「気丈」とは、「きじょう」と読みます。「気丈」は「気の持ち方がしっかりしていること」という意味で、「気丈に振る舞う」といった使い方をします。今回は、「気丈」という言葉の意味と使い方を例文付きで解説します。また、「気丈な人」の特徴や、気丈に振る舞うことに疲れてしまったときの対処法なんかも併せて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「気丈」は、「きじょう」と読みます。 「丈」は、音読みで「ジョウ」訓読みで「たけ」とも読まれます。 「たけ」の場合、長さや身のたけ、高さを表す言葉になるため「きたけ」とは読みません。 「きたけ」と読み間違えてしまう人が多いので注意してくださいね。
「気丈」の意味は、「気の持ち方がしっかりしていること」です。 「気」は、意識といった「心の働き」を意味する言葉で、「丈(じょう)」は、「強いこと」を意味している漢字です。 したがって、この2つの漢字を組み合わせた「気丈」は心や気持ちを強く保つことができている様子を言い表す言葉になります。 「気が強い」ということではなく、感情に左右されることなくどんなときでも明るく前向きに振る舞うことができる気持ちの強さを「気丈」といいます。
「気丈」は、「気丈夫(きじょうぶ)」という言葉としても使用されます。 「気丈」と同じく「気持ちがしっかりしている」という意味で使用される言葉ですが、 ・「頼りにするものがあって心強い」 という意味でも使用されます。 例えば、 「まだ幼い子供と言えど、一人ではないというだけで気丈夫だ」 というように使用されます。 これは、「まだ幼いと言っても、一人ではないので心強い」といった意味合いになります。
「気丈高」という言葉は、存在しない言葉になりますので注意しましょう。 「気丈高」は、誤って「居丈高」を「気丈高」として使用してしまっていることが考えられます。 正しくは「居丈高(いたけだか)」になりますので、覚えておきましょう。 「居丈高」の意味は、「人に対して威圧的な態度をとるさま」です。 「威圧する」ことから「威丈高」と表記されることもありますが、これは当て字です。意味がわかりやすいように使っているようですが、正しくは「居丈高」となります。
「気丈」を含む四字熟語はありません。
「気丈」という言葉は、「気丈に振る舞う」という形で使用されることがほとんどです。 例えば、辛くて悲しいことがあったにも関わらず泣き顔を見せないことはもちろん、何事もないように明るく元気に振る舞うといった様子を「気丈に振る舞う」と言い表すことができます。 「気丈に頑張る」という表現が使われることもあります。 文法的には間違いではないものの、あまり使用される表現ではないので注意してください。
例文
また、「気丈な人」「気丈さ」といった形でも使用されることがあります。 「気丈な人」だと、「気持ちが強くてしっかりしている頼れる人」というような意味で使用されます。 「気丈さ」は「心の強さ」といったニュアンスになります。 その他にも、
といった言い回しで使用されます。
例文
葬儀などで、元気のない人に対して「気丈に振る舞って」といった声がけをすることはできません。 「元気だしてください」というニュアンスで使用しているつもりかもしれませんが、辛いことがあった人に対して「気丈に振る舞って」と言ってしまうのは酷すぎます。 「辛い時でも無理をして笑っていなければいけないんだ…」と相手を精神的に追い詰めてしまう可能性があるので注意してください。 本人が「どんな時でも気丈に振る舞おう」と決めるものであって、「気丈に振る舞って」なんて人に言うものではありません。
社内などでミスをして落ち込んでいるなど、なにか辛いことがあって暗い表情をしている部下にむかって「君は気丈さにかけるな」なんて言ってしまっては、パワハラになってしまう可能性があります。 確かに、いつまでもミスを引きずっていたり、プライベートな事情を職場に持ち込んで周りの雰囲気を悪くしている部下がいたら、「気丈さに欠ける」と言いたくなってしまう気持ちもわかります。 しかし、「気丈さに欠ける」と言ってしまうということは、「もっと気丈に振る舞え」と言っているのと同じことですよね。 つまり、上述したのと同じで本当に辛い思いをしているかもしれない相手を追い詰めてしまう可能性があるのです。 最近ではちょっとした厳しい一言が「パワハラだー!」なんて騒がれかねませんので、注意が必要です。
