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営業でよく使う「引き合い」の意味と正しい使い方とは?英語表現も解説

ビジネスシーンにおいて「引き合い」という言葉を耳にすることは多いと思います。「引き合い」は「引き合いに出す」などと使われますが、意味や正しい使い方について気になっている点も多いのではないでしょうか。また「引き合い」の意味を知らないまま使ってしまっている方も多いでしょう。そこで今回は「引き合い」の意味や使い方、類語について解説していきます。

「引き合い」の基本的な意味

「引き合い」の基本的な意味は、「引っ張り合うこと」です。 そこから転じて、「引き合い」は様々な意味でビジネスシーンで使用されます。

  • 仲を取り持つこと。紹介
  • 売買・賃貸条件の照会。また、その注文・取引。また取引の前に条件などを問い合わせること
  • 巻き添え。連累。関わり合い
  • 訴訟、事件などの証人・参考人になること
  • 証拠・比較・参考とするために例に引くこと。引証

などがあります。 これから1つずつ使い方を見ていきます。

「引き合い」のビジネスでの使い方と言い回し

1.取引の依頼や問い合わせの確認について

「引き合い」は人と物を繋げる状況を表すときに使用します。 ビジネスにおける「引き合い」は「取引の前に条件などを問い合わせること」を意味しています。取引に入る前の段階での注文に関する問い合わせのことを言います。 更に商品に注文が殺到している状態を

  • 引き合いが殺到する
  • 引き合いが強い

などと表現することもできます。 営業でよく使う言葉で、買い手から売買における条件について問い合わせが来たことを表現する「引き合いを受ける」といった形でよく使われます。 具体的に「引き合い」は商談を行い契約の検討に入るまでの段階を指しています。一般的に正式な取引が行われた後には使用しないので気をつけましょう。 引き合い ==> 見積もり ==> 受注(契約成立) の順番で行われるのが一般的です。 また、「案件の引き合い」と使用することがあります。これは案件について問い合わせが来ていることを表します。例えば、案件の内容が売買だとすれば、金額がいくらか、納入はいつかといった細かいことについての問い合わせを「案件の引き合い」と言います。 他に「引き合い案件」と使うこともあります。これは「引き合い」が来ている状態、問い合わせが来ていることを「案件」と考えて、「引き合い案件」と表しています。 不動産についての「お引き合い」は不動産物件において問い合わせがあることを指しています。 例えば「この物件は引き合いが多い」といった場合は、物件についての問い合わせが多いことを表現します。

この意味における「引き合い」の言い回し

  • 引き合いが殺到する
  • 引き合いが強い
  • 引き合いが多い
  • 引き合いが増える
  • 引き合いが来る
  • 引き合いを受ける
  • 引き合いをいただく
  • 引き合いに出す
  • 引き合いがある

2.過去の事例を比較・参考として出す

「引き合い」は「証拠・比較・参考とするために例に引くこと」を意味しています。 例えば「過去の事例を引き合いに出す」などといった場合、これは現在の物事と過去の事例の間に、共通している何らかの結びつきがあることになります。 「引き合い」はビジネスシーンでは、説明を行うときに過去の事例を比較、または証拠として出す際に使用します。これは今回の内容の真偽を確かめるために、過去の資料などを用います。 主に「今回の計画と前例を引き合いに出す」といったように使います。 また「引き合いに出す」は仕事で失敗した相手に対して、「なんでこの仕事ができない!◯◯だったらしっかり出来る!」といったように、悪い意味で他人と比較する場合にも用います。 他に比較といった点で、取引や儲け話などの交換条件をだすときにも「引き合わせ」を使います。

この意味における「引き合い」の言い回し

  • 引き合いに出す
  • 引き合いにする

3.仲を取り持つこと・紹介すること

「引き合い」は「仲を取り持つこと。紹介」という意味もあるため、人と人・会社と会社の仲を取り持つことにも使用できます。 「引き合い」という言葉自体に「結びつく」「仲を取り持つ」という意味が含まれているため、この場合は「引き合わせる」という動詞として使います。 「引き合わせる」の意味は、「呼び寄せて対面させる」「紹介する」となります。 この場合の「引き合い」は、ビジネスシーンにおいての人や会社との結びつきに重点をおいた言葉です。 また「引き合わせる」は、霊的なものの巡り合わせに対しても使うことができます。例えば、霊的とは幽霊や運命などの目に見えない存在や事象のことを言います。

この意味における「引き合い」の言い回し

  • 引き合いがある
  • 引き合わせる
  • 引き合わせていただく

4.訴訟、事件などの証人・参考人になること

「訴訟事件の関係者として法廷に召喚される人」という意味の「引合人」という言葉が存在するように、「何らかの事件に関わり、証人・参考人として呼ぶ」ときにも「引き合い」を使用できます。 例えば、裁判所から刑事事件の証人として呼び出しを受けた時に「今回の刑事事件の引き合いを受けることになった」といったように用います。 「引き合いを受ける」の他に「引き合いを請け負う」という言い方もできます。 「請け負う」の意味は 「日限・報酬を取り決めた上で仕事を引き受ける」「 責任を持って引き受ける」となります。 この場合での「引き合い」はあまり使うことがなさそうですが、覚えておくと良いでしょう。

この意味における「引き合い」の言い回し

  • 引き合いを請け負う
  • 引き合いを受ける

「引き合い」の使用場面ごとの例文

仲を取り持ってくれた人へにお礼する場合

「引き合い」についてお礼を述べる場合は、「お引き合いありがとうございます」と言います。 また仲を取り持ってくれたことに対してのお礼は「◯◯さんにお引き合いただきありがとうございます」、取引に対してのお礼は「今回はお引き合いいただき、ありがとうございます」などと言います。

