「拝見させていただく」という言葉は、自分の「見る」という行為をへりくだっで表現する言葉です。「拝見させていただく」というような言い回しで使用されることも多いですが、実はあやまった文法であるということをご存知でしょうか?今回は、「拝見させていただく」という言葉について解説し、「拝見」という言葉の正しい使い方を例文つきで紹介します。また、「拝見」の類語も紹介しますので参考にしてください。
「拝見」は「見る」謙譲語です。 「謙譲語」は、自分を謙る言葉なので、相手の見る動作に「拝見」を使うと失礼に当たります。 例えば目上の相手に「こちらの資料は拝見されましたか?」と聞くと、逆に相手を下げて自分を高めているという表現になってしまいます。 「拝見」はメール・手紙や資料を確認したことを、相手に伝えるときに使うのが一般的です。 「拝見しました」「拝見します」といったように使うことができます。
「させていただく」は、「させてもらう」の謙譲語です。 文化庁は「基本的に他者の許可を得た上で、自分が行うことについて、その恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合」に使うのが適切であるとしています。 つまり「させていただく」は、
の2つの条件を満たすときに使用するのが正しい使い方になります。 「させていただく」は、「図々しくて申し訳ないが、相手が許可してくれたから〜する」という意味合いになります。例えば、相手の資料をコピーしたい時に「その資料、コピーを取らせていただきますか」という場合。これは相手にコピーして良いか確認してからその後行動に移しているため適切な使い方になります。
「拝見させていただきます」は「見る」の謙譲語「拝見する」+「〜してもらう」の謙譲語「いただく」なので、二重敬語になります。 「させていただく」は、相手から許可をもらい何かをして、それを敬語で報告する表現です。 「拝読いたします」と同様で文法的には正しくありませんが、ビジネスシーンではよく使われています。
「拝見いたします」はよく使われる言葉ですが、文法的に正しい使い方ではありません。 「拝見いたします」は「見る」の謙譲語「拝見する」+「する」の謙譲語「いたす」になるため、二重敬語になってしまいます。 二重敬語は回りくどい印象を与えてしまうため、良くないとされていますが、ビジネスシーンで「拝見いたします」「拝見いたしました」は頻繁に使用されています。 文法的には正しくありませんが、慣習的によく使う表現なので、ほとんどの人にとってそこまで違和感のある表現ではありません。 ただ、実際には「拝見します」が正しい使い方なので覚えておきましょう。
「拝見していただく」は、誤った敬語です。 「拝見」という言葉は上述しているように、「見る」という言葉の謙譲語です。 そして、「〜していただく」は「〜してもらう」の謙譲語となります。 したがって、「拝見していただく」という表現は、謙譲語を二つ重ねた二重敬語であるということになるため、誤った表現であるということになります。 相手に、「見てもらう」ということを丁寧な敬語で言い表すのであれば、「拝見」の部分を尊敬語にして言い表した「ご覧いただく」が正しい表現です。 「見る」の尊敬語については後述します。
「見る」の尊敬語は、「ご覧になる」「見られる」になります。 尊敬語の場合、相手の行為に対して使います。 目上の人が何かを見る場合に、「ご覧ください」や「ご覧くださいましたか?」というのが正しい言い方です。 また、自分自身のものや会社のものなどを見てもらう場合には、「ご覧になる」に謙譲語「いただく」を付け加えた「ご覧いただく」を使います。 「ご覧いただく」は「見る」の尊敬語「ご覧になる」+「〜してもらう」の謙譲語「いただく」となるので、へりくだった印象を与えます。 また、「ご覧になる」のさらに丁寧な表現に「ご覧くださり」があります。「ご覧になる」+「〜してくれる」の尊敬語「くださり」になるので、相手が行ってくれたことに感謝の意を表します。 ちなみに「ご覧になられる」は二重敬語となるので、注意しましょう。
「拝見」は、上述しているように、謙譲語であるため自分の動作をへりくだって表現する言葉です。 したがって、「ご拝見ください」だと、相手の動作に謙譲語を使っているので誤用となります。 相手に「見る」ということをお願いしたい場合は、「ご確認お願いします」といったように尊敬語を使用して表現します。 また、「ご拝見させていただく」は、「ご」は謙譲語、「拝見」も謙譲語、「させていただく」も謙譲語なので、明らかに二重敬語となり誤用となりますので注意しましょう。
「拝見」は、上述している通り、「見る」という動作の謙譲語です。 「謙譲語」は相手に敬意を示すために自分の行為をへりくだった表現にすることです。 したがって、「拝見」という言葉を相手の見るという動作に使用することはできません。 相手の「見る」という動作を敬語表現に言い換える場合は、「ご覧になる」というような表現を使用します。 「ご覧」については上述していますので参考にしてください。
「拝見」という言葉は自分の「見る」「見た」ということを相手に敬意を示すためにへりくだった表現をする謙譲語です。 「拝見させていただく」や「拝見いたします」というように使われがちですが、これらは二重敬語となるため誤った表現になります。 「拝見」という言葉が謙譲語であるため、
というように、うしろにつく言葉は「丁寧語」になることが基本です。 「拝見いたしました」というような表現は、日常的に使用されている言葉ではありますが、正しい文法ではないので、使用することは避けるべきだと言えるでしょう。
「お顔を拝見」「元気なお姿を拝見」などは、人に対して使うことができる言い回しです。 「お顔を拝見」は、「お顔を見ることができて」「元気なお姿を拝見」は、「元気な姿を見ることができて」という意味です。 「会うことができて嬉しいです」というニュアンスで使用される言葉で、「元気なお姿を拝見でえきて大変うれしく思います」というように使用します。
「拝読」は「はいどく」と読みます。 「読む」の謙譲語で、「つつしんで読む」と言う意味です。 「拝見」と同じ自分のことをへりくだった言葉なので、相手の動作には使えません。 「この間送ったメール拝読いただけましたか?」といった表現は間違いになります。
「拝覧」は、「はいらん」と読みます。 「拝覧」は、「見るということをへりくだっていう語」です。 「謹んで見る」ということを、「拝覧」と言います。 元々、神仏や仏像など高貴な人やものに対して使用される言葉で、主に建物や美術品といったものを見る場合に使用される言葉です。
「拝謁」は「はいえつ」と読みます。 「拝謁」の意味は、「身分の高い人や目上の人に会うことをへりくだっていう語」です。 例えば、身分の高い人や、目上の人に会いたいという場合に「一度はお目にかかりたいものです」というような言い回しを使用することがあるかと思いますが、さらに丁寧にした言葉が「拝謁」です。
「死ぬまでに一度でいいから天皇陛下に拝謁したいものである」 「どううか○○さんに拝謁することをお許しいただけますか?」 「まさか拝謁できるなんて思ってもいませんでした」
「拝見」は「見る」という意味なので、「see」「watch」「look」などでOKです。 「少し見る」というニュアンスならば、「take a look at」がよいでしょう。 「手紙を拝見する」など「もらう」というニュアンスならば、「receive」がベターです。
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