「気丈」という言葉は、「褒め言葉」のニュアンスが強いので、自分の振る舞いに対して「気丈」という言葉を使用するのは避けましょう。 例えば、「気丈」の使用方法として、 ①「A子さんは悲しいはずなのに気丈に振る舞っていた」………◎ ②「私は気丈に振る舞っているんですよ」……………☓ となります。 ①は、「A子さんは悲しいことがあったはずなのに、明るく振る舞っていて心が強い」という褒め言葉になるので正しい使用例になります。 ②の場合は、簡単に言うと「私、辛いけど無理して明るく振る舞ってるんです、偉いでしょ」と言っているのと同じなので誤った使用例と言えます。 この場合、自分で「気丈に振る舞おう」と決めたのなら「全然元気ですよ(^o^)」と答えるべきでしょう。
語源は英語の「Tough」で、物の成り立ちが固く丈夫なという意味のある単語です。 日本では、「がんじょうで、たくましい様子」という意味のカタカナ語として使用されています。 主に強い体力と不屈の精神力を備えている様子を「タフだ」と言い表します。
例文
「強靭」は、「きょうじん」と読みます。 「強靭」の意味は、「強くてねばりのあること・しなやか強いこと」です。
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「芯が強い」は、「自分の中にしっかりとした意思をもっている」という意味で使用される言葉です。 ぶれない価値観をもっていたり、自分自身で「こうしよう」と思ったことを貫き通す一貫性のある「意思が強い人」「気持ちが強い人」に対して「芯が強い」と言ったりします。
例文
「我慢強い」は、「忍耐力がある」という意味で使用される言葉です。 困難や逆境など、辛い状況でも耐えることができる人のことを「我慢強い」といいます。
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「打たれ強い」は、「敵の攻撃に耐える力がある」「くじけない精神力の強さ」を表現している言葉です。
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「気弱」の意味は「気が弱いこと」です。 小さなことに、びくびくしてしまったり、元気に振る舞えないことを「気弱」といいます。
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「脆弱」は、「ぜいじゃく」と読みます。 「脆弱」は、「身体・組織・器物」などがもろくて弱いこと」を表現する言葉です。
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「ひ弱」の意味は、「勢いや力が、かすかで弱いこと」です。 いかにも弱々しい人に対して「ひ弱な人」と表現したりします。
例文
「気丈」は「心が強いこと」を意味するので、英語は「strong」「tough」が一般的です。 「brave」「courageous」は「勇敢な、勇気のある」という意味なので、微妙に日本語の「気丈」とはニュアンスが違います。 「brave」「courageous」は「恐怖感を抱かない」という意味が強いので、能動的に行動する人に対して使うことが多いです。 英和辞典によっては「stout-hearted」などがありますが、これはネイティブがあまり使う言葉ではありません。 また、「気丈に振る舞う」を「act courageously」としてしまうのも不自然な英語なので注意です。 これでは「勇気を持って行動する」という意味合いになってしまいます。 「気丈に振る舞う」は「耐えている」という意味の「bear up」が自然です。 または「普通にしている」を意味する「doing okay/fine」などもよいでしょう。
Even though she went through a hard time, she is very strong and didn't shed a tear.
辛い経験をしたにも関わらず、彼女は気丈な人なので涙一つ流さなかった。
It's been only a week since her mother passed away, but she is bearing up.
