべて」と音が似ていることから「すべて、みんな」という意味と誤用している人が多くいます。 しかし、「すべからく」には「すべて」といった意味はありません。 あの有名なアニメ「エヴァンゲリオン」の劇場版でも「最近の男はすべからく自分にしか興味が無いのよ」といったセリフがあるようで、「すべからく」を「すべて、みんな」といった意味で用いられています。 これは意図されたものなのかどうかはわかりませんが、この使い方は誤用です。 間違って使わないように注意しましょう。 また、よく間違って使われる言葉に「おしなべて(押し並べて)」がありますが、意味は異なります。 「おしなべて」は「総じて、概して、すべて一様に」といった意味を持ちます。 「すべからく」が「すべて」と音が似ていることからその意味を持つ思われ、「おしなべて」と同じ意味であると誤用されています。
なぜ、「すべからく」が「須く」と表記するようになったかは、漢文訓読で「須・応」を「すべからく~べし」と再読したことがはじまりです。 そのため今でも一般的に語尾の「べし、べき」がセットとなり、ある事を当然するべきであるという表現で使われています。 「すべからく」は、「する、行う」といった意味を持つ動詞の「す」に義務の助動詞「べし」の付いた「すべし」が、ク語法によって「すべからく」となったものです。 ※ク語法とは、日本語において用言の語尾に「く」を付けて「〜(する)こと、ところ、もの」という意味の名詞を作る語法のひとつです。 本来は「なすべきこと」という意味の名詞ですが、ク語法によりそれが副詞的に用いられるようになりました。
そして「須」という漢字に「求める、必要とする」といった意味があることから、「すべからく」は「当然」や「ぜひとも」といった意味になりました。 ちなみに、「須」という漢字は本来「ひげ」という意味もありました。 ですが、「求める、必要とする」という意味でも使われるため、意味の混同を避けて「須」に毛を示す「髟(かみがしら)」をつけて「鬚」という字が新しくつくられました(今は主に「髭(ひげ)」が使われています)。
「すべからく」は本来「〜べし」「〜べきである」とセットで用います。 最近では「べき」をつけないで使われることがあり、それが誤用の原因ともされています。 実際には「すべからく〜べきである」で、「当然〜するべきである」「ぜひとも〜するべきである」といった意味になりますので覚えておきましょう。 その他詳しい使い方は例文を参考してください。
「学生はすべからく学業を第一とすべし!」 「年配の方には、すべからく親切にするべきである」 「頑張った社員には、すべからくその分のボーナスを支払うべきだ」 「明日は大事な会議があるので、すべからく直帰するべきです」 「知識は人間にとってすべからく大切であるべきものだ」 「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし、成功した者は皆すべからく努力しておる」 ※漫画「はじめの一歩」内で使われている言葉
意味:言うまでもなく、もちろん
「彼は女性は無論のこと、男性ともあまり話さない」 「新プロジェクトには、無論協力するつもりだ」
意味:道理にかなっていること、そうなるのが当たり前であること
「あれだけ怠けていれば、当然の結果だ」 「彼のプレゼンはずば抜けてた。彼のが採用されるのは当然だ」
意味:証明などしなくても明らかであること、わかりきっていること
「部長より課長の方が仕事ができることは自明である」 「一番安いものを買ったのだから壊れやすいのは自明の理だ」
意味:予想もしなかったこと、思いのほか
「彼女に2人も子供がいるなんて意外だった」 「部長は意外にも、高校球児だったらしい」
意味:普通と異なり特別なこと
「彼は電車の走る音だけでどの列車か当てられる特異の才能を持っている」 「そのパターンはかなり特異だから、当たり前と思わない方がいい」
意味:めったにないこと、とてもめずらしいこと
「彼女は人の素質を見抜くという稀有な能力があった」 「様々な事件に関わってきたが、今回の事件は大変稀有な事例である」
「すべからく」の英語表現を考えていきましょう。 「すべからく」の意味を持つ英語の副詞は「naturally」「of course」などですが、文章内に使うと不自然です。代わりに助動詞の「sohuld」を使うとよいでしょう。 例文です。
All the students should study rather than anything else.
全ての学生はすべからく学業を第一とすべきだ。
Young people should have big dreams.
若者はすべからく大きな夢を持つべきだ。
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「すべからく」について理解できたでしょうか? ✔「須く」と漢字では表記する ✔「当然、ぜひとも」といった意味 ✔「すべて」という意味の解釈は間違い ✔語尾の「べし、べき」は一般的にセットで使われる 普段あまり使うことはありませんが、書籍などで出てきた際に正しく理解できるようしっかりと覚えておきましょう。 また、会議やスピーチなどの大事な場面でこういった言葉を使うととても締まり、人々の印象に残りますのでぜひ使いましょう!