「引導を渡す」という言葉をご存知ですか?ビジネスでも恋愛でも使われている言葉です。そこで今回は「引導を渡す」について詳しく解説していきます。意味や使い方を例文付きで紹介しますので、是非参考にしてみてください。類語や英語もわかりやすく解説していきます。
「引導を渡す」の読み方は「いんどうをわたす」です。 「引導」はそれぞれよく使われている音読みなので、分かりやすいですね。
「引導を渡す」の意味は「相手に最終宣告することで、諦めさせる」です。 「死を免れられないことを分からせる」といった意味もあります。 そこから、命だけでなく様々な場面で「最終宣告をする」といった意味で用いられています。 最終宣告をする側は「引導を渡す」と使い、最終宣告をされた側は「引導を渡される」と使います。
時折、音が似ていることから「引導を渡す」を「印籠(いんろう)を渡す」と間違えてしまう方もいますが、誤用ですので注意しましょう。 「印籠」は「渡す」のではなく「目に入らぬか」と聞くものです。
「引導を渡す」は、主に人のキャリアに対して使われます。 この場合「引導を渡す」=「クビにする」「退職を促す」です。 「引導を渡す」という表現は、上司や先輩にも部下や後輩に対しても使えます。 自分が上司に引導を渡すわけではありません。 「上司が後輩に引導を渡した」などと使えるということです。 また、「引導を渡す」はスポーツの世界でも使われます。 これは契約を切る時や、引退を促すということになります。
例文
「引導を渡す」は恋愛でも使われます。 意味は「恋愛を諦めさせる=振る」ということになります。 「僕は彼女に引導を渡した」と言えば「別れを切り出した」ということになります。 また、幸せになれない相手との恋愛を終わらせられない時に、周りの人へ「引導を渡してください」と「この恋を諦められるようにしてください」「どうかこの恋に踏ん切りをつけられるようにしてください」といった意味で用いられることもあります。 はっきりと「その恋愛は良くない」「あなたは遊ばれているだけ」と周りから言われれば、この恋愛を諦めて目を覚ますことができると思っている場合に使います。
例文
正式な表現ではないですが、「引導を突きつける」「引導をくれてやる」などと表現することもあります。 「引導を突きつける」は「諦めなきゃいけない現実を突きつける」 「引導をくれてやる」は「諦めさせてやる」 といった意味合いで用いられています。
例文
「引導」とは仏教用語で「人々を導いて悟りの道に入らせること」「死者が死を悟り迷わず浄土へ行けるよう、法語を唱えること」です。 これが現代でも「葬儀の際に死者が死を悟って成仏できるように法語を唱えること」という意味で用いられています。。 法語を唱えて浄土へ導くのは、死者に対して死んだことを分からせる儀式になります。 死んだことに気付かず彷徨ったり亡霊となったりしないように、法語を説きます。 それが転じて「諦めさせる」「最終的宣告をする」といった意味になりました。
「引導」は仏教用語で「葬る前に法語を唱えること」とありましたが、これは現代の葬儀でも行われていますよね。 故人に対して、お坊さんが法語を唱え、成仏させます。 この時に「引導」は宗派によって異なります。 曹洞宗と臨済宗など禅宗系の宗派では、法語の最後に大きな声で「喝」「露」と唱え、激励をすることがあります。 その他にも「真言宗」「日蓮宗」「浄土宗」「浄土真宗」などがあります。
「引導文」とは、「葬儀で引導をする際に棺前で死者に対して唱える法語」のことです。 引導の際に読む法語の言葉を表しています。
「引導下炬」または「下炬引導」の意味は「禅宗において葬儀の際、導師の僧が遺骸に点火する意を表す儀式」です。 葬儀の際に行われています。 「下炬」には「火葬時に点火すること」といった意味があります。 古くは実際に導師の僧が棺に火をつけていましたが、現在では火を点ける仕草をするのみとなっています。
「最終宣告をする」は、そのまま「最終であることを告げ知らせる」といった意味になります。 「もうこれで終わりである」と伝えることです。 「最終」ですから、もう次はありません。 要するに「諦めてください」「もうここにはいられない」と告げることです。
例文
「お払い箱にする」の意味は「不要になったものを捨てること」です。 「雇用者が雇っていた人をやめさせること」といった意味でも使います。 元々は「お祓い箱」と書き、伊勢神宮で檀那(成人男性)に配っていたお祓いの札を入れておく箱の意味です。 毎年新しい札に取り替えられ、古い札をお祓い箱に入れることから、「お祓い」を「お払い」にして「不要なものを捨てること」といった意味で使われるようになりました。 その際に「解雇」の意味を含むようになりました。 会社にとっていらなくなったからクビにさせられてしまった、といった意味合いが強いです。
例文
「息の根を止める」は「ころす」「相手を完全に打ちのめす」です。 「とどめを刺す」にも「生き返らないように確実にころす」という意味があり、それが転じて「物事の最後に急所をおさえて、再び立ち上がれないようにする」です。
例文
「引導」の直訳は「requiem」です。 「requiem(レクイエム)」は、死者のために行われる祭儀です。 「say a requem」で「引導を渡す」になります。
「解雇通知」を意味する英語は、
です。
The president gave a notice of dismissal to a capable yet uncooperative employee.
有能だが非協力的な従業員に社長は引導を渡した。
「引導をくれてやる」という表現に近い英語は、「teach him a lesson」で「あいつに教えてやる」です。 「終止符を打つ」というニュアンスならば「put an end to...」などがあります。 「ぶっ倒す」という意味合いならば「knock his block off」などがあります。
I'll teach him a lesson that he will never fight against me.
あいつに引導をくれてやる。(もう二度と俺とは戦えないと教えてやる)
I will block his block off if he tries anything to my family.
もしあいつが俺の家族に手を出そうとしたら、引導をつきつけてやる。
いかがだったでしょうか? 「引導を渡す」について理解できていれば幸いです。 ✔意味は「相手に最終宣告をして諦めさせる」 ✔仕事やビジネスではクビを意味する ✔類語は「最終宣告をする」「お払い箱」 日常会話で何度も使う言葉ではありませんが、しっかりと覚えておきましょう。