  • お引き合いありがとうございます。
  • お引き合い頂きありがとうございました。
  • この度はお引き合いいただき誠にありがとうございました。

商品の注文や問い合わせが殺到している場合

  • 弊社の一番人気の商品に引き合いが殺到しているため、一時生産が中止になった。
  • 人気急上昇中のアイドルのグッズに引き合いが殺到している。
  • 若い女性に人気のある芸能人がテレビで紹介した、美容化粧品への引き合わせが殺到している。
  • 新製品に対する引き合いが強いため、生産が追いつかない。

取引の最初の段階

  • A社からの引き合いを受けるべきか否か、今の段階では迷っている。
  • 海外の企業からサービスへの引き合いが来たため、諸条件を再確認する。
  • B社から◯◯案件についての引き合いをいただいたため、検討している。
  • △△メーカーより引き合いが来ている。
  • この度は新規のお引き合い、誠にありがとうございます。

条件の問い合わせが多い場合

  • この物件に関してはお客様の引き合いが多い。
  • ◯◯社からの引き合いが強いため、十分に検討するしかない。
  • 今回の案件についての引き合いが近年の中では最も多い。

説明するために物事と物事を比較・参考にする場合

  • 過去の実験を引き合いにして、今回の実験が上手くいくかどうか判断をする。
  • 今回の手順が効果的であることを説明するため、前回の計画を引き合いに出す。
  • そのプロジェクトについては前例を引き合いに出して、再度検討することにする。

(悪い意味で)比較・参考にする場合

  • 能力が全く違う彼を引き合いに出すのは不公平だ。
  • 昔の話を引き合いに出されても戸惑うしかない。
  • 「どうしてあの子はできるのに、君はできないんだ」と引き合いに出される。

交換条件を出す場合

  • 「肩もみをしてくれたら、お金を出す」と引き合いに出す。
  • 「これを一口あげるから。それ一口ちょうだい」と勝手に引き合いに出す。
  • 彼は儲け話の引き合いを出した。

仲を取り持って対面させる場合

  • 上司がA社と引き合わせいただいたおかげで良い取引をすることができました。
  • 以前引き合わせた◯◯君と△△さんの結婚が決まり、とてもめでたく思う。
  • ◯◯さんからの引き合いがなければ、彼とは今頃赤の他人同士だっただろう。
  • 二人を引き合せる段取りは完璧である。
  • 彼は最終的に坂本龍馬と西郷隆盛を引き合わせることになった人である。

霊的な巡り合わせについて

  • 君のような素晴らしい人間に出会えたのは、運命が引き合わせてくれたからに違いない。
  • この歳になって結婚できたのは、ご先祖様が引き合わせてくれたからだと感じます。
  • こうして運命の人と出会えたのは、神様が引き合わせてくれたとしか思えない。

訴訟、事件などの証人・参考人になる場合

  • ◯◯事件についての引き合いを請け負うこととなった。
  • 盗難被害にあったせいで、後日彼は引き合いを請け負い法廷へ呼び出された。

「引き合い」の類語

”問い合わせの確認をする”という意味での類語

取引 (意味:互いに利益を得られるよう交渉すること) 「ライバル会社のA社と裏で取引をする」 ◯条件 (意味: ある物事が成立・実現するために必要な、または充分な事柄) 「こちらが提示した条件を満たしている案件だ」 ◯注文 (意味:人に依頼したり、自分が希望したりするときにつける条件) 「彼女の注文に応えた作品になった」

”比較・参考のために例に出す”という意味での類語

照会 (意味:問い合わせて確認すること) 「友人の居所について実家に照会する」 ◯例示 (意味:例として示すこと・例をあげて示すこと) 「書類の記入の仕方について例示する」 ◯引用 (意味:人の言葉や文章を、自分の話や文の中に引いて用いること) 「この部分については新聞からの引用です」 ◯参照 (意味:照らし合わせて参考にすること) 「別紙の資料をご参照ください」 ◯対照 (意味: 二つの事物を照らし合わせて比べること) 「今回の彼の作品は、前作とは対照的に仕上がっている」

”仲を取り持つ”という意味での類語

仲介する (意味:当事者双方の間に立って便宜を図り、事をまとめること) 「土地の売買を仲介する」 ◯橋渡しとなる (意味:両者の間に入って、取り持つこと) 「A社と取引先との橋渡しをする」 ◯媒介する (意味:両方の間に立って、なかだちをすること) 「鳥が媒介したインフルエンザが流行する」 ◯口利きをする (意味: 間に立って紹介や世話をすること) 「友人が口利きをしてくれたおかげで就職先が見つかった」

「引き合い」の英語

「引き合い」の英語表現を見ていきましょう。 「問い合わせ」という意味の「引き合い」は、アメリカ英語で「inquiry」、イギリス英語で「enquiry」と言います。 「見積依頼」は「request for quotation」と言います。略して「RFQ」です。 参考・比較するために過去の事例などを「引き合いに出す」という意味の英語は、「cite」「quote」などの動詞を使うことになります。

We've got tons of inquiries recently.

最近引き合いが殺到している。

She cited a number of authorities to rationalize her own view.

彼女は自分自身の見解を合理化するために、多数の権威者を引き合いに出した。

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まとめ

「引き合い」について理解できたでしょうか? ✔︎「引き合い」は「取引の前に条件などを問い合わせること」を意味している ✔︎「引き合い」は「証拠・比較・参考とするために例に引くこと」という意味でもよく使う ✔︎「仲を取り持つ」という意味で使う場合は「引き合わせる」と動詞形にする ✔︎「引き合い」の類語には、「照会」「例示」「仲介する」などがある

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