彼女の母が亡くなってからまだ1週間しか経っていないが、彼女は気丈に振る舞っている。
気丈な人は、自分を強く持っている人が多いです。 自分をもっているからこそ、どんなときでもブレずに気丈な態度でいることができるのでしょう。 おそらく、「どんな時でも笑顔でいよう」「悲しい時でも仕事はきちんとするべきだ」というような信念があるのです。 自分をしっかりと持っている人は、目標とする自分であるために、どうすればいいのか自分の信じる方向に突き進む傾向にあります。だから、どんなときでも気持ちを強く保っていることができるのです。
気丈な人は、どんなに悲しくても辛くても人前で涙を見せることはありません。 どんなに苦しい状況下であってもぐっとこらえて気丈に振る舞うことができるのは、まさに我慢強いからであると言えるでしょう。 悲しくないから涙を見せないわけではありません。 みんなに心配かけまいと、どんなに泣きたいときだってこらえているです。 これって精神的な強さがないとできないことですよね。 気丈な人は、いつだって大人の振る舞い方をします。
気丈な人はいつでも笑顔!HAPPYオーラが出ています。 例え周りが悲しいお葬式ムードであっても、いつも笑顔で周りを和ませてくれます。 いつも口角が上がっているという印象で、その笑顔に「包容力」を感じて安心感を抱くでしょう。 例えば、自分だって疲れているであろう時でもいつでも笑顔で出迎えてくれたら、思わずその包容力に救われますよね。 また、どんな時でも笑顔でいてくれる優しさが心にしみます。 どんな時でも気丈な人を見ていると「自分も落ち込んでられないな!頑張らないと!」と前向きな気持ちになるのです。
気丈な人は、いつでも冷静です。 周りの人がパニクってしまったとしても落ち着いて物事を判断することができます。 冷静に物事を見て判断できるので、慌てたりパニックになったりするようなことがないのです。 突然イレギュラーなことが起こっても、落ち着いて状況を把握して対処法導き出します。 周りに説明をするときも落ち着いているので、他の人たちも慌てずに落ち着くことができるでしょう。 周りの人からしたら安心感が抜群ですよね。 気丈な人は、リーダーなど人の上にたって指示することが向いていると言えるでしょう。
気丈な人は、感情的になることがありません。 イライラしたり悔しがったり、いきなり悲しみに暮れたり周りがどうしていいか分からないようなヒステリックは絶対に起こしません。 相手からすごく嫌なことをされても冷静に対処するでしょう。 そのため例えば約束を破ったとしても感情的になって怒るのではなく、なんで約束を破ってしまったのかちゃんと相手の事情を聞きます。 気丈な人だからといって何でも許すわけではありません。 しかし感情的に怒ったところで事実は何も変わらないので、怒ったりはせずに冷静に解決できる方法を考えるか、もしくは腸が煮えくり返りそうなときはわざわざ口に出さずともそっと離れていきます。
気丈な人は、基本的に気持ちの切り替えがとっても早いです。 結局、気丈に振る舞うことができない人って気持ちの切り替えをすることができないから、いつまでも悲しいといった気持ちや苦しい気持ちを引きずってしまってそれが表情や態度に出てしまうのです。 例えば、気丈な人は何か失敗をしてしまったとき「よし!じゃあ、こうしてみよう!」とスッと気持ちを切り替えて新しい方法を試そうとします。 失敗したことはショックだし、一瞬「どうしよう」と焦っていることでしょう。 それでも、パッと切り替えて前を向くことができるのが気丈な人の特徴です。
気丈な人は、とってもポジティブです。 悲しいことでも明るく前向きに捉えることができます。 例えば、失恋。 大切な恋人と別れてしまったり、思いが叶わないことはとっても辛いことです。 気丈な人は、悲しくても「きっと自分の運命の人は他にいるんだな」「もっと素敵な人に出会えるってことなんだな」とポジティブに考えます! だから気持ちもすぐに明るくなるんです。 気丈な人には、悲しいときにあえて物事をポジティブに考えることができる心の強さがあると言えるでしょう。
