「取り急ぎご報告まで」「取り急ぎお礼まで」といったように、ビジネスシーンで頻繁に使用される「取り急ぎ◯◯まで」というフレーズがあります。今回は「取り急ぎ◯◯まで」の意味や使い方、使用する上での注意点、類語、英語表現を解説していきます。
「取り急ぎ」は「とりあえず急いで」を意味しています。 「取り急ぎ」は「急な事態が起きたため、十分な準備や対応はできないが、急ぐべきこととして」といったニュアンスになります。
「取り急ぎ◯◯まで」は、本来詳しく説明すべきところを省略して、とりあえず用件のみを伝える場合に使います。つまり、「とりあえず急いで何かを連絡する必要があり、細かい説明は省略するが用件のみを伝える」ときに使用する表現です。 「取り急ぎ◯◯まで」は、手紙やメールの末文で使われることがほとんどです。
「取り急ぎ◯◯まで」のよくある言い回しは下記になります。
本来相手にお礼をする際は、取り急ぎするものではありません。 ビジネスシーンで「取り急ぎお礼まで」を使う場合、いくつか伝えなければならない用件がある時にまずお礼だけさせてもらうといった意味で使います。 ただ相手によってはお礼を取り急ぎですることを失礼だと思う人もいますのでビジネスシーンで感謝を伝える際は「取り急ぎ」は使わないほうが無難です。 また一般的に取り急ぎお礼をする場合であっても、丁寧にお礼の言葉を述べてから「取り急ぎお礼まで」を使うようにしましょう。
お礼同様、報告も本来は取り急ぎするものではありません。 しかし、その報告を今すぐにしなければならない場合に使うことがあります。 日時の変更や、まず結果を伝えるときなどに用いられます。 ただ日時の変更や結果だけを伝えるよりも、取り急いだことを伝えるほうが良いともされています。 または「取り急ぎのご報告失礼いたします」などと「まで」で終わらせずに丁寧な文章に変更すると良いでしょう。
ご報告と同様に、相手に今すぐ伝えるべきことがある場合に使います。 「まで」で終わることに抵抗がある場合や、目上の相手には「取り急ぎのご連絡失礼いたします」などにして用いましょう。
「拝受」は受け取ることをへりくだって言う言葉です。 つまり、「受け取る」「受領」の謙譲語となります。 相手に何かを受け取ったことを連絡する際に使います。 例えば送ってもらった資料を、中身はまだ確認する前に受け取ったことを連絡する際に「資料を送っていただき誠にありがとうございます。取り急ぎ拝受のご連絡まで」などと使います。
「取り急ぎ◯◯まで」は使う上で注意しなければいけない点があります。 「取り急ぎ◯◯まで」は、使い方を間違ってしまうと、相手を不快な気持ちにさせてしまうので注意して使用するようにしましょう。
「取り急ぎ◯◯まで」という言葉は非常に便利な言葉ですが、目上の人に対して使えるのでしょうか。 「取り急ぎ◯◯まで」は文末を省略した言い方なので、なるべく目上の人には使用を避けた方が良いでしょう。 「取り急ぎ◯◯まで」は、詳しく説明をすべきところを略して伝えていることになるので、相手によっては失礼な印象を与えてしまいます。また、なぜ省略するのかという疑問を持たれてしまう可能性があります。 目上の人、特に、取引先やお客様に対しては使用するべきではありません。 目上の人に対して使う場合は、「取り急ぎ◯◯まで」ではなく、「取り急ぎ◯◯します」「取り急ぎ◯◯いたします」といったように完結した文章にするのが適切になります。 しかし、目上の人でも親しい間柄の相手であったら、「取り急ぎ◯◯まで」を使用しても問題ありません。
★「取り急ぎ◯◯まで」と言い切りにせずに、文末に少し文章を追加するだけで注意になります 例
「取り急ぎ◯◯まで」は、至急連絡することが必要な場合にだけ使用するのが適切です。 「取り急ぎ」は、急ぎで対応することを表しています。「取り急ぎ」を使うときは急ぎで伝えなくてはいけない用件のみを伝えて、他の連絡事項や用件は入れないようにします。 例えば、「取り急ぎ」は「他にもたくさんお伝えしたいことがありますが、いったんこの連絡で報告したいことのみお伝えいたします」といった意味合いのため、たくさん報告が書いてある文章で使用するのは不自然になります。 しかし、どうしても他の用件も伝えたい場合は、別途連絡する旨を伝えるようにしましょう。 また「取り急ぎ」は本当に急を要する用件にだけ使用せずに、普段なんとなく多用してしまうと、本当に急ぎの用件だとしても、取り扱ってくれない場合が出てきてしまいます。「取り急ぎ」は本当に急を要する場面だけに使用するように気をつけましょう。
