「お世話になります」はビジネスシーンで頻繁に使う表現ですが、実は2つの使い方があるのをご存知ですか?また「お世話になっています」との違いは正しく理解していますか?本記事では「お世話になります」の意味と使い方を徹底解説します。
「世話」の意味
「世話」の意味は、上記の3つです。 1つ目は「病人の世話をする」などと使います。 2つ目は「就職を世話する」などと使います。 「お世話になります」の「世話」は、3つ目の意味です。 「人のために尽力すること」「手数をかけて苦労すること」を指します。 「お世話になります」とは、「私はあなたに面倒をかけます」という意味です。 相手が自分に現在与えてくれている、または将来与えてくれるだろう尽力に対して感謝する、挨拶の言葉です。 「お世話になります」の「世話」は2つ目の意味で、「お世話になります」を「いつもビジネスの関係を取り持っていただき、ありがとうございます」という意味合いだと解釈するのは間違いです。 「お世話になります」の原形は「世話になる」で、「世話になる」の「世話」は3つ目の意味です。
「お世話になります」は、ビジネスシーンで目上の人に使える正しい敬語です。 接頭辞「お」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語(美化語)のどれにでもなりますが、「お世話になります」の接頭辞「お」は尊敬語です。 「世話」は目上の人の苦労・手数・骨折りを指します。目上の人に関する事柄・動作には、尊敬語です。 「ます」は丁寧語です。 「なります」は「なる」を丁寧語化したものです。
「お世話になります」は主にビジネスメール・電話で、取引がある(世話になっている)社外の人に対して使います。 定型句として、メールの冒頭にとりあえず入れることが多いです。 本来は、相手が尽力を続けていることに感謝し、今後も引き続きよろしくという気持ちを表す挨拶です。 初対面の人に対しては基本的に使いません。 初対面の相手には「初めまして」「突然の連絡、失礼いたします」などを使います。 ただし、自分は初対面でも以前から自社に取引関係があった場合は「お世話になります」を使うことができます。 ちなみに社内の人に対して「お世話になります」はあまり使いません。 少しフォーマルすぎる印象を受けますが、会社によっては使用することもあるので、おのおの自分の会社や部署のルールに従いましょう。 「平素より」「日頃から」「常々」「いつも」「毎度」などの表現を添えると、常にお世話になっていることが強調できます。 「大変お世話になります」とすると、感謝の気持ちを強調することができます。
「お世話になります」の例文①
「お世話になります」はこれからお世話になる人に対しても使います。 相手がこれから与える尽力を予測して、それを事前にねぎらっていう挨拶の言葉です。 上記の「お世話になります」は現在に焦点を当てていたのに対して、この用法は未来に焦点を当てています。 上記の「お世話になります」は初対面の人には使わないと紹介しましたが、この使い方ではむしろ初対面の人への挨拶として使います。 社内でも初出勤日の自己紹介で挨拶する時に使えます。 同義語には「お世話に預かります」があります。 一連の受益行為が終わった後では「お世話になりました」と過去形を使います。
「お世話になります」の例文②
「お世話になります」は「愛用する」「頼りにする」「力を借りる」という意味の俗語として使うこともあります。
「お世話になります」と似た表現に「お世話になっています」「お世話になっております」があります。 これらは「〜している」と継続を表しており、現在のみに焦点が当たっています。 ビジネスメールの冒頭の挨拶文としては、「お世話になります」より「お世話になっております」の方が適切です。 「お世話になります」には「これから世話になる」という未来の意味も含まれるため、ビジネスメールの挨拶文では違和感を覚える方も少なくありません。
「お世話になります」の類似表現には、「お世話になっております」以外にも、「お世話様です」があります。 「お世話様です」は、相手の今までの尽力に対して感謝する表現です。 「お世話様」と単独で使うと、軽い感じが表に出るので目上の人には使えません。 「お世話様でした」も、目上に使えないことはないですが、やや丁寧さに欠ける印象を受けます。 「お世話様になりました」「お世話でございました」ならば、目上の人にも使うことができます。 「お世話様」は労う言葉なので目上の人に使うのは上から目線で不適切だと主張する人がいますが、それは正しくありません。 「お世話様」は敬語表現さえ気をつければ、目上の人に対して使うことができます。 ただし、ビジネスシーンではあまり使われないのは事実です。
「お世話様です」の例文
「よろしくお願いします」は、日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる言葉です。 「よろしく」は、人に好意を示したり、何かを頼んだりするときに添える語です。 「いつもよろしくお願いします」とは使いませんが「今後よろしくお願いします」や「これからよろしくお願いします」などと、未来のことに関して使用することができます。 また「これからお世話になります。何卒よろしくお願いします」などといったように、「お世話になります」と一緒に使用することもできます。 ビジネスメールでは、「お世話になります」は冒頭で使いますが、「よろしくお願いします」は文末で使います。
「よろしくお願いします」の例文
「お世話になります」はビジネスメールで頻繁に使う定型句ですが、乱用しすぎるとクドいと思われることがありますので、状況によって下記の表現を使うとよいでしょう。 続けて複数回メールをしている場合は、「お世話になります」「お世話になっております」を省略するだけでも問題ありません。
対面においては、お客様など目上の人に対してはこちら側から先に「お世話になります」 というのが礼儀です。 もし先に言われた場合は「いつもありがとうございます」「日頃のご愛顧に感謝申し上げます」「いつもお引き立ていただき、感謝いたします」などと感謝の気持ちを伝えましょう。 「いえいえ、こちらこそ、いつもありがとうございます」などと返してもよいでしょう。
「お世話になります」と冒頭に書かれたビジネスメールがきた場合、同じく「お世話になっております」とメール冒頭に書き返信すればよいでしょう。 対面では「こちらこそお世話になります」「こちらこそ、よろしくお願いします」などと返事をします。
「お世話になります」の英語を見ていきましょう。 「お世話になります」はとても日本語的な表現で、「これからあなたにお世話してもらいます」というニュアンスで直接すると、だいぶ不自然な英語になってしますので注意です。 これから仕事を一緒にする相手に使う「お世話になります」は、
I’m looking forward to working with you.
(一緒に仕事するの楽しみにしています)
It’s a pleasure to work with you.
(一緒に仕事できて嬉しいです)
などを使うとよいでしょう。 「いつもお世話になっております」に近い表現は、
Thank you for your continued support
Thank you for your ongoing support.
Thank you for your patronage.
などを使うとよいでしょう。「patronage」は「愛顧」「ご贔屓」「後援」などを意味するフォーマルな言葉です。