どんな時でもブレない精神的な強さがあるし、いつでも物事を冷静にとらえて対応することができるので気丈な人は頼りになります。 例えば、危機的状況において「どうしよう!!!」とただ焦って衝動的に行動をしてしまう人と、「さて、どうするか、、ひとまず気持ちを落ち着かせて、じっくり考えよう」と気丈に振る舞ってくれる人だったら、どちらが頼もしいでしょうか。 一緒になってワーワー焦ってしまうひとよりも、気丈に物事を判断してくれる人が側にいるほうが安心できますよね。 気丈な人ってとっても頼りになるんです。
気丈な人は、どんなときでも弱音をはくことがありません。 自分が他人で弱音を吐いていたところでどうにもならないということを良く知っているし、誰かが弱音を吐けば周りにいる人の空気が悪くなるだけだということを知っているのです。 どんなに悲しくても、苦しくても、ぐっとこらえることができるのです。 自分が弱っているところを人に見せたくないというプライドの高さもあるでしょう。 基本的には弱音を吐かないし、どんなときでもポーカーフェイスを保っています。
気丈な人は、人に弱っているところを見せないだけで、本当は誰よりも繊細ということが多いです。 あくまでも「元気なふり」をしているだけなので、実際の心はボロボロかもしれません。 なので、本当に悲しい!と泣きわめいたり、怒りちらしたり自分の感情をむき出しにしている人よりも、本当は人一倍気にかけてあげないといけない存在であると言えるでしょう。 本来は泣いたり喚いたりするだけでストレス発散になりますが、自分の感情を押し殺しているのでストレスが溜まってしまうのです。 「いつも元気そう」だからこそ、こちらが気づいてあげなければ心が崩壊してしまう可能性があるのです。
悲しい気持ちや苦しい気持ちを隠して気丈に振る舞うのって心に大きな負担がかかります。 「気丈に振る舞うのが疲れた」と感じたのなら、自分の感じているその感情を大切にしましょう。 例えば、「〜をやらなければいけないけれど、やりたくない」といった感情があるならば「やらない方法」を考えてみるなど、自分が思った通りに行動できる方法に目を向けてみてください。 「もう疲れてしまって眠くて眠くて仕方がないんだ」という感情ならば、寝てみましょう。 無理に元気にする必要はありません。 我慢をしていることがある・無理をしているということで精神的な負担がかかっている可能性が高いので、まずは自分の感情を大切にしてみてください。
いつもやたらと気丈に振る舞いすぎてしまうのは、周りの目を気にしているからではないですか?
など、周りの目ばかりを気にするから自分の本当の感情に蓋をしてしまうのではないでしょうか。 周りの目を気にすることを一度辞めてみてください。 意外と周りの人は何も気にしていないですし、あなたの「悲しい」「辛い」といった感情に寄り添ってくれる人が沢山いるはずですよ。
外では気丈に振る舞わなければと気を張りっぱなしな人でも、「この人の前ではありのままの自分のままでいることができるな」と感じる気の置けない友人がいるはずです。 友人なら喜んで時間をあけてくれるはずなので、声をかけて一緒に楽しい時間を過ごしてもらいましょう。 思っていることや悩みをぶちまけてみてもいいですし、ただ一緒に笑って過ごすだけで心が開放されてスッと楽になるはずです。 とにかく気が緩む時間を作ることが大切です。
「気丈に振る舞うのが疲れた」と感じるのは自分の心からのSOSです。 なので、ゆっくりと一人になれる時間をつくって休養しましょう。 ゆっくりと座って読書をするのもいいですし、ゆっくりとお風呂に浸かってポカポカになった体のまま布団にくるまってぐっすり眠るのもいいです。 気持ちをゆっくり休めてあげないと、体まで壊れていってしまいます。 心からのSOSにきちんと耳を傾けてあげましょう。
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一流アスリートの言葉をもとに、メンタルを育てる具体的方法を徹底解説。
「気丈」について理解していただけましたか? 簡単にまとめると… ✓「気丈」の読み方は「きたけ」ではなく「きじょう」 ✓「気丈」の意味は「気の持ち方がしっかりしていること」 ✓「気丈」は「気丈夫」とも言われる ✓「気丈高」という言葉は、「居丈高」の間違え など どんなときでも気丈に振る舞う事ができる人ってすごいですよね。 しかし、どんなに気丈に振る舞っていても、自分の心に嘘を付き続けていると、いつか心も体も壊れてしまいます。 気丈に振る舞う気遣いも大切ですが、自分の心に正直になることも忘れないでいたいものですね。