「表題の件について」という言葉をご存知ですか?日常生活ではほとんど耳にすることはないと思いますが、ビジネスメールでは簡潔に内容を伝えるためにしばしば使用される言葉です。今回は、「表題の件について」という言葉の正しい意味と使い方を例文つきで解説します!「標題」「掲題」といった類語についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「表題」は、「ひょうだい」と読みます。 「表題」の意味は「書物の表しに記されているその本の題名」または「公演・演劇・芸術作品などの題名」です。 つまり本来は、本や雑誌、音楽などの作品のタイトルのことを「表題」といいます。 ビジネスシーンで使用される「表題」は、メールなどにつく「件名」を指します。
「表題の件」は、メールで「件名に関して」という意味で使用されます。 「表題」はビジネスシーンではメールの「件名」という意味になり、「表題の件」とは「件名に関して」という意味で使用される言葉です。 ビジネスメールは、相手の「メールを読む」という時間を短縮し、内容を簡単に伝えるという目的で、「件名」に何についてかかれているのかを入れて送信することがほとんどです。 つまり、ビジネスメールで使用される「表題の件」は「件名に書いてある内容についてですが」という意味合いで使用されているということがわかります。
「表題」の類語には「題名」「主題」「曲名」「題号」などがあります。それぞれ少し意味が異なりますが、違うタイプのタイトルを意味する点では共通しています。
ビジネスシーンでは、「表題についてご相談させていただきたく〜」と使用するのが定番です。 メールで何かを相手に相談する場合に、件名に何の相談であるのか簡単に書き示して、本文に「表題の件についてご相談させていただきたく〜」というように使用すると、さらっと本題に入ることができ、内容を簡潔に済ませることができます。 例えば、「有給休暇の習得について相談したい」ということであれば、件名に「有給休暇取得について」というように入れます。 そして、「表題の件についてご相談いただきたく存じます」というように本文を書き始めると簡潔に内容をまとめることができます。
「表題の件について○○を添付しております」もよく使用する言いまわしです。 メールでやりとりをする場合には資料画像を添付することが多いものです。 そういった場合に例えば、来週行われる予定である企画会議の資料を添付したという場合は、 件名・「○月○日の企画会議の件」 本文・「表題の件について資料を添付しております」 件名・「見積書の件」 本文・「表題の件についてデータを添付しております」 というように使用されます。 データなどを添付してある場合、「〜について添付しております」と一言のべると相手も忘れずに添付してあるものを確認することができますし、後で見返した時に「何のデータだったかな・・・」とならないためにも件名で入れておくとわかりやすく便利です。
「別件ではございますが」で話題を切り替えることができます。 「別件」は、「べっけん」と読みます。 「別件」の意味は「別の用件」という意味で使用されます。 「別件ではございますが」は「別の用件ではございますが」という意味になります。 「表題の件について〜」と内容を書き始めたあとに、「また、別件ではございますが」と伝えて別の用件を伝えるというように使用します。 例えば、 「表題の件について資料を添付いたしましたのでご確認をお願いいたします。 また、別件ではございますが、請求書の提出期限が今週末までとなっておりますのでよろしくお願い申し上げます」 というように話を切り替える場面で使用されます。
「表題の件、かしこまりました」や「表題の件承知いたしました」で返信をすることも可能です。 例えば、「企画書提出日の件」という件名で、内容に企画書の提出日に関する内容がかかれているメールを受け取った場合、件名に「企画書提出日の件」とそのまま使用して、「表題の件、かしこまりました」というように返信をすることができます。 この場合、「企画書の提出日に関して理解し、承知した」という意味になります。 特に相手が目上の人である場合は「表題の件承知いたしました」や、「表題の件承りました」のほうが失礼なく伝えられます。 ただし、内容によっては「メールを見ました」という意味で承知したのか、「内容そのものに関して承知をした」という意味であるのかわかりにくい場合もあります。 誤解を生んでしまわないためにも「表題の件」と略さずに内容を書いたほうがわかりやすく好ましいといえます。
「表題の件」は件名に書いたことを繰り返すことなく略しているわけなので、目上の人に対して使うのは失礼だと感じる人もいます。 また、件名を見ないでメールをとりあえず開くという人にとっては件名を見返さなければならないのが手間になってしまします。 「表題の件について」と書かれていても、「表題の件って何?」となってしまう場合もあるということです。 よって、「表題の件について〜」と略してしまうよりも、件名に書いた内容を再度繰り返す方が失礼がありませんし、無難だと言えます。
「標題の件」は、「ひょうだいのけん」と読みます。 「標題」という言葉は、国語辞書でも「表題」と同じ言葉であるとして表記されていて、 「表題の件」と「標題の件」には違いはないとされています。 したがって、「表題の件」と表記しても、「標題の件」と表記しても同じ意味でありどちらで表記しても問題ないということです。 しかし、いくつか複数内容がある場合の主題を「表題」、副題を「標題」というように、使い分ける人もいるが分かりづらいので避けるべきです。 つまり、簡単にいうと「文章全体についている大きなタイトル」を「表題」といい、「文章についている小見出し」を「標題」というようにわけて使用する場合があるということです。 ビジネスメールで使用することはほとんどありませんが、レポートなど複数の小見出しを使用するような場合に使い分けて使用することがあるので、頭に入れておくといいでしょう。
「掲題の件」も「表題」と同じように意味は同じですが、あまり一般的に使用される言葉ではありません。 「掲題」は、「けいだい」と読みます。 「掲題」という言葉自体は国語辞典には載っていません。 「掲題」は、「掲げる題」という漢字の通り「掲げている題」のことであるため、大きなテーマのことをいいます。「表題」と同じ意味を持つ言葉として使用される言葉です。 つまり、「表題」と同じように「掲題の件について」というように使用しても問題ないということです。 しかし、一般的には「掲題」という言葉は使用されない言葉であるため、かしこまった場面やビジネスシーンでも使用されることはほとんどありません。
「首記の件」「頭書の件」はタイトルではなく「一番上に書いてることに関して」という意味で使用される言葉です。 「首記」は、「首に記していること」、「頭書」は、「頭に書く」という意味になる漢字を組み合わせて使用する言葉です。 つまり、「首記の件」「頭書の件」は、「冒頭に記していること」というニュアンスで使用されるということです。 ビジネスシーンでは「表題の件」と使用されることがほとんどですが、複数枚で送信されるFAXなどで「首記の件」「頭書の件」と使用されることが多いです。 「表題の件」と同じように、「首記の件についてご検討お願いいたします」というように使用します。
「...に関して」は英語で「as for...」「with regard to...」などと表します。 「件名」は英語で「subject」なので、「表現の件ですが、」は英語で「With regard to the subject above,」と表すことができます。 しかし、英語圏では「With regard to the subject above,」などのフレーズをビジネスメールで使用することは一般的ではありません。 表題で書いたことをもう一度繰り返し本文に記入する方がよいでしょう。
「表題の件」について理解していただけましたか? ✓「表題」の意味は「タイトル」 ✓「表題の件」は、メールで「件名に関して」の意味 ✓メールで「表題の件についてご相談させていただきたく〜」と使うのが定番など 「表題の件」は、身近な相手に本当に簡潔に内容をつたえるためには、便利な言葉です。 しかし、件名に書いてあることを省略している言葉であるため、場合によっては内容をわかりにくくしてしまう可能性がありますので注意しましょう!