ビジネスシーンにおいて「引き合い」という言葉を耳にすることは多いと思います。「引き合い」は「引き合いに出す」などと使われますが、意味や正しい使い方について気になっている点も多いのではないでしょうか。また「引き合い」の意味を知らないまま使ってしまっている方も多いでしょう。そこで今回は「引き合い」の意味や使い方、類語について解説していきます。
「引き合い」の基本的な意味は、「引っ張り合うこと」です。 そこから転じて、「引き合い」は様々な意味でビジネスシーンで使用されます。
などがあります。 これから1つずつ使い方を見ていきます。
「引き合い」は人と物を繋げる状況を表すときに使用します。 ビジネスにおける「引き合い」は「取引の前に条件などを問い合わせること」を意味しています。取引に入る前の段階での注文に関する問い合わせのことを言います。 更に商品に注文が殺到している状態を
などと表現することもできます。 営業でよく使う言葉で、買い手から売買における条件について問い合わせが来たことを表現する「引き合いを受ける」といった形でよく使われます。 具体的に「引き合い」は商談を行い契約の検討に入るまでの段階を指しています。一般的に正式な取引が行われた後には使用しないので気をつけましょう。 引き合い ==> 見積もり ==> 受注(契約成立) の順番で行われるのが一般的です。 また、「案件の引き合い」と使用することがあります。これは案件について問い合わせが来ていることを表します。例えば、案件の内容が売買だとすれば、金額がいくらか、納入はいつかといった細かいことについての問い合わせを「案件の引き合い」と言います。 他に「引き合い案件」と使うこともあります。これは「引き合い」が来ている状態、問い合わせが来ていることを「案件」と考えて、「引き合い案件」と表しています。 不動産についての「お引き合い」は不動産物件において問い合わせがあることを指しています。 例えば「この物件は引き合いが多い」といった場合は、物件についての問い合わせが多いことを表現します。
この意味における「引き合い」の言い回し
「引き合い」は「証拠・比較・参考とするために例に引くこと」を意味しています。 例えば「過去の事例を引き合いに出す」などといった場合、これは現在の物事と過去の事例の間に、共通している何らかの結びつきがあることになります。 「引き合い」はビジネスシーンでは、説明を行うときに過去の事例を比較、または証拠として出す際に使用します。これは今回の内容の真偽を確かめるために、過去の資料などを用います。 主に「今回の計画と前例を引き合いに出す」といったように使います。 また「引き合いに出す」は仕事で失敗した相手に対して、「なんでこの仕事ができない!◯◯だったらしっかり出来る!」といったように、悪い意味で他人と比較する場合にも用います。 他に比較といった点で、取引や儲け話などの交換条件をだすときにも「引き合わせ」を使います。
この意味における「引き合い」の言い回し
「引き合い」は「仲を取り持つこと。紹介」という意味もあるため、人と人・会社と会社の仲を取り持つことにも使用できます。 「引き合い」という言葉自体に「結びつく」「仲を取り持つ」という意味が含まれているため、この場合は「引き合わせる」という動詞として使います。 「引き合わせる」の意味は、「呼び寄せて対面させる」「紹介する」となります。 この場合の「引き合い」は、ビジネスシーンにおいての人や会社との結びつきに重点をおいた言葉です。 また「引き合わせる」は、霊的なものの巡り合わせに対しても使うことができます。例えば、霊的とは幽霊や運命などの目に見えない存在や事象のことを言います。
この意味における「引き合い」の言い回し
「訴訟事件の関係者として法廷に召喚される人」という意味の「引合人」という言葉が存在するように、「何らかの事件に関わり、証人・参考人として呼ぶ」ときにも「引き合い」を使用できます。 例えば、裁判所から刑事事件の証人として呼び出しを受けた時に「今回の刑事事件の引き合いを受けることになった」といったように用います。 「引き合いを受ける」の他に「引き合いを請け負う」という言い方もできます。 「請け負う」の意味は 「日限・報酬を取り決めた上で仕事を引き受ける」「 責任を持って引き受ける」となります。 この場合での「引き合い」はあまり使うことがなさそうですが、覚えておくと良いでしょう。
この意味における「引き合い」の言い回し
「引き合い」についてお礼を述べる場合は、「お引き合いありがとうございます」と言います。 また仲を取り持ってくれたことに対してのお礼は「◯◯さんにお引き合いただきありがとうございます」、取引に対してのお礼は「今回はお引き合いいただき、ありがとうございます」などと言います。
◯取引 (意味:互いに利益を得られるよう交渉すること) 「ライバル会社のA社と裏で取引をする」 ◯条件 (意味: ある物事が成立・実現するために必要な、または充分な事柄) 「こちらが提示した条件を満たしている案件だ」 ◯注文 (意味:人に依頼したり、自分が希望したりするときにつける条件) 「彼女の注文に応えた作品になった」
◯照会 (意味:問い合わせて確認すること) 「友人の居所について実家に照会する」 ◯例示 (意味:例として示すこと・例をあげて示すこと) 「書類の記入の仕方について例示する」 ◯引用 (意味:人の言葉や文章を、自分の話や文の中に引いて用いること) 「この部分については新聞からの引用です」 ◯参照 (意味:照らし合わせて参考にすること) 「別紙の資料をご参照ください」 ◯対照 (意味: 二つの事物を照らし合わせて比べること) 「今回の彼の作品は、前作とは対照的に仕上がっている」
◯仲介する (意味:当事者双方の間に立って便宜を図り、事をまとめること) 「土地の売買を仲介する」 ◯橋渡しとなる (意味:両者の間に入って、取り持つこと) 「A社と取引先との橋渡しをする」 ◯媒介する (意味:両方の間に立って、なかだちをすること) 「鳥が媒介したインフルエンザが流行する」 ◯口利きをする (意味: 間に立って紹介や世話をすること) 「友人が口利きをしてくれたおかげで就職先が見つかった」
「引き合い」の英語表現を見ていきましょう。 「問い合わせ」という意味の「引き合い」は、アメリカ英語で「inquiry」、イギリス英語で「enquiry」と言います。 「見積依頼」は「request for quotation」と言います。略して「RFQ」です。 参考・比較するために過去の事例などを「引き合いに出す」という意味の英語は、「cite」「quote」などの動詞を使うことになります。
We've got tons of inquiries recently.
最近引き合いが殺到している。
She cited a number of authorities to rationalize her own view.
彼女は自分自身の見解を合理化するために、多数の権威者を引き合いに出した。
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「引き合い」について理解できたでしょうか? ✔︎「引き合い」は「取引の前に条件などを問い合わせること」を意味している ✔︎「引き合い」は「証拠・比較・参考とするために例に引くこと」という意味でもよく使う ✔︎「仲を取り持つ」という意味で使う場合は「引き合わせる」と動詞形にする ✔︎「引き合い」の類語には、「照会」「例示」「仲介する」などがある