「取り急ぎ◯◯まで」とした場合は、「本来は◯◯すべきところをとりあえず連絡いたしました」といった意味合いになります。 「取り急ぎ◯◯まで」は、「とりあえず◯◯する」と、本当に急いで伝えたいことだけを伝えるいう意味なので、後に伝えたいことの詳しい内容を伝えることが前提になる表現になります。 「取り急ぎ」を使用した場合、相手としては、あらためて連絡が来ることを待っている場合があります。そのため連絡を再度しないと相手に失礼なので、あとで正式な連絡を入れるようにしましょう。
「取り急ぎ」は「とりあえず」という意味なので、お礼をするときには不適切な表現になります。 例えば、「取り急ぎ御礼まで」という言い方もできますが、この場合は「とりあえず、時間がないけれど感謝いたします」といったニュアンスになるので、大変失礼なイメージになってしまいます。 お礼は本来心を込めてすることなので、「取り急ぎ」を使ってしまうとお礼を簡略化しているようで気持ちが全く伝わらないです。 また「取り急ぎ謝罪まで」「取り急ぎお詫びまで」といったお詫びするときも同様です。 誠意を込めてお礼や謝罪をするときは、「取り急ぎ」の使用は控えるようにしましょう。
「まず」は、「はじめに」「最初に」「とりあえず」「ともかく」を意味しています。 「まず」は漢字で書くと、「先ずは」となります。 「取り急ぎ」は「まず」に言い換えることができます。 例えば、「取り急ぎご報告まで」を「まずご報告をいたします」と省略せずに言うと、気持ちが伝わりやすくなります。 ただ「まずは」も「取り急ぎ」と同様に、「まずは◯◯まで」と省略してしまうと、失礼な印象を与えてしまうので、「まずは◯◯いたします」といったように文章を繋げて書くようにしましょう。 「まずは」は「取り急ぎ」と比べると、急いでいるというニュアンスが薄くなるので、本当に急を要する要件の場合は「取り急ぎ」を使用するのが良いでしょう。
例文
「略儀(りゃくぎ)」は、「正式な手続きを省略したやり方」を意味しています。 「ながら」は「〜ではあるが」「〜にもかかわらず」という意味になります。 つまり「略儀ながら」は、「簡単なやり方ですが」という意味になります。 例えば「略儀ながら書中まで」といった場合は「直接会って伝えるべきことですが、手紙で失礼します」といった意味合いになります。今後直接会う予定がない場合にも使うことができます。 「略儀ながら」は「取り急ぎ◯◯まで」の言い換えとして使用することができます。 「略儀ながら」は「取り急ぎ」と比べると少しカジュアルな印象の言葉なので、本当に急いでいる場合は「取り急ぎ」を使用するのが良いでしょう。
例文
「恐縮ですが」は、謝罪や申し訳ない気持ちを表すことができます。 「恐縮」の元々の意味は「身もちぢまるほどに恐れ入ること」です。「恐」は「恐れ多い」という意味で、「縮」は「身が縮こまる」という意味なので、イメージは簡単につくと思います。「恐縮」は堅い表現なので日常会話ではあまり使いませんが、謙譲語ではありません。 「恐縮ですが」というフレーズは「感謝」のニュアンスはほとんどありません。「謝罪」の意味すら薄く、単に申し訳なさを表現してるだけの場合が多いです。 例えば「要件のみのご報告で大変恐縮ですが」と使えば、「要件だけのご報告で大変申し訳ありませんが」となります。
例文
「末筆ながら」は「まっぴつながら」と読みます。 「末筆」は、手紙やメールの結びの言葉として使われる言葉の一つです。 「末筆ながら」は「これで手紙を書き終えますが」「これで筆を置きますが」といった意味になります。 「末筆ながら」は手紙の結びでの書き出しの言葉として、末文に使う言葉になります。 「末筆ながら」は、手紙文で結びの言葉の書き出しとして使用するフレーズです。 結びの言葉の内容として最も一般的なのが、相手の健康や幸福を祈念する言葉です。その他にも、相手の成功・活躍・発展などの言葉もよく書かれます。いずれにしろ形式的な部分なので、構えて書くようなものではなく、さらりと簡潔にまとめた方がスマートです。相手や相手の家族の健康を願う気遣いがあると、読んでいる相手に良い印象を与えることができます。 「末筆ながら」は非常に丁寧な表現なので、手紙やメールで使用することができます。 ただ「末筆ながら」は「急いでいる」というニュアンスは含まれないので、本当に急いでいることについては「取り急ぎ」を使用するのが良いでしょう。
例文
「第一に」は、「物事の一番はじめであるさま」「真っ先に挙がるさま」「何よりも重要であるさま」を意味しています。 「第一に」は「取り急ぎ」とは少しニュアンスが異なりますが、「最初に」「真っ先に」という意味合いで使用します。 ただ「第一に」はビジネスシーンではあまり使用されない表現ではあります。
例文
上記で「取り急ぎ◯◯まで」は、お礼を述べるときは使用しない方が良いと言いました。 「取り急ぎ御礼まで」は、手紙でメールでお礼を述べる場合に、「本来は言葉で尽くすべきですが、とりあえずお礼だけでも急いで申し上げます」といったニュアンスになります。 とりあえずお礼を言うときに「取り急ぎ御礼まで」と使うことが多いですが、これだけだとなんだか素っ気ないイメージがあります。 「御礼」についてはしっかりと伝えるべきなので、「取り急ぎ」の意味とは一致しないため不自然な言い方になってしまいます。 ただ「取り急ぎ御礼まで」に一言足すだけで、丁寧な言い方にすることができます。 例えば、「取り急ぎ御礼のみで失礼いたしますが、のちほどご連絡します」といったように、「とりあえず連絡だけで申し訳ありませんが、また連絡します」といったような文を付け足します。 他にも、「取り急ぎお礼だけで申し訳ありませんが」「取り急ぎお礼のみで申し訳ございませんが」といった文を足すだけでも印象は違ってきます。
英語で「取り急ぎ」はどのように表現すればよいでしょうか? 直訳的には「a quick note」となります。「note」には「メモ」というニュアンスがあります。 例えば、
This is a quick note to tell you the progress we've made on this project.
このプロジェクトの進捗に関して、取り急ぎ連絡まで。
となります。 が、実際にはネイティブはあまりこの表現を使いません。 「取り急ぎ連絡まで」と英語で表現する場合は、 I just wanted to let you know that...:...についてお知らせだけしたかったです。 とより直接的に伝える方が自然な英語になります。 また、「reminder」という単語を使い表現することも可能です。 「reminder」は「何かを思い出させるもの」という意味で日本語の「通知」という言葉に近いです。「friednly reminder」で「覚えていると思いますが念のため」という柔らかいニュアンスになります。 This is a friendly reminder that...:...に関する連絡です となります。これも「取り急ぎ連絡・報告まで」に近い表現と言えます。
I just wanted to let you know that I confirmed the appointment next week.
来週のアポ確認しました。取り急ぎ連絡しました。
This is a friendly reminder that your payment is successfully made.
お支払いうけたまわりました。取り急ぎ報告まで。
「取り急ぎ◯◯します」「取り急ぎ◯◯してください」と表現する場合は、 as soon as possible を使うのがビジネスシーンでは適切でしょう。「in haste」「harry up to...」などは直接的な表現なのでビジネスでは向きませんので注意してください。 It would be much appreciated if you could ...:...して下さいますと幸いです を使うと、丁寧に催促することができます。
It would be much appreciated if you would reply as soon as possible.
取り急ぎご返信頂けますと幸いです。
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「取り急ぎ◯◯まで」について理解できたでしょうか? ✔︎「取り急ぎ◯◯まで」は、「とりあえず急いで◯◯する」という意味になる ✔︎「取り急ぎ」には、「まだ十分な準備・対応はできていないが」というニュアンスが含まれる ✔︎ 目上の人に使用する場合は、「取り急ぎ◯◯いたします」などと完結した文章にする ✔︎「取り急ぎ」の言い換えは、「まず」「略儀ながら」などがある